安いPCとサポートと...コストをどこに見積るか

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 デスクトップPCはいまだ法人需要が旺盛(あとはゲーマとか)だったりしますが、一般にはPCといったらノートPCと言っていい時代になってきています。
 私のところでは依然としてデスクトップPCへの需要が旺盛ですが、それは自分好みのカスタマイズの幅が広かったり、ノートより安価に高性能を実現できるからという部分(あとは大画面好きが多いというのもありますが、これは別にノートに外部モニターを接続してもいいわけで)が大きいです。
 でまぁ。ノートPCが主なパソコンというのは悪いことではないんですが(利便性から言ったらむしろ主力にならない方がおかしい)、困ってくるのが故障した時です。
 今回は安いノートPCを購入する時の注意と...サポートコストについての私見です。


 ※当ブログの記事を読んで不快になられる方もいるようですので、文体・内容について不快に思われましたらどうぞブラウザを閉じていただければと思います。それでもよいという方のみこの続きをどうぞ。


 最近相談で多いのが「保証に入っていない」あるいは「保証切れ」のPCの修理の相談です。
 これがデスクトップPCであれば、また自力修理の道がありますが、ノートPCとなると...そうですね、HDDがクラッシュした程度の修理ならなんとかなるわけですが、メインボード破損や液晶が割れたとなるともうメーカー修理しかありません。
 ここで困るのが国外メーカーの安いノートPCを購入していた場合。
 具体的には私が愛用しているASUSのノートや安価で人気なLenovoのノート。そういったものですね。
 特に年齢が高い中高年の人に多いんですが、サポート期間が終わっていても「メーカーは修理するのが当たり前」と考えている人が多いです。また「サポートは手厚くて当然」と思い込んでる人も多々います。
 こうした人達がメーカーに連絡するとどうなるかというと10中15でトラブルになります(10回の問い合わせ全てがトラブルになったあげく、他の友人知人を巻き込んだトラブルに半数が発展するので分母より分子の方が多くなります)。

 はっきり言ってしまえばこの手の安価なノートPCのたぐいは「サポート費用を削る」「流通コストを削る」「パーツの共通化でコストを削減する」などの方法でローコストを実現しているわけで、保証期間であっても「手厚いサポート」など受けられないと思った方がいい。

 かつての日本の家電などは「もったいない精神」もあってか手厚いサポート、サポート切れでも修理可能とするメーカーの体制などがありましたが、申し訳ありませんがPCはそうした白物家電ではありません。

 そもそも性能の陳腐化が激しい商品なので、定期的に買い換えるのが前提の消費スピードの早い商品だと私は周りには説明しています。
 ことPCにおいては「もったいない」は悪だとすら極論しています。物を大切にするのは大変結構なことですが、それで電気代を跳ね上げたり性能が低いまま生産効率を落としているのをみるとため息をつくばかりです。

 以前はPCは5年で買い換えと説明していましたが、この数年は3年で買い換えるサイクルを推奨しています。Windows7以降MicrosoftのOSリリースサイクルは以前のように活発化しましたし、ハードの進化(CPU等だけではなくWiFIやUSBポートなどの周辺器機も含みます)もなかなか足が速くなってきました。
 むしろ3年で古いノートPCを売るなり...自作なら中核パーツを買い換えるなり...して新しいPCに移行して行く方がよいと思います。積極的に新しいOSやソフトを活用して効率を高めて行く...そんな使い方ですね。

 とはいえ予算というものもありますので、多少は延命したいもの。となると有料でいいから手厚い保証をつけるのが手っ取り早い。
 けれどここにも困ったちゃんな人がいて、冒頭に書いた「保証に入っていない」人達がこれにあたるわけですが...まぁなんというか結構な数の人がこれに該当してくれていて、相談されても「はぁ...」としかいいようがない。

 DELLやAppleなんかはわかりやすいですが、有料で手厚いサポートを別料金で設定しています。AppleなんかはiPhoneやIPadにも設定されているので目にする機会も多い。アップルケアってやつですね。
 最近はキャリアがうまくAppleと話をつけたのか分割料金でこのアップルケアに入れたりするわけですが、この金額をけちってしまう人が多数います。そしてそういう人ほどものすごい早さでiPhoneをぶっ壊してくれたりします。
 それから「どうしよう...」と言われても「はぁ」というだけで特にアドバイスもなかったり。まぁガラスが割れたぐらいでしたら純正ではないものの業者など教えてあげられますが、水没させちゃったとかしまいには洗濯機で洗っちゃったとか言われるともうなんというかそんなもん知るか状態。

 DELLのPCも日本ではいろいろという人が多いわけですが(特に自作市場界隈のマニアとか)、きっちり金を払って一番高いサポートに入っておくとなかなか手厚いサポートを受けることが出来ます。電話サポートも...一時期国内から中国に場所が移った直後とかは叩っ切りたくなる対応でしたが今は回復してそれなりにいい対応をしてくれます...悪くない感じです。

 結局のところそうしたコストを削って格安でPCを買っているわけで、それを自覚して運用するならともかく、「わーい安い安い」ですませてしまっていざトラブル、あるいは故障といった時に「なんだよこのメーカーひどいな」と騒ぎ出す。まぁ価格コムやAmazonなどでもよくみる光景です。

 正直なところをいえば、初期不良交換がまともにしてもらえるなら御の字ぐらいに考えておいた方がいい...というのは乱暴ですが、実際のところこの手の安いPCは修理より代替品という感じのサポートが多いです。チェックも甘く初期不良も多いのが実情。日本メーカーのようなきっちりしたチェック体制であれば見過ごされない不具合も、余裕でスルーして出荷されてる場合があります。
 ですので購入したらUSBポートが動くかも含めてきっちりと自分が確認する。そして不具合があればサポートに伝わりやすいフォーマットで問い合わせと交換を要請する。
 そうした手間をかけてスムーズにサポートを受けられるよう工夫する...安価なPCを購入するならそうした方がよいと私は人に勧めています。

 安かろう悪かろうとはいいません。安いからこそこちらで手間暇をかける。それが嫌ならもっと金を出して国内メーカーなり、海外メーカーでもフラグシップ機を購入するなりする。(フラグシップ機だけ品質が高いなんてのはよくある話)
 確実なのは有料サポートがあるメーカーできっちりとサポートに入ることです。

 若い人ほどこの辺り理解するのが速く、年齢があがるごとに「そうはいってもこのぐらいやるのが常識」とか「この程度は最低限」などの言葉を言うようになる傾向が(私の周りでは)多いんですが、その基準はあなたが勝手に定めたもので、メーカーとあなたの間で購買する時に結んだ契約でもなんでもないでしょうと。嫌なら「もっと金を払え」と言い切って怒らせることも最近は多くなってきました。

 安価になった分だけ某かのコストが削られています。ただ安くなる。そんなことはめったにありません。ならば、手間暇をかけ、自分で多くの知識をつけてそのコスト分を自分で吸収してあげる。そうすれば安価なPCもリスクを減らして使っていける。買い換えまでの数年...あるいはそこから延長してもう1年ぐらいは使っていける。
 でもやはり故障時などのことを考えれば手厚いサポートがついてるメーカー品か、有料でいい感じのサポートがついてるメーカーで有料サポートを購入時につけるべきだと思います。

 コストをどこに見積もるか。
 安価な製品と高価な製品でスペックが大して違わない時がありますが、その時にサポートコストを含んで商品を見ているか。
 デザインを認めて金を余計に払うか。
 あるいは今回の話のようにサポートに重きを置いてコストを見積もるか。
 付加価値のコストをきっちりと支払う代金に含んで商品を選択しているのか。

 PCが家電化したと言っても複雑なハードウェアに使う側がよくわからないまま高度なOSやアプリが動いている。スマホもそうですが、こんな時代、こんな時期だからこそサポートにコストを積んで購入計画を立てるのって大事かな...と思います。

 どこかのアニメのキャラクターの言葉ではありませんが、最終的に私の意見はこんな感じ。

「手厚いサポートが欲しいと言ったな?
 いいだろう有料サポートを購入しろ。金を払え。
 優しく根気強い電話サポートか。わかった。
 最初からそうしたサポートがあるPCを買え。金をかけろ。
 今回のことからお前が得る教訓はたったひとつ。
「サポートコストはタダじゃない」」