逆行する需要...ワープロの可能性

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「Windows7とかが高速に動くパソコンより、押し入れにあるワープロが動いてくれた方がなんぼもマシなんだよ...」

 

 とある休日、友人のお父さんから相談を受けて千葉県へ行ってました。
 押し入れにあるワープロを動くようにして欲しい...とのことで、どこが壊れているのかわからないけれど、まぁ見てみましょうと。昔世話になったこともあり、断りきれなかったんですけどね(^^


 実際触ってみると、大変きれいな本体で。たばこも吸わない方で、しかもすごいきれい好き。ほこりもほとんど入っていません。
 機種は文豪mini5。私にとっても懐かしい一品。
 カラーではない、わりと初期のモデル。

 症状を聞いてあたりはつけていたんですが...電源をいれて動作させてみると...ビンゴ。 紙送りのローラー部分の部品がが摩耗してるのが見つかりました。あいにく写真をとってきていないのですが(さすがに失礼にあたるかと)、なんとか別のパーツでどうにかなりそうな予感。


 この手のギミックに詳しい友人に問い合わせてみると...返ってきた返事は「ああ、その文豪なら手元にあるんだわ。液晶が死んだやつ。なんならあげるよ」とのことで。なんたるラッキー、ご都合主義。その場で思わずつぶやいてみたり。

 ついつい小躍り。しかも大サービスで届けてくれるとのこと(実際にはその方の家が遠かったのでピックアップも兼ねてもってきてと私が脅した懇願したという(笑))。


 待つこと2時間。待望の本体到着。なにがうれしいって、予備のインクリボンまでくれたところ。これはもう大ラッキー。
 しかも友人が「あ、ちょっとやらせてー♪」とか言いながら勝手に2コ1にし始めてしまったため、私は依頼主であるお父さんと雑談しながら名物のせんべいを食べてました。固かったな...あのせんべい...


 わずか30分で、彼は修理を完了。潤滑油やら道具やらしっかりもってきてる辺りが、ハードおたくっぷり全開でかなり好き(笑)です。私も人のことを言えませんが、彼の車には謎の修理道具がたくさん積んであるのです(私の場合は押し入れにジャンクパーツやケーブル類がたくさん)。

 修理が終わり、持ち主に返却。かすれていたインクリボンも新品に変えて動作確認してもらいました。

 なんというか、声にならない興奮というものを実に久しぶりに見た気がします。もうなんかすごくうれしいのが全身からにじみ出ている。たぶん脳内では「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」とかなってたっぽい。
 だた、正座して使うパソコンデスクに置いて使ってますから、動作としては小ぶりで...地味でしたけれど。姿勢正しく打ち震える姿はなんかこう...怒られそうですが、かわいかった(^^;

 あーよかったよかったと私達も満足。お礼にとグルメカードを3000円分(どこかでもらった物らしい)を頂いて、よっしゃ夕飯浮いたぜーとかいいつつ私達もかなり満足(ガソリン代までいただいてしまいました)。なおもらったのは友人であって私ではない...という詭弁を用いたりしていますが、気にしてはいけません。

 実は自分で修理出来ない場合はここに頼もう...という店がいくつかあったのですが、今回は利用せず。結構需要があるのか、山口県や栃木県に修理専門の店があったりします(TVでも紹介されたことのある電気屋さんなんかも一応連絡先は控えてあったり)。

 普段の自作機パソコンの修理と違ってワープロ専用機だとパーツを手に入れるのが難しい。故障した機械をくっつけて再生するのが一般的です。今回は非常にラッキーなことにまったく同じ機種が手に入ったため、ものすごく簡単に修理することができました。本来ならここが一番大変なところです。ヤフオクなどで動くものを探す方が早かったりします。

 修理後に雑談しつついろいろとお話を伺うことが出来ました。その方はパソコンも達者な方で、実は先日もWindows7搭載の最新パソコンを購入されていたとのこと。


 もともと富士通にお勤めだった方なので、もちろん買うのはFM-V。携帯も富士通にしたいがためDOCOMOという徹底ぶり。なんでワープロは文豪なのか...というと、その頃はNECにお勤めだったそうで(苦笑)律儀というか、いろいろ徹底してる方なのは確かです。

 なつかしいタッチおじさんロボットなるものも持ってました。あんまり売れなかったんだよね...これ...とか言ってましたが、実際のところどうだったんだろう。バザールでゴザールなら私の家にもありそうだけれど。


 見せていただいたFM-Vはタッチパネル搭載機種でした。...結構高かったとは思うんですが、目の前で使ってる姿を見るとどうして、その辺の小僧若者より達者で、キーボードを打つのもそう遅くはない。


 じゃなんでワープロ?という話になりまして、冒頭の言葉につながるわけです。

 

 インターネットがこれだけ普及した時代。
 それでもパソコンの用途のひとつから消えないもの。それは...ワープロ機能。
 MSのwordや一太郎なんかが現役で売れているのを考えれば、確かな需要はあるわけで。

 町内会の回覧や張り紙、子供会のお知らせなどを作る用途だと、ワープロの方が手早く、作りたかったレイアウトで作れるんだそうで。慣れもあるのかな...と思ったのですが、実際のところその方の言葉でいうと「ワードなんて使いにくい使いにくい。使い方を覚えるまでに寿命がきちゃうよ。機能がありすぎるのは難しくってだめなんだよ」とのことでした。むむう。

 実際、稼働させてから1時間ほどその方がいろいろと文豪をいじり倒していたんですが、指が覚えているのか...ちょっとした回覧を作るのに迷いなくレイアウト、そして印刷。これがまたスムーズで。

 唯一遅いのは...印刷かな(苦笑)こればっかりは時代を感じます。音もまぁ...なんというか懐かしすぎて。

 ひとしきり歓談してから、私は友人の車でその方の家を退去させていただきました。帰宅途中友人と盛り上がっていたのは...ワープロのこと。

 今の時代からすると逆行してるわけですが、用途に特化した機械の需要はなくならない。むしろ強まってるんじゃないか、と。
 老人用の簡単ケータイ...らくらくホンとかが若者にも需要があるように(案外もってる若い人がいる)、ワープロだって需要あるよなぁ...という話になり。
 じゃあ、今の時代でそれを代用出来るのはなんだろうと。
 
 電源いれて「ぴっ!」とスタート、文章を打ってレイアウト。さっと印刷。私が知る限り、この需要に耐えられそうなのは...ない。近いのはポメラかな?


 実際、友人がポメラを持ち込んでいたので、今回のワープロ所有者さんに触っていただきましたがとても好評。

 「画面が小さいねぇ」

 とは言ってましたが、それでもかなり興味津々でした。指2本でとたたたっとタイプする姿は...友人より早かったかも(笑)


 このポメラにプリンターがダイレクトにつながったら。印刷レイアウトが出来たら。んで画面もう少し大きければ...なんて友人と車中で盛り上がりまくりでした。


 ポメラのよいところは、携帯性と機能特化によるスピード。
 文章印刷やレイアウトのことなんてまったく考えず、ともかく開いて電源いれたらすぐ打てる。これが持ち味です。
 だから、印刷もレイアウトもポメラからしたらいらない機能。

 けれど搭載した別商品ならどうなんだろうなぁ...と。
 ポメラを出してるキングジムにはチャップリンという謎のプリンターとかがありましたので(笑)いや、謎でもなんでもないんですが結構面白いプリンターでして。こう、赤外線だったかな、ワイヤレスでピッと印刷できる面白いプリンター。
 
 もしも、ですけれど。

 共通フォーマットを定めてしまえば。
 それにプリンターが対応してくれれば。

 無線LANを使用して...あるいは赤外線を使用して。あるいはUSB接続で。

 レイアウト可能なキーボードと画面だけの端末とやりとり出来れば。
 ワープロの替わりになるのにな、と。

 買う側は難しいことを考えなくていい。キーボードと画面のデザインや使い勝手だけ考えて、好きなものを買えばいい。

 プリンターもHPやキャノン、あるいはエプソンだっていい。その規格に対応したものであればなんでもいい。

 その組み合わせなら、打ち込んだ文章をレイアウト通りに印刷出来る。

 どのメーカーの組み合わせでも、きちんと印刷出来る。

 壊れたらその壊れた商品だけ買い換えればいい。プリンターなんかも好きなだけバージョンアップしていい。

 レイアウトさえ崩れなければ。

 そんな商品があれば、どんなに素敵かな...と思うのです。

 組み合わせなければ、ただの文章が打てるだけの機械とプリンターでなんら困らない。けれど、組み合わせたらワープロ代わりになる。

 出来ればHDMI辺りでご家庭の大画面TVなどに映し出せればいいのでしょうが、そこまでいくと機能を盛り込みすぎかもしれない。

 A4一枚。紙も特化しちゃっていいのかも。その中でレイアウトするのは自由。

 老人だけじゃなくたって需要はありそうなもんなんですけれど。

 まぁ、そこまで話して...ふと私が言った一言が自爆になっちゃって話が終わっちゃったんですけれど。


「だったら今の技術でワープロ出せばいいんだよな。エプソンとかキャノンが」

 ...ニッチな市場かもしれないんですが、どっか検討してくれないですかね(^^;
 標準規格で、パソコンが介在しない環境...それがある意味理想なのかもしれません。文章書いて印刷するだけならば、そこにWindows等が見える必要はまったくないので...昔ながらの、隠れたOSで十分。(実際ポメラもアセンブラとCで書かれたOSとアプリだと聞いてます)

 まぁ、時代に逆行してるとは思うんですけれど。失われたものの中にも便利さが潜んでいるのかも。そこに商売のネタはないのかな...なんて。どこのメーカーでも考えはしても、いざとなるとコストや需要でしり込みする分野なんでしょうけれど...ね。

 


 

※実は文豪には隠し機能があるものがありまして。

 特定のキーを押しながら起動するとパソコンになってしまうという!

 今回の機種ではCP/Mが動作しました。コマンドプロンプトを出して思わずニヤニヤ。まぁ、今の時代で何が出来るというわけでもないんですが、動作させるコマンドを覚えていた自分に笑ってしまいました。
 これがミニ7なら確かMS-DOSが入っていたはずなんだけど...うーん、懐かしい。