不安という名の見えない刃が更なる不安定要因を引き込んで行く

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 ご大層なタイトルですがなんてことはない話で、今偽アンチウイルスが非常に流行ってまして。

「あなたのパソコンにXX個の不具合があります!いますぐこのソフトをいれて対策してください!」

 こんな表示を見たことはありませんか?
 あればそれがたいてい偽アンチウイルスへの入り口です。広告という形で配信されてますので有名サイトでもたくさん見ることが出来ます。

 今回はそんなソフトも含んだもろもろの話。

 

 偽アンチウイルスソフトなんてひっかからねーよ!という人は多そうですが、有名なソフト以外にも結構悪質なものがあります。見た目も動作している画面も市販のアンチウイルスそっくりなものとか。
 私が見ただけでも「ノートンのそっくりさん」や「ウイルスバスターのそっくりさん」なんてのもありました。これがまぁ区別つかない。ロゴも本物のものを吸い出して使ってるわけで。解析しないとまずわかんないんじゃないですかね。
 とはいえわかりやすいのが更新に「クレジットカード番号を要求してくる」という共通点があるので、そこで怪しむことが出来ます。大手ソフトはクレジットカード以外の支払い方法を完備していることも多いですし。

 そもそも量販店等で購入していれば(日本の量販店購入であることが前提ですが)まず偽物は掴まされない。
 またネットでどんな警告が出ようとも疑ってかかること。

 正直なところ市販のアンチウイルスを導入していてwindowsupdateをきちんとしている人ならそこまでのセキュリティホールが空いたPCにはなってないかと。

 ところがまぁ...PCってのはよくわからない...なんて言ってる人が多いわけで。だからこそ狙いやすいしビジネスにもなる。

「あなたのPCはやばい!危険だ!だからこれで安心できる!」

 こう言っちゃうとうさんくさいですが、見せ方...演出次第では「ああ安心した。買ってよかったよ」なんて思っちゃうわけです。ウイルス検出中とかセキュリティホール分析中...なんてダミー画面を数分見せてから「おめでとうございます。あなたのPCは安全になりました」なんて表示しちゃえば結構な確率でだませます。

 実際偽アンチウイルスソフトの表の動作はそんなんばっかりですんで(笑)
 でも裏では...せっせと穴ほって他のウイルス呼び込んでたりしてるわけで。まぁバックドアが...とか言い出すと話が難しくなるので「むしろPCをどんどん危険にしていってくれる」と思っておけばいいでしょう。

 不安に弱い...安心感による後ろ盾がないと精神が安定しない。日本人に多い思考だと思いますが、狙い安い心のセキュリティホールみたいなものです。誰が保証する安全なのか安心なのか。専門家がいえば万事信用したりする根底もこれだったりする訳で。
 とにかく不安感とかよくわからないものに対する恐怖感が強い傾向にあるので、ちょっと煽ればおいしいビジネスにもつながるのですがそれはまぁ別の話。原発問題でもなんでも実に簡単に儲けてる人がそのあたりにゴロゴロしてますんで調べてみると面白いでしょう。
 

 中には市販のアンチウイルスの動作を停止させたりする機能もあったりしますのでなかなか強力なソフトもあるもんです。

 で、これも本題なんですが...日本人に限らないんですが特に日本人に多い心理で「保険の重ねがけをしたがる」ってのがありまして。安全の上に安全を重ねたがる。

 で、そこにさっきの不安に弱い...安心とか安全を求めたがる心理の強さが重なるともう手がつけられない。

 

 私が今まで見てきた中で多いのが「アンチウイルスの複数導入をしたがる人達」。ともかくものすごく多い。

「ノートンだけじゃ不安だからマカフィーもいれたんだよ。これで安心だよな」

「フリーソフトでアンチウイルスあるでしょ?あれいくつもいれてたから安心だと思ってたんだよ」

「え?アンチウイルスなんてひとつしか入れてないよ。フリーのやつ。え?他のも入ってたの?あ、それアンチウイルスだったんだ。よくわかんないけどツールバーと一緒にどうぞって書いてあったからはいってボタン押したんだけど」

 まぁ、並べればキリがない話ですが、上記のは全て「実話」の会話から引っ張ってきた台詞です。しかも一人じゃない。たくさんの人が同じこといってるわけです。

 詳しい人が頭を抱えてしまう事象のひとつで...しかもタチが相当に悪い。これやられると最悪OSの再インストールでもしないとPCがやたらに不安定になったままになることも。

 アンチウイルスソフトというのはOSの根幹にまで食い込んでる強力なソフトのひとつで...これがそれぞれに「俺が管理する!」「いや私が!」なんてやってるのを想像すればわかりますが、機能不全になるのも当たり前というか。

 で、これをやらかす人達ってのは必然的に最初に紹介した偽アンチウイルスソフトもいれようとするわけです。安心したいから。不安だから。

 XP世代のPCをいいから窓から捨てて7以降のOSにしろとか最近よくわめきまわってるんですが、VISTA以降でOSの中もいろいろ変わってきて。普通OSを最新状態にしてアンチウイルスを更新していれば...まず普通に使ってる分にはそうそうウイルスだらけにはならないもんですし...タチの悪いものには感染しないもんです。
 XP世代より以前ですとわりと簡単に侵入出来たOSの深いところが今のWindowsならある程度はしっかり強くなっている。その上で最新の防御を固める。それで十分っちゃ十分。

 ある意味それ以上はやりようがない。

 それでも不安だというならもうパソコンなんか使うなよって言いたくもなったり。

 でもまぁこの手法が相当有効なことは確かでして。

 その上みんなして「よくわらなければYesとかはいってボタン押してインストールしちゃう」クセがついてますんで。偽アンチウイルスでなくとも不要なソフトをどかどかインストールさせようと各社仕組みとして利用してる方法だったりします。

 たとえばGoogleツールバーやYahooツールバーをはじめとするツールバー。フリーソフトのインストール画面の中にこっそり「便利ですよ」とインストールが仕組まれていて最初からチェックボックスはインストール前提のマーク済み。

 あるいはアンチウイルスソフトの会社自体が仕組みとして自社のソフトに誘導するために使っている。
 そんなものあるのかって?
 たとえばマカフィー。Windows版Adobe flashをダウンロードしようとしてみてください。

マカフィー.jpg

 こんな表示が出ると思います。
 なんかこう無料のアンチウイルスでもいれてくれそうで一見便利そうですが...最初からチェックボックスは「はい」になってますのでよく読まないチェックしない人はインストールしてしまうでしょう。

 このソフトがなんなのかというと無用の長物です。
 一応セキュリティに穴がないかとか見てくれますが、見てくれるだけで対処はしてくれません。あくまでも「チェックしてくれるだけ」。役目はといえば「マカフィーのアンチウイルスに誘導するためだけ」にあります。
 それが悪いとはいいませんが、すでにノートンやらバスターやらG DATAやら使ってるユーザーのところにもインストールされてことあるごとにマカフィーに誘導してくるわけです。

 私の周りではこうしたソフトに「負けて」ついつい別のアンチウイルスソフトを重ねてインストールしましたって人が後を絶ちません。アンチウイルスソフトの会社がやるにはしてはちょいとあこぎかなとも思いますが。

 世の中こうした仕組みは認められているのか誰もナニもいわないのかたさくんありまして。他にもいろいろとごろごろと。

 ダウンロード販売される安価なソフトが増えるのはいいのですが、アンチウイルスソフトは量販店等でパッケージを買った方が安心...などという記事をみましたがある意味ではうなずいてしまったり。
 個人的には「ダウンロードと変わらない価格で特売されてる時にAmazonでパッケージ買おうぜ!」なんですが(笑)


 私個人はウイルスバスター等まったく評価しないでいますが、それでも防御力はそれなりにあるのは認めているのです。その防御力もユーザーが変なことをすればたちまち無力化されてしまう。
 そうなるとどんなソフトを使おうと無意味です。

 無用な不安感でさらなる不安定さを呼び込んで自滅していくだけなら薄ら笑いで見捨てますが、助けてくれと持ち込まれるPCがこんな状態ではなかなか対処が難しい。

 データバックアップしてOSを綺麗にクリーンインストールした方が早い。そう思ってます。

 まぁ...先ほどは7以降を勧めたわけですが(VISTAはさすがに勧めない)...Xpならなんとか出来る手段がいろいろあったのに7以降だとOSがまともに起動しなくなるので結局再インストールしかなくなってきたって変な事情もあったりはするんですが(^^;

 私は以前の記事に「不安という名の見えない刃」という言葉を使いました。
 不安は見えない刃となって人の心を切り刻みます。そうするとその傷みをなんとかしようと「安全」や「保証」を求めようとする。そこにビジネスのチャンスがあるのも確か。
 ぬぐいされない不安に襲われた人はたやすく扇動出来るしコントロール下に置くことが出来たりして...

 それはパソコンのソフトにしろなんにしろ同じような結末にたどり着いたり。

 結局は人がすることですしね。

 不安がさらなる不安定要素を引き込んでいく。偽アンチウイルスソフトにしろなんにしろ。そして当事者はさらなる不安と不安定さの中に進んで行く。

 何かいい方法はないものかとは思うのですが、今は浮かばないので...まぁPCのことだけでもフォローしつつ。アンチウイルスは一種類だけにしとけと。でそれを更新し続けてくれと(別のアンチウイルスにするのも結構リスクがあるのです。なかなか消えてくれない痕跡がたくさんたくさん。ノートンとかでよくある話です)。

 まぁなんかあってからもってこられるより「どうしたらいい?」と聞かれた方が楽なのと...私自身の信用や実績が安心感になるというならまぁそれはそれでいいかと半場諦めつつ。

 必要以上の不安感をもたないようにするにはどうしたらいいかな...なんて最近は考えることしきりだったりします。
 情報社会。PCがあたりまえにある時代。スマートフォンがどんどん普及する中で。

 舞台はPCからスマートフォンやタブレットへと移行しつつあります。もっと情報にうとい層から金や情報を引き出すために。きちんとした防御をして対処するにしてもやはり知識がないと不安感はぬぐえないのかもしれないとすれば。
 電話ひとつ使うのにも相当の勉強がいる時代なら...無理にスマートフォンとか使わない方が安心かもしれませんね(^^;


PS

 身近に高校生の頃からとてももてる...というか常に女性をはべらせて一緒にいるような男がいますが、彼の使ってる手法もこの不安とか心細さにつけ込むもの。外から見ると女性の敵に見えるんですが、女性側からすると頼りになるし安心感があって...とか言われるわけで。
 当人の気持ちと外から見た姿のギャップがなかなか。
 事象は違えど不安が呼び込むもののひとつということで。