Microsoftの戦略を妄想する...Windows8(仮)とその世界

 Windows7は非常に好意的に市場に受け止められ、Microsoftもほっと胸をなで下ろしていたりします。後はXpから7以降にOSを切り替えてもらえれば...そんなところでしょうか。ライバルはいつも過去の自社のOSというジレンマもある意味ものすごいですね(^^;

 そんなWindowsですがぼちぼち次期バージョンの声が聞こえてきました。今回はその話になります。

(あくまで私の妄想です。事実と違う部分もたくさんあると思うのでそれを了承出来る人だけ続きを読んでください)

(なお集めた情報はかなり細かいものばかりだったのでわかりやすくするためにこんな書き方にしました。ARM等について突っ込みたい人はいると思いますがぐっとこらえていただけると幸いです。そのうちARMCPUの話の記事を書くのでその時にでも(^^;))

 まず次のWindowsですが名前が発表になってないのでみんなしてWindows8なんて呼んでます。個人的にはすっきりしててこのまま8でいいんじゃない?わかりやすいし。なんて思ってますが...

 このWindows8(仮)の最大の特徴は...主に2つ。

1.対応CPUにARMアーキテクチャに基づくCPUが加わった。

2.タッチパネルでの操作を前面に押し出している。

 

 ですか。まずは最初のCPUの話ですが、これは結構大きな話題になりました。古くはWindowsNTなんかだと別にINTELのx86CPUでなくても動くバージョンがありましたし不思議な話でもないんですが...コンシューマー市場ではWindows95から一貫してINTELの...あるいはその互換のAMDのCPUなどでしか動きませんでしたからこれは確かに話題になるでしょう。

 ARMって最近話題だけどそもそも何者よ?という人も多いんですが...組み込み機器のCPUとしてはずーっと前からメジャーなCPUです。とはいえこのARMアーキテクチャいうのがちょっと特殊で。
 ARM社では自分のところでは製造してないんですね。

 設計はするよ!いいものを作れるようにするよ!だからあなたのところの製品と組み合わせて使ってね!

 という感じでしょうか。CPUのライセンスさえ取得すれば別にINTELやAMDが作ってもいいわけです。まぁ以前はちょっとそんなアレもあったりしたんですけどね...どちらの会社も部門手放しちゃったり...ごにょごにょ。

 ARMアーキテクチャに基づいたチップを搭載したCPUは最近だとスマートフォンが話題で。私ももってるiPhoneですが、そのCPUはA4とかA5と呼ばれるApple独自のCPU。これ、実はARM。Appleが独自に改良して搭載しているわけです。

 Androidのスマートフォンで有名なsnapdragonや最近タブレットで有名なTegra2なんかもその心臓部はARM。そう考えると世の中実はARMだらけだったりします(笑)

 その特徴は...消費電力が少なくて結構強力...というもの。

 あれ?と思った人は鋭い。その特徴は当然携帯ゲーム機にも活かせるわけで。

 古くはゲームボーイアドンバスやNintendoDS...あるいはDSiもARM。AUの携帯なんかに搭載されてたQualcommのチップもARMだらけ。DOCOMOも最近の携帯はARMばっかりでしたし。携帯電話のCPUとしてほぼ支配的。

 先頃発表になったPSPの後継機種?となるNGP(仲間内ではVITAの姉御と呼ばれてますが。私の身内なんで理由はお察しを)にもARM。

 こうなるとなんでもかんでもARMなわけで(実際組み込み市場では支配的とまで言われてます)。パソコンとかサーバーにだけx86があってその他はみんなARMなんじゃない?というぐらい市場を席巻しています。

 とはいえ。

 PCのCPUとして使うには近年まではパワー不足だったかな?と私などは思ってます。最新のARMのアーキテクチャーをもってしてもまだちょっとつらいかな。と。Windowsがそれだけ動作の重いOSだというのもあるんですけれど。

 ところが世の中の風は面白いように吹くもので。

 iPadから始まったタブレットブーム(タブレット自体は古くからありましたしWindowsも実は熱心にタブレットのサポートしてましたXPにも専用のエディションがあったりします。ただしなかなか普及しなかった)がその原因のひとつ。

 瞬く間にiPadは北米を席捲。一気に市場を立ち上げます。この辺りはiPodを彷彿とさせますが...
 ライバル企業達も黙ってはいられない。iOSがいくらできがいいと言っても販売してるのはAppleのみ。食い込む余地はある。となるとなにかいいものは...そこで目をつけたのがandroid。スマートフォンのOSとして普及していたandroidは無料である上にそれなりに使いやすく...各社スマートフォンで培ったノウハウを投入しやすい。となれば。

 すぐさまandroidタブレットが出てきたわけですが...これがまた急造な感じはありまして。そもそもスマートフォン用のOSを無理矢理対応されていたわけで(iPadは考慮してOSが設計されていたといわれてます)、いまいち感はいなめない。

 まぁそれを黙っているGoogleではないわけですぐさまタブレットに対応したandroidが開発されました。そのスピードは...いろいろいう人もいますがかなり早かった。

 android3.0でなんとかタブレット専用OSが完成します。これがまたなかなか使いやすく...対応チップとして名指しされたTegra2はPCのビデオチップで有名なnvidia製。まぁあの会社ですから「CPUも早いしビデオ性能もすごいぜ!」な製品に仕上がってて...消費電力を抑える仕組みも一応組み込まれてましたので稼働時間が多少短いながらもかなり強力。

 ましてAppleは政治的な理由でAdobeのFlashへの対応を自社製品では拒否しているのでMacなともかくiPhoneやiPadではユーザー自身の手ではどうしようもなく(いやまぁそうでもないんですがまっとうなユーザーにはどうしようもなく)...そうするとandroidタブレットなどはそこを売りにしてきます。

 海外はどうか知りませんが日本の企業のサイトなんかはFlash多用してたりするのでiPadだと視聴が難しかったり。アドバンテージとしては十分。

 すると環境としてタブレットが受け入れられる土壌が出来てきてしまい。

 メールとかWEBブラウズとかならパソコン使わなくてもいいよね...という話になってくるわけで...

 そんな事態を我らがMicrosoftが黙っているわけがない。というか、最初から黙ってなかったですが手は出せていなかった(笑)

 どうしてもWindowsへのこだわりがありますからそれをどうやって軽くしようという方向にいかざるを得ない。これは相当のジレンマです。その機能の豊富さはヘビィなOSならではですから。

 ところがそれもWindows7でがらっと変わりました。今時のハードならメモリ次第ですがWindows7をさくさく動かすのに過不足ないわけで...安価なPCでも十分な性能がある。

 そしてその安価なPCに匹敵するARMハードが登場しつつある。(nvidiaのTegra3とか)。

 なら。

 Microsoftはいつにも増して慎重にことを運びます。ここまで時間をかけているのは2000以来じゃないかな?と思うくらい慎重に...じっくりと製品を煮詰めて行きました。

 まず最初にターゲットとなったのは携帯(スマートフォン)用OS。WindowsCEからつながる歴戦の勇士なんですが今時のモダンなOSとは言いがたい。まぁ元々組み込み機器用OSだったわけですから仕方ないんですが、これを大胆にも切り捨てて新しいOSを一から作り直してしまいます。

 これがWindowsPhone7。今までのものと互換性があまりないんですが、その代わりにandroidやiOSに対抗出来る基盤となれる素質をもったOSへと生まれ変わることが出来ました。実際にアプリを作ってる人に聞いてみた限りではそうそう悪い環境ではないようです。というかマイクロソフトの開発環境そのままで開発出来るそうですから。.NET恐るべし。

 まぁそれはさておき。

 タブレットに対抗するために当然このWindowsPhone7が拡充されるものと思ってる人がたくさんいました。私もそう思ってました。ARMで動くし採用されたインターフェイスもいい感じですしこれはタブレットにも通用しそうだな...と。

 

 甘かった。

 

 Microsoftはもっともっと深く考えて戦略を練っていたようです。

 もちろんWindowsPhoneの系譜もタブレットに対応出来るようにしているようなんですが(需要と用途によってOSは選べる余地はある)...

 本家本元のWindowsをタブレットに落とし込むことにしてしまったと。

 それが最初にあったWindows8のタッチパネル対応につながってきます。その元になったのはWindowsPhoneのMETROインターフェイス。正直思い切ったなぁ...と思ってたりします。

 ARMでWindowsが動いても今までの資産が動かないだろ?意味ないじゃんという人がいましたが、それはARMのCPUを搭載したPCでの話でありタブレットでは関係ない。むしろWindowsマーケットとか作って売るチャンスでもある。

 それにWindowsPhoneに対応しているアプリが動けばそれだけでも。むしろこれから開発されるWindows8の両対応アプリが動けばアプリケーションの拡充は図ってけいけますし。

 AppleもiOSで培った技術をMacOSに反映させようとしているわけですが(次期MacOS Li-on)、Microsoftも狙いは同じ。
 タッチパネルでPCを操作するのが嫌ならマウスとキーボードで一向にかまわない。どちらでも操作出来る土壌を作る。

 Appleの狙いはまた違うとは思うんですがMicrosoftの狙いは明確で。どのハードでもどの環境でもWindowsが動いているという世界を作り上げる気なんじゃないかと。

 ハイスペック化しているタブレット市場にはARM版Windows8を。既存のPC市場にはWindows8を。スマートフォンにはWindowsPhoneシリーズを(下手するとこれも8。以後全部同時にバージョンアップしていくとしたら恐ろしい)。そしてそのインターフェイスは統一されたMETROのものに。どれかひとつ使い方を憶えたらもう全てのWindowsが使いこなせる。そんなイメージでいるんでは(現実はそうはいかないでしょうが、ある程度は実現出来そう)

 WindowsPhoneシリーズのMETROインターフェイスは好き嫌いがあるとしてもかなり優秀なインターフェイスだと思うのでこの戦略はいけそうな気がします。タブレット用として見たら今までのPCの資産なんて半分以上どうでもいいですし(レガシーインターフェイス前提ですしね)。

 まして親和性が高い上に不正コピーも少ないタブレット市場であれば(そうでないならそうであるようにしてしまう前提で)、Microsoftとしては逃がしてはいけない市場です。通信前提のハードとの組み合わせですからいくらでも相手を特定してつぶせますからね(^^;

 Officeも自社製品なんですから文章の閲覧・修正もPCと同等のものが用意出来るでしょう。しかもターゲットとなるハードは吟味出来るのでPCほどドライバーや基幹部分のチューニングや対応に力をいれなくてもいい。むしろPCより負担が軽い分そのハードに合わせたチューニングをして性能を引き出せばいい。

 PCで作ったデータを外で活用するのにWindowsタブレットが最適。Exchageにも対応してます。何よりフルWindowsなので性能もばっちりです...なんてことになれば企業ユーザーも黙ってません。とても魅力的ですから(笑)

 androidにはない「Windows serverも含めたWindowsの世界」を活かした戦略。これはなんというかいつものMicrosoftなら急ぎすぎて失敗してそうなんですが...今回はどうも時間をかけてゆっくりやってるみたいです。たぶんARM版の開発と同時に、ARMとx86の両方で動くアプリをそろえるのにも時間をかけているからだとは思うんですが。

 ブラウザもIEが搭載されるようなのでFlashだろうとなんだろうと問題ないでしょうし。ストレージどうなるの?とかまだわからない点は多いんですが...

 .NETという武器があるので、CPUの違いはある程度吸収出来るんじゃないかと私なんかは思ってます。下手するとコンパイルオプションつけるだけで両対応にしてきそうな...そんな気も(笑)

 今現在のアプリはWindowsを快適に使ったりするものが大半で...残りはツール類。でも外でそんなツールを使うかというと疑問なので...それはPC用のWindows8で使えばいいんだろうし(従来の7のインターフェイスも搭載する)。

 使い分けと対応CPUとを考えると...

 Microsoftの狙いはかなり当たる予感がしています。大外れだったら...それこそびっくりですが(^^;

 WindowsPhoneを触った限りではタブレットも期待出来そうなんで、androidより実は期待してたりします。後は...バッテリーの持続時間とかですが...それはTegra3次第かな(^^; androidも含めてTegra無双が続きそうな2011~2012年になりそうです。

 今のところはWindows8は2012年予定なんて言われますが...

 もしかしたらARM版が2012年でPC版が2013年春とかだったりするかもしれません(^^)

 不正コピーも含めてタブレット市場を見つめているっぽいMicrosoft。itunes対抗のソフトも登場するとなると...これから先がいろいろ楽しいかもしれません。(2011/06/06 追記 今のところはメディアプレイヤーが進化したものと言われてますがまだまだわかりません。METRO対応の新ソフトの話も聞こえますし。先々の楽しみにしておきましょう。メディアプレイヤーも性能だけならそう悪いものではないんですから)

  来年中にはいろいろともっと細かい情報が出てきて「あーっそうだったのか!」という感じになりそうですが...今のところ出ている情報を元にいろいろ推論してみると面白かったりします(^^)

 低価格PC用にライセンスを安くしたりするのにもいいので、ARM版Windows8は低価格PC市場もにらんでるんじゃないかな...なんて思ってたり。もしかしたら多数のハードをサポートする負担が想像以上に重くてARM版でその辺りすっきりしたいんじゃないかな?とか。

 あとWindows server2008R2の次から直接タブレットとか制御出来るようになるとこれはもうだいぶいろいろ変わるかもしんないなぁと。その手の仕事をしているならその魅力がわかるんじゃないかな...と(^^;