AMD FX-8350 民生用8コアCPUを学ぶ...AMD 個人ブロガー向け勉強会に参加してきました

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輝く「UNLOCKED」の文字が実にAMD「らしい」というかなんというか!!


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 先日、個人ブロガー向けに「AMD 新型CPU勉強会」というものがありました。
 正確には...
「AMDのデスクトップ向けCPU「FXシリーズ」に関するブロガー勉強会」
 という名前。長いですね(笑)
 以前APUであるA10の勉強会にも参加させていただきましたが、今回もまた抽選に当選したということで。
 ありがとうございます(^^)
 今回はその勉強会のリポートとなります。




 AMDの勉強会再び!ということで、以前参加したA10の勉強会に続いて今回はFX-8350という新しいCPUについての勉強会に参加してきました。
 個人ブロガー向けということで、非常に濃い内容に。
 そしてオフレコ話ばかりになる勉強会だということは前回でわかってましたので、今回は気合い十分で乗り込んだ...のならよかったのですが!

 サラリーマンの身ではなかなか時間がままならず。危険なことに仕事でミスして行けないかも状態。
 なんとか仕上げて部長に資料提出。

「きょ、今日は私用で定時であがりますんで!」(血走った眼)
「お、おう...」(ど、どうしたんだこいつ...)

 という会話があったとかなかったとか。実際どたばたと会場へと向かったんですが...駅から地上に出てiPhoneのMAPで検索したら...案の定よくわからない(苦笑)
 悪魔のカンに任せて歩いてはみましたがどうにも不安。東京駅の回りは数年ですっかり変わってしまって別の街のようです。運悪く当日はAndroid端末は...電池切れ(涙)
 仕方なく歩きながらMacBookAirでGoogleMAPを見て...とごそごそやっていたところ...
「みやび?あれ?うわー、お前みやびじゃん懐かしいなー!」
 と知らない人から声をかけられ。誰だお前?といぶかしんで顔をよく見てみると...面影が。あ。こいつ昔の同僚じゃないですかー!?
「あ、あれ!?なんでお前がここに...カル○ーに勤めてるんじゃなかったのかよ」
「いや、うちの事務所ここのビルだし」
 なんという偶然か。7年以上会ってなかった友人とご対面(^^;
 地図を見せて「ここに行こうとしてるんだけどさー」と聞いたところ...
「いや、今お前が立ってるこのビルがそれだけど」

 え。

 ...悪魔のカン恐るべし。当てずっぽうでついていたとは...
 とはいえ。偶然とはいうものの久しぶりの知人との邂逅。東京駅まで歩きつつ少し話をして。今度酒でも飲もうな...と言って別れました。ほんわかした気分で...全力疾走して会場へ。冒頭にあった看板は実はその時に撮影したもの(^^;

 引っ越ししたAMDは実にいい場所にありました。家賃があがってしまってちょっと狭くなったとのことですが、地の利はこちらの方があるでしょう。秋葉原も近いですし(^^)

 会場入りすると...すでにたくさんの人が(10人以上)いまして。みんなむしゃむしゃと弁当を食っている。おお、今回も夕飯つきですよ!ということで...

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 今回の弁当はこれ。蘭蘭の実においしい弁当でした。
 軽食が出るとは案内されていましたが、これはすでに「がっつり夕飯」の間違いではないかと。
 前回のサンドイッチであれば勉強会中に食べるのも簡単だったのですが、こうがっつりしたものですとなかなか...早めに会場入りした人達は訓練が行き届いているのかとっととこの弁当を平らげてスタンバイしていたわけですね(笑)

会場でのスナップを一枚。慌ててとったのでボケてますが、雰囲気は伝わるかと。結構まじめな雰囲気なのです、これが。みんな真剣に話を聞こうとしています。

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 会場でのスナップを見ればわかりますが、プロジェクターを使って説明が行われました。
 参加者には全く同じ内容の資料が配付されていたので、後ろの方に座った私的にはとても助かりました。目が悪いうえに後方ではいまいちよく見えなくて...
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 これがその資料。参加者だけの特典という意味ではこれが最大の特典ではないでしょうか。CPUやマザーは買うことが出来ますが、一般の人がこうした資料を得るのは実はとっても難しかったしりします。雑誌やWEBの曖昧な...あるいは要約された資料ではなく、メーカーが「ちゃんとわかってもらおう」と一生懸命作った資料ですから。会場に行った人だけの特典ですしね。
 資料としての細かさでいえばまぁもっと細かい資料が手に入る世の中ですが、参加した20名ぐらいの人だけがもらえた資料ですし貴重なんじゃないでしょうか。

 さて、肝心の内容はというと。実際にはすでに発売ずみのCPUということで、市場には良くも悪くもいろいろな評価が出回っていましたので、参加者は事前情報を入手してから参加している...という前提でAMDはいたみたいですが、案外そうでもなかった感じで。
 今回の新しいCPU(資料ではVISHERAとなっているもの)についてざっと説明がありました。

1・新FXシリーズの特徴
2・新FXシリーズの改良点
3・ASUS製品の紹介
4.実際にゲームパーティで使われた感想とトーク


 いった感じで話が流れまして、それぞれのコーナーでは配布された資料による細かい説明がありました。
 が、あまり突っ込んだ質問がなく...私ともう一人の方がちょっと濃い質問をされていました。ちょっと悪目立ちしてしまった感はありますが、パイプライン分岐やSSE周りに突っ込んでた方がいたのはお見事でした。
 まぁハードよりの質問ばかりではなんなので、実際にエクセルに複雑な関数を組んで動作させた場合の新コアでの体感速度の話やINTELとの差について質問したりしてました。そんなことする人は初めてですと言われてちょっとしょんぼり。

 3DベンチマークやCPUのベンチマークがいくら早かろうが、大多数の人にとってはどうでもよくて、実際のところはエクセルやワード、ブラウザやストリーミング動画がどれだけ快適になるかの方が重要だと思っているんですが、メーカー側もその辺りは取り組みつつも具体的な数字ではアピール出来てない模様でした。

 無念。

 A10でPiledriverコアの特性か結構エクセルが快適になっていたので、それがAPUの特性なのかコアの特性なのか聞きたかったのですが...それは自分で調べてね!ということでしょうかねー。

 さて。実際にPCを組み立てた記事等もあちこちに出ていますが、私は後発で記事をアップしているので、今回は実機ではなくテストするCPUについてちょっと掘り下げてみたいと思っています。

 AMDが自信をもって送り出した新FX。VISHERAの姿とは。うちのブログらしい直観で切り込んだ評価を書いてみます。



konozama的VISHERAの特徴

 まずコアが今回からAPUと同じPiledriverコアになりました。名前からしてプロレス技を連想する人もいるようですが、杭打機の名前ですねパイルドライバー。パイルバンカーとかいうと...こう、むせる系のアニメとかスパロボとか想像したりしますが、だいたい合ってるかも。
 以前のコアの名前は「Bulldozer」と呼ばれていましたので、AMDのつける名前は最近は重機シリーズなのでしょう。恰好いいとは思うのですがあまり一般受けはしないかも(^^;

 さて。
 BulldozerからPiledriverへと変わったわけですが、具体的なところでは結構細かなチューニング・改良がされています。しかし全体としては大きな変動はないと言っていいでしょう。勉強会でも言ってましたが、あくまでもリビジョンアップぐらいの感覚でいていいと思います。その割には性能に結構いろいろな変化がありますが、認識としてはそんな感じで。

 プロセスルールも変わらないところでやれる設計変更をやるだけやってみたCPUだと思っていただければ。

 ものすごくぶっちゃけて言ってしまうと...

「製造の問題で微細化の恩恵に与れないAMDが設計を最適化して今出来る最も無難でいいものを作り上げた」

 これがVISHERAの正体だと私は思っています。もちろん異論があるのは承知ですが、かなり乱暴な言い方をすればこんな感じかと。わかりやすいし。

 勉強会でも「INTELの設備で生産していればあるいは性能はもっとあげられるかもしれない。でも現行ではこれが精いっぱい」に近いニュアンスの言葉が出ていましたので、いろいろな苦労がある中で練り込んできた製品と言っていいんじゃないかと。

 その工夫により、以前の製品に比べてクロックの上昇等いろいろな部分での強化が図られ...一概には言えないものの15%程度の性能UPを果たしています。

 実はA10の時にも感じていたのですが、Piledriverコアには相当余力があるように感じています。クロックを上げれば相当な高クロックまでリニアに性能が追従するのではないか?と。

 勉強会でそのことを質問されている方がいて「おお、やはり同じことを感じていた人がいたか!」とうれしかったのですが、どうしても高クロック化の代償は消費電力に跳ね返ってしまっているようです。

 実際A10のクロックアップ実験をした時...そのピーク消費電力が「...これINTELのミドルレンジ帯のCPUにミドルレンジのGPU積んだのと変わらなくないか?」というレベルにまで上昇してしまいました。私のところではGPUがネックになったのか最後には発熱か何かでマザーの破損までやらかしてしまいましたが...(オーバー5GはA10にはどうやら荷が重かったみたい)

 今回のFX-8350ですが、通常時4Gの高クロックで動作し、必要に応じて4.2Gまで動作を自動であげてくれるかなり高速なCPUです。が、逆に言うと「マージンは4.2Gまで」とAMD自身が制限をかけているとも取れました。

 5.5Gオーバーでぶん回すとどうなるかというと...「INTELのi7-3770+Geforce660」と比較しても「おまえ電気使いすぎだし熱すぎ」という状態になります。6G辺りでもうなんていうか電源にいいの積んでないと電源が悲鳴を上げます。リアルにコイル泣きが聞けるかもしんないぐらい。(空冷だと5Gの壁辺りでものすごい不安定になりますので案外定格で使うのが最もおいしい状態なのかも)

 製造プロセスの不利があるためAMDはこれ以上大幅にクロックを上げられない。
 だとしたら工夫でパフォーマンスをあげ、多少クロックがあげられるようにしよう。それが今回のVISHERAの正体でもあるかと。そういう意味では実にいい製品を作り上げたな...と設計した人たちをほめたいぐらいです。
(この製造プロセスの問題はいずれARMなどCPUにも降りかかってくるでしょう。製造を外部に委託している以上自社都合だけではどうにもならない部分ですし。INTELの最強の強みはここにあると思っていいかと)


 次の段階に製造プロセスが上がればかなり変わってくるとは思いますが、現行世代ではこの辺りで性能は打ち止めなのでしょう。ですが、その分ぐっと値段を下げて製品を発売してくれた。ユーザーからしてみれば「多少の不利は値段でカバーしたお値打ち製品」として受け取れるのでそれはそれでありがたい話ではありますが(^^;

 今回使用のFX-8350の特徴としては、
「民生CPUとしては破格の4Gで動く」
「民生CPUとしては破格の8コア搭載」
「それでいて価格は他社(といってもINTELしかないですけど)の4コア並」

という売りがあります。


 詳しい話抜きで説明するとざっくりそんな感じです。

 最終的にざっくりまとめると、これはまさに「自作マニア」向けのCPUであり「安価にお得で」パワーアップしたい人向きだといえるかと。そして以前記事にも書きましたが「AM3+ソケットは息が長い」を証明してくれたCPUであるかと。
 AM3+というソケットはいろんな情報サイトで「寿命が短くすぐに別のソケットに変わる」とされてきましたが、私は「んなわけはない」と言い張っていました。
 AMDのCPUの度重なるトラブルや変更を知っていれば、こうなるのはわかっていました。むしろ後発のFM1ソケットの方が短命に終わりました。FM2ソケットは長続きさせるとのことですが、どうしてAM3+も結構長続きしています。
 今回の勉強会でASUSの人も言ってましたが、BIOS上げれば前の製品でもFX-8350は結構なマザーで動作するようです。性能も十分に発揮できると。そういう意味では今までAMDのプラットフォームで使っていた人にとってはうれしい製品ではないでしょうか。
 以前書いたAM3+の記事はたくさんの人に読んでもらえたんですが、その後強烈なアンチAMDの方からの脅迫状めいたメールがくるにいたって疲れ果ててしまい...実はその後触れないようにしていました。
 今回のCPUが発売されたおかげでようやく胸をなでおろした感じがあります。AMDにはそう言う意味ではものすごく感謝していたり。
 多少なりと熱いCPUになってしまいましたが、性能は結構いい感じですしね。
 さて今回は勉強会の記事ですが、次回は実際のパーツを用いて1台組み上げてテストしてみます。

 想定環境は「既存PCのパワーアップ」を想定して組み上げます。さてさてどうなりますか(^^;

余談
・勉強会で感じたこと

 AMDさん自身が認めていましたが、雑誌・WEB媒体の記事ではAMDの新製品=酷評という図式がどうもあるようです。実際に見てみるとゲーマーサイトやPC系の記事サイトでも確かにそんな感じ。(ユーザーの中にも強烈なアンチファンというかそういった人達がいるのも事実でしょう。私のような弱小ブログの記事にまで難癖をわざわざメールで送ってきたぐらいですから。性能比較私情主義というか...実際に買いもしないでけなしてるっぽい人が多いのも特徴ですけれど)

 前回私が参加したAPU勉強会の時は、ブロガーを中心に先行してそれなりの評価をした記事がある程度出回ったため媒体もややトーンダウンしてほめてくれたんですよと笑っていました。
 実際のところは「定番ベンチマークでしか判断してなきゃそりゃそうよ」というのが私の個人的な意見です。
 定義されたベンチマークを実行して数字だけを見て比べて優劣つければいいのではあれば。

 極端なことを言ってしまえば「既存ベンチマークでだけ性能がいいCPU」を作ったらその手の媒体の人達はどんな評価を下すんだろうか?」と思ったことがあります。面白いことになりそうですけれど。まぁ、CPUを作る側にとってはまったくもって意味がないのでやんないでしょうけれどね(^^;

 もちろんきちっと使い込んで評価している記事などでは、ベンチマークに現れない部分も見て評価しているので、読む側としたら数字や文章の中に現れない「行間に隠された特徴」を読み取って製品選びに活かしたいところですけれど。
 体感してみないとわからない快適さというのはあるので(そういう意味ではINTELのi3とかもわりと不遇だなぁ)。

 前回の勉強会もそうでしたが、AMDはOpenCLをやたらに押しています。
 が、対応ソフトが少ない。今回はCPUなんでOpenCLは関係ないように見えますが...最適化とか対応ってことでいえば、同列に語れる部分かと。FXに対応(最適化)されたソフトがどれだけあるのか。

 今回のFX-8350なんかそうですが、8コアで4Gというスペックはどう見たって動画エンコード向きです。ところが国内の主要ソフトであるペガシスのtmpegencが対応していない。フリーウェアだって対応していなわけで。
 AMDが「ほら、このソフトが対応しているよ」と言われるソフトは...はっきり言ってしまえば「見知らぬ外国のよくわからん製品が対応してるみたいだけど、それどうやって入手して活用したらいいの?」状態です。

 OpenCLとして対応して欲しいとペガシスにアピールしているようですが、本気でやるなら金を積んで特別バージョンを作ってもらうぐらいのことをしないと対応はしてもらえないんじゃないかと。nvidaiやINTELが海外でそうしているように。
 実際のところエンコードは...ペガシス製品を使う限りはi3の低クロック品に負けます。正直なところ。下手すると圧倒的な差で。INTELのハードウェアデコードを使われた時の差はそれほどある。
 逆に純粋なマルチコアとして稼働させた時はかなりいい感じの速さをたたき出すのがFX-8350で。使うソフトによってはかなり高速なエンコードが出来たりします。(海外製品ばっかりですけど)
 いっそペガシスとタッグを組んで作ってもらった特別版を海外で普及させたらいいんじゃないか?とかいろいろ思うのですが、本国AMDの意向もあってなかなか難しいのでしょう...ちょっと残念。

 
 買う側からしたら「これを使ったらこんなに早い」という指標を出してもらった方が買いやすいわけで。もっとぶっちゃけて言ってしまえば「新型FXとペガシス(あるいは別の会社でもいいんですが)製品の組み合わせで使うと、i5の値段でi7以上の早さで動画がエンコード出来て綺麗に仕上がります!」という一文の方がわかりやすいし買いやすい。
 まさにINTELがやろうとしてることでもありますが、そうした取り組みが見えずらいのがAMDの今のきついところかと。

 最後にきついことを書いていますが、実際のところ今回のFX-8350。自作PCが好きな人にとっては相当「面白い」ものになっています。ベンチマークばかり見ないで実際に運用してみるとかなり快適なことに気づきます。APUと違ってGPUが選べるメリットもあるので、nvidiaファンの人でAMDと組み合わせて遊ぼうという人もいるでしょう。
 何より価格的にi5の価格帯でこの性能ですから、たいていの処理で快適さが得られるかと。

 古い話ですが、かつてPC-9801が「DOS/V機に比べてこんなにスクロールが早くてスムーズだよ!」と広告を打ったように。わかりやすい比較や性能を見せられれば。価格も含めて結構魅力的な選択肢になるのになと。