突然の訃報に愕然とする(2)...悪者なんていないのに

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 朝早く起きて、まだ酔ったままの頭でブログを更新したあと、かつての仲間と電話連絡。みな訃報に驚いていた。当時の仲間で連絡つくやつだけで、仮のメーリングリストを立ち上げることに。konozamaでやろうかとも思ったが、すぐ用意出来るやつがいるというので、頼むことにした。

 

 ともかく状況がよくわからない。奥さんからの電話を受け取ったのは2人。私ともう一人。当時の上役2人だ。暫定で、この2人をキーとして全員で情報共有をすることになった。
 で、動ける人間がたまたまいたので、朝からいろいろ動いてもらっていた。(仮に彼をA君と呼ぶ。私と共に当時の上役だったひとり)
 行動力のあるやつが車とか機動力もってると、動きが早い。さっそく死んだ後輩の勤め先...自分達が昔いた会社を訪ねたそうだ。

 彼が懇意にしてた、当時の彼の上司からいろいろと話も聞いたとのことで、その報告がメーリングリストに流れる。

 こっちも仕事中とはいえ、メールぐらいは出来るので、休憩時間の電話連絡とメールでのやりとりで各所と連絡、情報の共有と補完を図っていた。怒ってる者もいる。下手に個別行動をされてはまずい。こんな時はかつての上下関係でもなんでも使って、ともかく諌める側に回るしかない。

 また、別働隊というわけではないけど、たまたま今日が休みだったやつがいたので、とるもとりあえずお見舞金をもって行かせることになった。残された家族は悲しみに暮れていたって、生きてく以上金はかかる。下世話でもなんでも、金は必要なはずだ。
 ともかく全員一律で金を徴収する合意をとり、向かう彼が立て替える形にしてもらって、家族の元に走らせた。(仮に彼をB君と呼ぶ)
 こういう時、横のつながりがまだ生きてるんだな...と実感する。そのつながりを活かせなかったのが残念だ...

 仕事をしつつ、どんどん落ち着いていく自分に多少なりといらつきを感じつつ、報告をまとめていく。B君は10:30に到着し、無事にお金を渡したとのこと。そのまま通夜や葬式の手配の手伝いをすることになったそうなので、任せることにした。35歳。やつもずいぶんと世慣れたか。

 12:00の段階で、ある程度の状況把握と、この数ヶ月の流れはつかめた。B君が元気付けに行ってくれたおかげか、奥さんも気丈に振舞ってるとのこと。ともかく、気が張ってる間は人間大丈夫だけど、それが切れた時が危険だからと話したら、しばらくは見守るようにすると言ってくれた。家からそう遠くないし、もともと仲がよかったから...そういうB君自信の声も暗かった。

 A君は12:00で元の勤め先を離脱し、B君と合流すべく奥様のところに向かうという。あまり騒がしてもいけないから、その辺りは判断するように言った。

 結論からいえば、全てが会社のせいではない。...ようだ。

 今現在、死んだ彼と一緒に仕事をしていたメンバーも相当ブルーだったとのこと。けど、訪ねたA君の顔見知り(彼は一番最後に辞めている)が多かったため、いろいろと教えてもらうことが出来たようだ。
 A君は喧嘩して辞めたとはいえ、最後まで残務処理をしていった人間だから、あの会社でも受けはいい。取締役等からも話を引き出してきてくれた。そして、彼からの報告で、いろいろなところがわかった。
 さすがに20人からの部下をまとめる課長職、今のA君の分析は的確で...むしろ容赦がなかった。感情を抜きにした、事実だけをまとめた文章は、読んでいて痛かった。

 

 仕事は確かに大変だったが、実際には過労死するほどのものではなかったようだ。ようだ、としかいえないけれど、私とA君の分析ではそうなる。
 では、なんで追い込まれたのか。なんで朝早くから遅くまで仕事をし続けることになったのか。なぜ、過労死するまでのストレスと疲れを溜め込んでしまったのか。
 それは、死んでしまった彼にも問題があったようだ。仕事の進め方に、そして判断...

 詳しく書く気になれないけれど、単語を並べれば

「責任感」「仕事の抱え込み」「プライド」「部下の使い方のまずさ」そして「会社の甘え」「仕事量の見誤り」

 その上で「自分の体力の過信」。これがたぶん一番の原因。
 彼と共にに仕事していたメンバーは今日は仕事にならないんじゃないかな...と思いを馳せる。...今日は一日仕事にならないんじゃないかな。社会人失格かもしれないけど、機械じゃない人間だから...気持ちに左右されちゃうから。

 ともかく、一通りのことはわかったので、いきりたつやつらを抑える。思い込みだけで元の勤め先に詰め寄ったり連絡いれまくったりしては、悪い影響しかない。遺族のためといいつつ、自分達の感情のままに動いてはいけない。そう言い聞かせる。

 労災認定には時間がかかるようだけど、会社としてきちんと対応していただける確約が取れそうだということ。A君とB君から私は動かないで全体を調整してくれと言われたのもあり、今回は椅子に座ったまま指示だけに徹することになった。
 友人が...かつての後輩が、部下が死んだというのにこの冷静さは気持ち悪いぐらいだけど、こうでもしないと感情のままに突っ走っていろいろと迷惑をかけることになる。まして今回連絡を取り合ってるのは無駄に熱いやつが多い。喧嘩して会社をやめるぐらいだから、ある意味で愚連隊だ。自己満足のために動いては元も子もない。
 友達に死なれてしまったふがいない友人達に出来ることは、遺族へお悔やみをいうこと。現実的に出来る支援をすること。それだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。
 自分達は友達かもしれないが、家族じゃない。立ち入っちゃいけない部分もある。まして、雇用者と被雇用者の間に割り込むのは、相当の覚悟がいる。今朝書いた文章を読むと、自分自身が相当に感情が高ぶっていたのがわかる。でも、それじゃだめだった。
 今の同僚達は動けないようだ。それは仕方ないだろう。むしろ昔の同僚だってだけで、ここまで動いてしまう連中に問題がある気がする。本当に問題児ばっかりだ。私も含めて。
 さっきメーリングリストでこの文章を流して、全員に読んでもらったが、「あんたはいつでも冷静だよ、ほんとに。むかつくぐらいに」とかいろいろ返事が来た。それについては自分でもいらついてるので、否定しない。
 ブログに載せたいといったら反対もあったけど、そもそも朝一で書いてしまった記事があるので、それを見てもらったら、あっさり承諾された。朝一の段階での私の感情がどろどろ入ってのがわかったみたいだ。
 冷静にしてたって機械じゃないんだから。こっちだっていろいろ思うことはある。言わないようにしてただけだ。年長者がそうそう取り乱せるわけないだろうが。

 亡くなった彼はともかく、奥さんの方はすでにご両親が亡くなってるとのことで、段取りをとろうにもいろいろと困っているのがわかった。B君の判断で、死んだ彼の親族への連絡等、段取りをしてあげたとのこと。よくやった。ほんと成長したな。

 悲しさで心が一杯でも、やらなくちゃいけないことはたくさんある。非情なようでも、時間は待ってくれない。私は宗教をやらない人だが、死んだ彼はやっていた。その宗派に連絡して、葬式等も段取らねばならないだろう。気丈な奥さんのようだが、手助けがあって困るものではなさそう。

 そういう段取り部分はB君では荷が重そうなので、私かA君でやることになるようだ。今晩いろいろと動くことになるか。無駄に広い人脈はこんなときに訳に立つ。...かもしれない。
 労災にしろ、なんにしろもらえるまで時間がかかる。奥さんは専業主婦とのことで、ともかく当面の生活をなんとかするためのアドバイスなり制度なりを調べるよう、残りのメンバーに指示。ネットで調べるだけなら、手分けすればいろいろと見つかるだろう。
 ...保険関係もすぐには降りないか。家族が死んですぐに、遺族が何か出来るかというと...年齢を重ねた人はともかく、若い人には辛いのではないかと。こんなとき、周りにいる人間は冷静になって、手助けしてあげた方がいいんじゃないかと思う。
 だから、真っ先に現金を届けたのだ。少ない金額だが、今は絶対にあった方がいい。

 以前、別グループの友人の父親が死んだとき、いろいろと手伝った経験がある。現金はものすごい勢いで出て行く。蓄えを切り崩すより先に、まずみんなの手助けがあった方がいい。お礼は...こっちで不幸があった時に返してくれたらいいね、ぐらいのものだ。好意はお礼を期待するものじゃない。

 仕事をこなしつつ、いろんなことをするのは相当しんどかったが、なんとか抑えきった。自分も含めて暴発しそうなやつらをおとなしくすること。遺族へのフォロー。勤め先の対応を引き出す。この辺りはどうやらなんとかなったようなので、半日で出来る範囲としてはまぁこんなもんだろうか。

 心に溜め込んだストレスによる死ではない。それもあるだろうけど、体に溜め込んだ疲労。それが原因。
 誰かに相談したからといって、すぐにどうにかなった問題ではない。けど、相談してもらってたら、仕事の進め方やアドバイスぐらいは出来たものを...そこは本当に悔やまれる。

 心に溜め込む人は、ネットでもいいから他人とのつながりをもった方がいい。無責任な意見、親身の意見...珠玉混同だけど、救いにはなる。けど、体は...ネットじゃどうしようもない。相談してもらえてれば、体を休めるようにアドバイスして手助けしてあげたものを。...ああ、でも、それも私達のおごりかもしれない。実際、何もしてあげられなかったかもしれない...
 残された側の心が、死んだものに何かしてあげたかった...という思いを強くするとこうなるのかも。何か出来たんじゃないか...それはこちら側の悔いなんだろう。

 ともかく、一人の友人が死んだ。本人はもう何も出来ない。私達も何もしてあげられない。だからせめて、残された友達達は、残された家族のために何かしてあげようよと。無駄にいきりたったやつらを諌めつつ、私自身も何かしてあげたいと思う。

 やっぱり、一晩の酒じゃたむけには足りない気がするから...出来ることを。

 IT関係で働く人達は、精神的に追い込まれやすい。けれど、実際には体の消耗を軽視しがち。心臓が、脳の血管が...悲鳴をあげていても、ストレスのせいにしがちで。
 そんな人たちは定期的に体をチェックした方がいいと思うのです。...残される人たちのことを考えれば。