謝るのはあなたじゃない

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 たまの休日。床屋に行こうと家を出たのは夕方で...もうだいぶ空は暗くなってきた頃。
 近くの公園の前を通ったところ、あらぬところからサッカーボールが飛んできて側頭部にがつーんと。


 まぁ痛かったかといえば痛かったんですが(油断していたのが大きい)、その瞬間同じぐらいの年齢かな...男性がすっ飛んできて「すいません!」と一言。見ればちょっと離れたところに男の子。小学校低学年ぐらいですかね見た目。
 まぁあぶないっちゃあぶないんですが、大したこともないしボールを拾って父親かな...その男性に渡そうとしたところでふと見ると...男の子が何か言いたそうにこっちを見た後うつむいてしまって。
 それを見た時なんとなく「あれ?」と思って。謝り続ける父親にちょっと声をかけて。

 ボールを持って男の子のところに行って...しゃがんで目線を合わせる。
 ボールを差し出してみると...なんだかチラチラこっちを見ているけど無言。
 こっちも笑顔ではあるけれど見た目に怖いのかもしれないなぁ...と思いつつもどうもおびえている風にも見えず。父親らしき人がなんだか背後からひたすら謝ってくる。

「謝るのはあなたじゃないでしょう」

 立ち上がって一言そう言うと父親はわかってくれたのか、謝るのをやめてうなずいてくれて。
 もう一度しゃがんで男の子にボールを差し出すとおずおずと受け取ろうとする。でも私はボールを手放さず。

「言いたいことがあったらちゃんとおじさんに言わないと」

 そう言うとちょっと上目遣いになりながら...

「...ごめんなさい」

 と一言。私は笑ってボールを渡してあげて「よく言えたね」と肩をたたきました。
 どうやらこっちの勘違いでもなく...その子はたぶん最初に謝ろうとしたんだろうなぁと。でもお父さんがまず謝ってしまってタイミングを逸してしまって言えなかった。

 まぁ親ですからまず謝ってしまうのは仕方ないんですが(私は子供がいませんけれど、たぶん同じ状況だったら真っ先に謝ってると思いますし)、どうもその勢いが良すぎたせいで子供の方が困ってしまったという。

 ボールを蹴る時は車道側(歩道もまぁそっち側にあるんですが)に蹴らない方がいいよーと伝えて。その子もちょっと笑顔で頷いて。私はようやく父親に「いえいえ」と言って。子供と私のやりとりを見てようやくなんか理解したのか笑っていましたが。

 ただそれだけの話なんですけれど、ちょっと考えてしまった。
 私の同級生にそうして謝れないまま大人になったやつがいて。今どうなっているかというと「絶対に自分からは謝罪しない」大人になっちゃってて。なんというかまぁ人生崖っぷちみたいですけど今現在。
 そんな大人になっちゃうきっかけって些細な...こういうことからかもなぁと思ったりも。
 まぁ私の行動もほめられたもんじゃないので何ともなんですが、わずか10分にも満たない時間に起きた一幕。親が子供の行動を制約する...とか書くと大げさなと言われるんですが、まぁちょっとそんな風にも考えてしまったという。

 今回はただそれだけの話なんですけれどね。


※行動をひとつ間違えると通報されちゃう時代なんで事なかれで行くなら私みたいな行動はたぶんしない方が無難でしょうね...なんでいつもこうしちゃうのか。そんなことも考えてしまったりも。