アニメファンにおいしい機能のご紹介(2)...Catalyst OMEGAとFLUID Motion VideoがPCを最強の動画プレイヤーと変貌させる

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 AMD勉強会についての記事は前回書いた訳ですが、そこでは勉強会といただいたハードとFLUID Motion Videoについてざっと書きました。
 今回は少し踏み込んで、FLUID Motion Videoを中心にした記事になります。

 また、いただいたPowerDVDを使ってBDを視聴してFLUID Motion Videoの威力を確認すると共に、フリーウェア「Media Player Classic 」に外部フィルターを導入することで、フリーソフトでもFLUID Motion Videoを使って手持ちの動画をぬるぬる再生出来ることも確認しました。
 PCならではの幅広いカスタマイズ性がもたらす動画再生環境とはどんなものだったかというと...
AMDStudyFestival2014_74.JPG
(勉強会での説明画像より)


 個人的にはFLUID Motion Videoは「アニメファンに強力な機能」という印象が強いです。
 具体的には「24fpsで作られた動画を力技で補完して60fpsで再生する」という説明がしっくりくるでしょうか。
 Amazonの悪魔的に説明すると...

「DVDで発売されている、りりかるなのは全シリーズの変身シーンとか戦闘シーンがぬるぬると再生されてひゃっはーーーーーーっ!!」 

 これで説明がつくかなと。
 最近のBDのタイトルで確認している限りものすごく強力な機能であることはわかりやすいのですが、SD画質で録画した動画などが非常に気持ちよく再生されるようになる機能です。
 今回のDRIVER最大の目玉はこれではないかと。
 手持ちの円盤でいろいろ片っ端からテストしましたが、BD版をお持ちの方は迷わずこの環境へ飛び込もうぜ!な感じでした。ええ。映画版のなのはとか、TV版のなのはとかですね。そういうものでテストしていた訳ですが(後はストライクウイッチーズ全部のディスクと、蒼き鋼のアルペジオ全部と、ISとIS2のディスクで確認を行いました)。
 ともかく効果が高いのは「画面のスクロール」ですか。
 横スクロールにしろ縦スクロールにしろ。どちらも通常の再生ではガッタガタな再生ですが、FLUID Motion Videoを使った再生ではスムーズに画面が動いてとても気持ちがよいことになります。
 背景が横にすーっと流れるとか、そういうシーンで顕著です。直近ではストライクウイッチーズOVAサントロンの雷鳴の冒頭、森の背景が流れるあたりですね。あそこ辺りででも確認は出来ます。
 まぁもっとも効果がわかるのは「文字が流れるシーン」ですか。そう、エンディングテロップとかですね。これがもう本当にあるとないとでは「まるで別物」の違いになります。
 どんなハードスペックの説明を並べてもこればっかりは見ないとわかりません。
 いつまでやってるかわかりませんが、秋葉原の「BUYMORE」というお店の店頭でデモが見れますので、そこで一度見てみるのをオススメします。12月の段階ではAMDの対象商品を買うとPoweDVD ULTRA(ようはFLUID Motion Video対応版)のパッケージが5000円で買えるというとてもあざといことを素晴らしいことをしていますので、店員さんの策略に乗るのもありかなと。GPUでもいいので、APUだけ対象ってことだときついけど、そこはもううまく利用してくださいとのことで。あざとい。

 なお、AMDの勉強会ではどうなっていたかというと...
IMG_4661.jpg
なんのアニメをサンプルにしていたかは各自想像するんだ!ちなみに某さんの私物だそうだぞ!

 実際のところは冒頭にも書いたようにSD時代の円盤であっても効果は高いもので、様々なシーンが別次元のものに変わります。

ただし、違和感があるシーンも出てくるのは仕方ないかなと。

 実際プログラムで強制補完しているわけで、確かにぬるぬると再生されてしてもシーンによっては「なんかすごい違和感が...」となることもあります。これは今後のチューンもありますが妥協すべきところでもあるかも。

 Catalyst OMEGA最大の魅力はというと、このFLUID Motion Videoなのは間違いないところなので、冒頭から暴走全開で紹介してみました。
 実際のところ動きの激しいアニメであっても余裕で追従してくるので(A10-7800で余裕の性能ですから、i5にRadeonとかFX8300にRadeonなんて人ならもっと余裕かと)、しまってある動画を引っ張り出したくなること請け合いです。個人的にはISとIS2を見直すきっかけになったのでそれはそれでうれしかったなぁと。(動きが激しいけどなかなか頑張って補完してくれます)

 で、他にも機能があがってないの?というと...あがっております。

1・Freesync
 これは何?といわれると、nvidiaのG-SYNCに対抗した規格で、GPUとモニタ間でリフレッシュレートを調整(可変ともいう)することで、テアリングやスタッターが起きないよう対応モニタとGPU間でうまいことやろうという規格です。
 FPSとかやってて「ふぁっきんカクツキやがる!?」とかならないようにしてくれるものだと思えば。乱暴な言い方ですとそんな感じ。
 nvidaのG-SYNCが先行しましたが、AMDの言い分によれば「こっちはオープンだ。どこでも採用出来るしどこでも使っていいんだ」とのこと。実際VESAの正式採用になったのはAMDの方だったりします。対応モニタは来年から出てくるとのこと。超高度で緻密な作業をしつつしかし美しいグラフィックも堪能したいゲーマーには気になる機能。
 現在販売中のR7シリーズとかAPUとかで対応してくるとのことなので、モニタだけ気を配ればいいのかなと。
 前回の記事でも書きましたが、私はこれがゲーミングノートに普及すれば...という思いが強いです。モニタもGPUもセットで提供されるゲーミングノートならではの優位性にならないかな...と。ただ、AMDとしてはデスクトップに目が向いてるそうですので、しばらく時間が必要なようです。ノートへのAPUの展開として非常に強力な武器になると思ったのですが...まぁそういわれてしまっては「あっはい」ということで悲しく引き下がりました。
 世界的にはノートPCが増えてカジュアルゲーマーもたくさんいるので、A10と対応モニタが揃った状態のゲーミングノートとかあれば、AMDのノート戦略にいい感じに入るかと思ったんですが、今のところはノートに興味はないそうです。もったいない。
 でもデスクトップであれば、現行の上位製品やAPUで対応してくれるそうですし、対応モニタ(サムスンから出始めるようですが)が普及するのを待ちましょう。

2・Contour Removal/Detail Enhancement
 Contour Removalは動画のカラーバンドをするりと滑らかーにしてくれる機能。Detail Enhancementは動画のノイズ除去機能です。
 こちらも今回のOMEGAから有効になったようで、動画再生の強い味方となってくれるでしょう。
 APUなら7800とか先頭に7がつくシリーズで上記のFreesyncやFLUID Motion Videoと共に有効になります。うれしいですね、GPU単体製品のみの対応でないというのは。

3・Ultra HD Like Experience
 Radeon R7 260以上のGPUでないと有効になりませんが、ぶっちゃければ今回搭載された各種機能をフル稼働させてフルHDコンテンツ(1080Pとかの動画ですね)を無理矢理4Kコンテンツとして再生出来るというもの。手持ちの機材では残念ながら確認出来ていませんが、さすがにこんだけパワフルな機能だとAPUではきついのかもしれません。
 4K時代に「再生するコンテンツがー」とならず手持ちのコンテンツが4K品質に!というのはなかなか面白いと思います。

4・Frame Pacing Enhancements
 これは普通のユーザーにはあまり関係のない機能ですが、マニアックに「APU+GPUでDual Graphics」だ!とか「ああん?Radeonっつたら2つが基本だろ。MAXXの頃から決まってんだよ」とCrossFireに踏み込んだユーザー向けの機能と思っていただければ。
 搭載された各GPUのコントロールを最適化して無駄なく描画させる機能です。多少この部分が弱点だったRadeon系ユーザーにとっては福音なんですが、いかんせんCrossFireやってる人が少なかったり。

5・Virtual Super Resolution
 APUでは無理な機能その2ですが、Radeon R9 290 とか285でないと有効にならない時点でハイエンドユーザー以外は今のところ恩恵がありません。
 どんな機能ですか?というとスーパーサンプリングに対応してないゲームを仮想4K描画してひゃっはーといった機能で、アンチエイリアスの一種かなと理解しています(実はいまいち理解できてない機能のひとつです。実際に試せてないので...すいませぬ)

7・5K
 いやまぁ読んで字のごとしで、4K時代より先の5Kに対応したそうです。5120×2880とかモニタががががって気がしますし対応コンテンツも見えていませんが、対応しているのはうれしいところでしょうか。

8・多数のバグ改善
 海外フォーラムなどで「AMD大概にしろやゴラァ」と言われてた主要なバグをまとめて直してきました。強化ポイントではないですが、勉強会で力説していたのでよほど「わかってんよ今直してんだよ!」だったんでは。メジャーゲームで発生していたバグも含めてかなりまともになったそうです。

9・パフォーマンスの改善
 多少眉唾ではありますが、Radeonで約2割。APUで約3割のパフォーマンスアップをしたそうです。GPUはチェックしていませんが、同じAPUで古いドライバーからOMEGAにした場合数%から10%は数値・体感で変わってますので、まぁ話半分としてもそこそこの効果が期待できます。不具合にぶち当たらないで済んだらOMEGAにすべきと私も思います。
 あと一部APUをOCしていた際に、今まで3dmarkがコケてた人もいると思いますが、OMEGAにすることで通るようになったケースもありました。
 特にOCメモリを使ってた人は描画に手が加わった関係か変なところで落ちる面が減ってるかと思います。モダンなんちゃらとかあえてタイトルをあげたりしませんが、銃でいやっはーするゲームでも結構効果を感じましたので、ゲームタイトルやアプリによる...というのが正直なところでしょう。

10・オープンへと舵を切ったAMDの成果にひとつだということ
 これはドライバーの性能ではないですが、この数年AMDは自社規格をオープンにすることで標準規格に取り込んでもらったり、いろいろなソフトに対応してもらったりという戦略をとっています。今回のFreesyncにしてもそう。nvidiaはクローズド。AMDはオープンだと英語でおっしゃられていました。実際のところは対抗するに単独ではきついってのもあるんでしょうが、成果を見ている限り成功していると思います。VESA標準となったことで、Freesyncは多少なりと普及にはずみがつきましたし、nvidiaと違ってHDMI等の端子でも実装可能というのが大きいところ。

 AMDが目指す未来がある程度感じられるなぁという勉強会だったわけですが、OMEGAがもたらした新しい機能(今後の最新ドライバーにはさらに追加機能もありそう。海外の噂なので書きませんが、まだAPUにも眠った機能があるのかもしれません)は実に「日本人向け」であり「オタク向け」だなぁと思っています。
 特に動画再生をぬるぬると高品質にしてくれるFLUID Motion Videoですが、このためにAPUなPCを1台買っちゃうやつが出たぐらい、実際に見てみると衝撃的です。
 (先日友人に見せたところ「うぉぉぉぉこれは買わねばならぬ」とボーナスから予算を出してAPUで一式組んでしまったやつが。現在は艦これと動画再生を兼ねた半メインPCになったようですが)
 ただ、現状PowerDVDしか対応してなよね?と言われると...実際のところは...

・余談...実証実験でフリーウェア対応が可能なことが明らかに
 FLUID Motion Videoへの対応は実際のところそんなに難しくないとのことで、実証実験を行っている方がいます。
 迷惑になってはいけないのでソフト名など書きませんが、「MPC FLUID Motion Video」でGoogle検索すればすぐにたどり着けるかと。
 勉強会に参加した人はたぶんみんな試して「うおおおうごかねぇ」とかやってたと思うんですが、録画人間の末路さんのところにやり方が書いてありました。
 実際のところテスト検証用のフィルターなので動画再生時にいろいろ警告が出たりして常用するものではないんですが、これに一度慣れてしまうとちょっと戻れないところ。
 ただ録画人間の末路さんのところでも書いてありますが、この機能「縦スクロールの格子模様」とかに弱くてですね。動画が破たんしちゃうこともあります。
 上記にも書いてありますが、ここは妥協すべきところで、PowerDVDと同じ効果がフリーウェアで得られるのが証明されたことに異議があるかなと。
 APUで7xxx系を使ってる人ならただで「うひょーぬるぬる再生だーい」とやれるというのは面白いなと思っています。
 まだ実証実験段階ですし、今後どうなるのかわかりませんがやり方がわかった、出来るとなったら対応させちゃうエンジニアが世の中にはごろごろいたりしますから、先が楽しみだなぁと思っていたり。
 
 
 といった感じです。
 まだ始まったばかりのAMDの戦略、出たばかりのOMEGA。けれど、すでに楽しめる果実となっているのはうれしいところです。
 フリーウェアでも対応出来る余地があるというのは広がりを期待させてくれます。
 特にそこそこ安価なA8-7600や、 価格改定されたA6-7400K(約7000円のAPUで動画再生PCとして十分以上のPCが組めるという...)辺りで有効になる機能が多く、私のようにミドルレンジ大好きユーザーにとってはたまらない状況が来たな...というところ。
 INTEL大好きユーザーでもRadeonを積めば有効に(むしろAPUより追加機能が多い)活用出来る機能ばかり。実際に勉強会で「INTELユーザーにも楽しんで欲しい」とコメントしておられましたから、Radeon売れればOKなところもあるのかも(来ていたのが元々ATiの人だってのもあるんだけど)。

 低価格帯の製品でもワンランク上の性能。それがAMDが描いてきてくれた世界のひとつ。
 今回はそうした世界に「より品質をあげよう」というワンポイントが加わりました。
 たくさんのバグフィックスや、製品テストにかける時間など今までのAMDに比べたらずいぶんと「丁寧」になったなと感じさせてくれます。
 もちろんINTELほどの資金力はないわけで、出来ることには限りがあるでしょうが...まだ健在だと見せつけてきた感じもあります。
 

 今回搭載された機能とAPU(Radeon)の組み合わせで、個人的には「やはり動画再生の最強プレイヤーはPCだったか」という思いを強めました。
 PS3やPS4も素晴らしいのですが、対応出来る幅の面では圧倒的にPCの方が上です。TV録画を含めてもPCは手軽ではないかもしれないですが、手をかけてやれば何でも出来る自由さがあります。今回FLUID Motion Videoのおかげで「わんもあぷらす」として高品質の動画再生が加わりました。
 Windows環境でしか今のところは恩恵がないところですが、今後どうなるか。ますます面白くなってきたなと思います。
(2014/12/27 自室にて「りりかるなのは MOVIE 2nd」を見てボロ泣きしながら)