スペックを上げて物理で解決すればいい...素人エクセル使いこそPCスペックアップが有用か

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 昔いた会社で、システムから出力されるCSVデータを加工して使えるエクセルファイルを作りまして。
 私もエクセルはそう得意な方ではないし他の方がいじれるように...とのことで一切のマクロ等を使わず関数だけで完成させた表でした。


 作った当時は大したことはない量のデータを扱っていたわけで、そう重くもなく。
 ぶっちゃけるとPentium4(3G)+メモリ512MのXPなPCで余裕で使っていました。...当時は。

 時は流れ。

 つい先日のこと...

 かつての古巣の総務部長という名のおば様(ぶっちゃけ今の社長より古~い最古参の方)から電話がありまして。
 まぁ仮に麗子さん(仮名)としておきましょう。


麗子  「みやびさんみやびさんパソコンがだめなのよ!」
みやび「...いや、ダメと言われましても。壊したんですか?」
麗子 「違うのよー何を押してもだめだし反応ないのよー」
みやび「はぁ...まぁでも土曜日だし(この電話は土曜日の朝っぱらからかかってきたもの)システム部もいないでしょうし。辞めちゃった私が今更行ってなんかしたら怒られそうで...まぁ、無理ってことで...」
麗子  「そんなこと言わせないから!なんとかしてよー!!」

 すごく短期間お世話になった会社でしたが(ぶっちゃけ数ヶ月)、地場の小企業というのはそうそう社員は変わらないようで。土曜に出社してるのは私の旧知の人ばかりだという話でしたし...午後からは社長も見えられると。
 私の紹介で入った後輩(先の会話で出てきたシステム部とはこいつのこと。一人でもシステム部には違いない。そういえば誰も本名で呼ばないなあいつのこと)はいないようですが、社長にも久しぶりに会いたいところ。

みやび「あー社長もこられるっていうなら...でも直せるかわかりませんよ。そもそもどんな状態だかさっぱりですから」

 相手がパニックを起こしてしまっているのでどう話を聞いても症状がさっぱりわかりませんで。
 これは行った方が早いなぁと。
 電話を切って着替えて...なんて準備をしていたら今度はその会社の社長から電話。

社長  「おーおひさしー」
みやび「こんちゃっす。おひさしです。すいませんなんか辞めた身でまた顔を出すとか...」
社長 「別にクビにしたわけでも喧嘩して辞めたわけでもないだろうー。いいよ別に。それよりうち(の会社)に来るって?今でもヤサ(住んでるところ)は変わってないのか?」
みやび「へい。変わっちゃいませんが」
社長  「んじゃ今からいくわ」
みやぴ「?!」

 社長自ら迎えにくるということで。いやー...なんというか恐縮。

 ...しばし待つと窓の外には重低音。
 なんかやーな予感が...外に出てみると...なんかすっごくマッシブな青い車。

社長  「おー相変わらずまるっこいなーおまえ」
みやび「バイパーっすか!? なんでこんな車...」
社長  「借りもんだけどなー」

 私...乗れるのかこれ...見た目以上にコクピットが狭いんですけど...
 結論は無理やり押し込んだらなんとか乗れたというかなんというか。

 

社長  「おおっ入るもんだな! じゃ行くぞ!」
みやび「ちょ、社長!シートベルトしまんないってこれまずいって...ああぁぁーっ」

 シートベルトを微妙な位置で締めた瞬間スタート。ものすっごいトルクで弄ばれること40分。到着した会社の玄関には麗子さん(仮名)がおろおろと。

 挨拶もそこそこにPCを見てみると...うーん見事に落ちてる。

 PC自体は買い替えてあったんですが、それでもCore2duoのメモリ2GのPC。本体にはVISTAのシール。お、オフィスは2007かー。ケチだった社長もIT投資してくれてたんだなーとまったく関係ないことを考えつつ触ってみました。

 結論。
 エクセルのハングアップ(笑)
 PCの調子というよりはまぁよくある状態なわけなんですが。使ってた当人にとっては厳しい状態に変わりはなく。

麗子  「えーっ!?じゃあさっきまで打ち込んでいたデータは!?」
みやび「あー...まぁどーすべかなこれー」

 ともかくPC自体を再起動。

 冒頭で紹介したエクセルファイルはその後膨張し続けていたようで。
 シート数は膨大。
 それぞれのシートには大量のデータ。
 それぞれが複雑に絡まりあった状態で。
 エクセル1ファイルで軽く40M。

 これは厳しい(^^;
 普段はエクセルファイルをダブルクリックで起動してるとのことですが、スタートメニューから普通に起動。ファイルのリカバリーを試してみたところ、奇跡的に1時間ほど前にオートバックアップされていたようで。ある程度のデータがリカバリー出来ました。

 


 ...と文章で書くと短いんですが...ともかく処理が重くて重くて重くて。
 ファイルが回復するまでにかかった作業時間は数時間。


 作業してても暇なんで社長と雑談しまくってしまいました(^^;

 どうやらえげつない...もとい堅実な商売はうまく行ってるようで。でも車は自分じゃ買わずに人のものを借りる日々...と。借りてるんだか取り上げてるんだかわかりませんが、まぁ新し物好きの人ですし...そんな人生もいいのかもしれません。私は無理ですがそういう人がいてもまぁ。

みやび「ファイルはなんとかなったけど...これは根本的にどうにかしないとだめっすねー」
社長  「お前が作って残してったんだからなんとかしろよ」
みやび「やです」
社長  「ケチな野郎だ」
みやび「私はケチで有名ですよ?」
麗子  「そんなことよりどうにかする方法ないの!?」
みやび「そんなこと言われましても」

 ともかく復旧したということで麗子さんの作業再開。
 後ろから見ていて...背筋がぞっと。


 エクセルの再計算が自動になってるんですが、それをESCキーでキャンセルしまくってデータを入力し続けている。パソコンのパワーが足りないのもあるんですがそもそものエクセルファイルに問題がありすぎて再計算が頻繁に発生する上に終わらない。
 一度再計算の表示になると消えるまで4分以上かかると。
 でそれが嫌なんでキャンセルしてるのよ!と豪語され。
 その上でブラウザでなんか調べたりするために頻繁にアプリを切り替える。

 これはひどい(苦笑)

 本当は嫌だったんですが夕飯の焼肉おごりに負けて手を貸すことに。
 エクセルファイルの改修も考えたんですが、これは手が出せない。時間かかりますし。
 となると...物理的な力でどうにかするしかない。

みやび「パソコン新調した方が早いですねー」
麗子  「壊れてるの!? やっぱり壊れてるのね!? もーっ! だから新しいの買ってって言ってたのに! 調子悪いって言ってたのに!」
社長  「んなこといったって何買っていいのかわかんねーしよー。まだ2~3年だろこれ買って。まぁみやび来てんだから二人で一台買ってこいよ。会社のカード渡すからよー」
みやび「んなアバウトな...」

 まぁそうは言ってもこの麗子さん。
 デザイン優先とか女性らしいことは一切言わず。
 ともかく早くてグレートなのが欲しいという人なので、社長から予算を聞いてないのをいいことに。

 ついうっかり自作してしまいましたとさ(笑)

 ショップブランドも考えたんですが、麗子さんの希望を叶えるためにはカスタマイズが多すぎる。即日ゲットは難しい。
 そこで自作というわけで。

 詳しいパーツ構成は書きませんが、CPUにi7-2700K、メモリ16G、SSD256G、HDD2Tという構成に27インチにモニタ。後は私の趣味で電源がシーソニック750W。GPUはRadeon6850という。

 一般的にはまったくビジネス向きでないハイスペック構成。

 なんでこうなったかというと...麗子さんの絶大なる権力により社長が折れたため(笑)
 ケースはちょっとメーカーを失念してしまったんですが、真っ赤で派手なスチールケースです。これに買ったパーツをガシガシと搭載し。OSは当然のようにWindows7 64bitPro。
 Officeはパッケージの2010を新規導入。

 どうせなら全部新しくグレートに! との要望だったのでそんな構成に。まさに仰せのままに。後は私の趣味全開。
(実際のところゲーム用PCに近い構成ほどビジネスシーンも含めてどんな処理でも快適に動作してくれますので、これはこれで理にかなってはいるのです。予算さえ無視すれば)

 結局組み立ててOSいれて環境移行して...終わったのは深夜1時。
 なぜか出社してきた社員全員居残って見学してましたが(^^;

 出来上がったPCで先ほど話題のエクセルを開いて作業してもらったところ。

麗子  「ほら!ほらほらほらほら! 新しいパソコンだと早いじゃない! これよ! もーっ社長が買ってくれないから! これなら仕事も早く終わるわ!」
社長  「んなこと言われてもなぁ」
みやび「(...いや問題の観点が違うような...まぁいい。そっとしておこう)」

 CPUのパワー+SSDの速度。
 潤沢なメモリとOSの安定性(他のアプリを開きまくってもそうそう落ちない)。
 ひとつひとつの効果はそれほどでもなかったかもしれませんが、トータルでパワーアップ性能差が出たようで。エクセルの再計算も早い早い。(それでも長いんですけどね)

 まさにレベルを上げて物理で殴ればいいのノリで。
 本当ならエクセルファイルの最適化というか効率化をすべきなんですが...すぐには...出来ないよあれは(笑)

 こまめにセーブするようにというのと、履歴管理の簡単な方法を教えて(麗子さんは基本素直なのでこちらがこうしてね! といえばその通りの運用をしてくれる。PCの立ち上げとかシャットダウンも以前残した手順書をボロボロにしつつ守って運用していたという)。

 こうしてなんとか深夜までの作業は終了したのでした。
 エクセルファイルの構造上そこまで劇的には改善しないと思っていたんですが、再計算の高速化は効きました。あとはSSDの導入による高速化。これも大きい。
 内臓した2TのHDDに毎日バックアップがとられるように設定して(お昼休みはきっちり時間を守る麗子さんなので安心)。ともかくサポート終了。

社長  「おー悪かったなー」
みやび「本気で悪いと思うならなんかあるでしょう。こう、ほら。封筒に入った...とてもうれしいものとか! 底が金色に輝くまんじゅうとか!」
社長  「お前たしか今の会社だとバイト禁止で金もらっちゃだめなんだろー」
みやび「なんで知ってるんですかい」
社長  「お前のブログもついったーも見てるもんよ」
みやび「うはー」
社長  「うちの話も書いてあったしよー。まぁ面白れーからいいけど。もっといいネタあるじゃんよー書けよあれとかー」
みやび「生々しくてかけないっすねーあんな話。...まぁいいや冗談はさておき飯おごってくださいよ飯。腹減りましたわ」

 ここで社員全員が残ってた理由判明。
 最後までいたら焼肉おごってやるぞ! と社長が宣言していたようで。
 会社はともかく社長個人は非常に金回りがいい人なので(お金持ちというより金が回ってるというべきですが)ときたまこーいうことをする。

 ただまぁ会社の仕事自体が私的にはついていけないものがあるので短期間しかいなかったんですが...今でもパソコンはあいつだな! というイメージがあるようで。また頼むねーと言われ。さすがにその場は拒否しまくって。

 ともかく社長が回してきたハイエースで(バイパーは本当に借りてきただけらしい。社用車は本来こっち)焼肉屋へと向かったのでした。深夜なんでやってるところが近くになく。六本木まで繰り出しての深夜焼肉大会に。芸能人とかよくくる店とかでまぁえらいたっかいお店らしいですけど。


 ...ここでオチが。

みやぴ「で、なんでお前ここにいるん?」
後輩  「いや、社長がみやびさんのおごりで焼肉だから六本木までこいって」
みやび「お、れ、は、お、ま、え、の、か、わ、り、に...サポートやらされたんじゃぼけぇぇぇぇぇぇぇ」
後輩  「ちょ、理不尽なっ! 俺なんもしてないってのに!」
みやび「やかましいわーっ!」

 深夜の六本木。のうのうとただ飯だけありつこうとした後輩は私の怒りの矛先となりまして。社長のたくらみだとは思うんですが。まぁいいストレス解消にはなりましたけど。ヘッドロックしてしばらくぐりぐりしてあげました。

 ともかく一仕事終了。
 おいしい夕飯を食べて...翌日体重計の上で愕然としたんですがそれはまた別の話。
 会計時の値段を見てフリーズしたりもしたんですが、まぁ社長的にはOKらしいので今回は報酬としてごっつぁんしました。正直パソコンもう一台買えた気がする値段だったような。まぁ人数多かったしなぁ...

 今回の話...

 おもしろおかしく書いてますが、以前の勤め先に呼び出されて緊急サポートさせられたことに変わりはなく。正直しんどかったしむっともしてたんですが、懐かしい顔を見たかったのもあり。特例として今回は手を貸すことになりました。

 たかがエクセル。
 されどエクセル。
 小さな企業においてその使用頻度と重要性は他のソフトを圧倒しています。

 正直エクセルなしではどれほどの会社が成り立たなくなるのかと思うとぞっとするぐらい。

 けれどその使い方は人によって千差万別。
 VBSを使ってがしっと高速処理な処理組んでスマートに作業する人。
 他の関数等で代用できるのにわざわざ重い関数を多用する人(私もその口。便利な関数ほど処理は重いのですが、やっぱり便利ですからねー)。

 そうした人達の使うPCは処理待ちになったりなんだりで作業したくても出来ない時間が多くなってしまうもの。ブック同士でデータ連携とかやってしまうと手がつけられない。

 そこでPCをハイスペック化して物理的な解決をするのもひとつの手です。

 実際私も自宅で作業した方が今までのどんな勤め先のPCを使うよりも高効率で作業が出来たものです(さすがに今の会社では自宅作業なんてしませんが)。

 仕事の効率をあげるために様々な方法がありますが...たまには直球にPCのグレードアップもいいのかもな...と思ったりした事件でした。
 その後メールで質問に答えたりエクセルファイルにちょっと手をいれたりしてメンテナンスしてあげたところ...肥大化していたエクセルはいくつかのファイルに分割され。7M程度のいくつかのエクセルへと変化。

 運用上再計算表示が出たらキャンセルしないようにも指導し。(その間は他のアプリに切り替えたりもしないようにと指示)
 万が一の時のエクセルのデータリカバリーについても教えてあげて。
 今回はフィニッシュ。

 報酬は...深夜なのでそうそう食べることも出来なかったけれど妙においしくて高い焼肉。それと...ほんの少しの時間しか一緒にいられなかったかつての同僚たちとの新たな思い出。就職先を世話した後輩の元気な姿を見れたこと。

 報酬として見合っているかどうかはわかりませんけれど。
 いい加減なようでいて、わざわざ迎えに来てくれた社長の気遣いがとてもうれしかったので...それはそれでいいのかなと。
 あんな車に乗れるのなんて一生に一度かもしれませんし。(写真とっとけばよかったなぁ...)

 今回もまたプライスレスということで。

 

※もうひとつのオチ

 その後ある程度たってから。
 ある金曜日のよるに電話がありまして。

社長  「よーみやびちん」
みやび「あれ。どうしました? あれから1ヶ月以上たつしトラブルはもう出てないっすよね」
社長  「いやーまじ助かったわ。あれから麗子さん超ご機嫌でさー。仕事も早くなったしよー」
みやび「それは何よりでした」
社長  「んでよー、どうせだったら全員のぱそこん? 買い替えようかってよー」
みやび「え」
社長  「ケンシロウ(後輩のあだ名。鍛えこまれた筋肉からそう呼ばれる。趣味はコナミスポーツクラブで体を鍛えたりナンパしたりすることというやつなので。胸に七つの傷はありません)に言ったらお前のが絶対詳しいっていうしよー」
みやび「いやそうはいいますが私にもいろいろと用事が...」
社長  「んー、そーいやよー昔一緒に2ポンドステーキ食ったことあったじゃんよー」
みやび「何を突然...まぁありましたねー。確かに。あれは結構うまかったですが...」
社長  「あそこの店買っちゃたんだよー。お前好きなだけステーキ食わしてやるからよーなんとか頼むよー」
みやび「買っちゃったって社長...あんたほんとにもう...」
社長  「たのむよー」
みやび「はぁ...わかりましたわ。全員デスクトップで?」
社長  「ですくなんちゃらってわかんねーけど次は折りたためて運べるあれがいいよー。りんごのマークのやつがさー流行なんだろ?」
みやび「...いやまぁWindowsも動きますが社長のところで使うのには向かないような。...ああそうだ。似たようなのありますんで。ZEN BOOKってんですがね。10万前後で買えますよ」
社長  「なんだよー安いのあるじゃんよー。麗子さん時はお前すっごい高くしちゃったからなー。他の社員からもいろいろ言われてよー。んでも早くなっと仕事も早くなんみたいだしなー今月は結構儲かっちゃったから経費つかわねーとよー」
みやび「...なんでそんな単純な思考で仕事がうまくいってるのがほんとよくわかんないんですよねー社長の場合は...まぁいいです。ステーキで手を打ちましょう。一週間走り込んでカロリー消費してから行きますから覚悟しといてくださいや」
社長  「どーせ経費だもんよー(笑) 10kgでも20kgでも食っていいよー。なんなら貸し切りにしてみんなで食うかー」
みやび「はぁ」
社長  「それによー。お前がそーやっていろいろやってくれればケンシロウがなんかやらかしても俺はまぁいいかって思うかもしんねーじゃんかよー。あいつ本当に馬鹿でなんもできねーけどお前の紹介だしよー」
みやび「うわきったねー。そーいうこと言いますか。まぁ...いいですよ。どうせ基幹アプリもねー業務ですから。やってみせましょう。1日で終わらせますけど作業日は全員休日出勤ですよ?」

 こんなオチがありましたとさ。私もどこまでタダ飯でサポートしてるんだか...とは思いますが、まぁ素人の私のサポートです。こんなもんでいいのかもしれません。
 少なくとも後輩の職がこれで少しは安寧になるのなら。
 先輩としてちょっとぐらいの支援はしてあげてもいいのかも。と。