最新IMEで武装せよ...案外知られていないIME2010の無料バージョンアップ

 Windowsで日本語入力していると、その変換の馬鹿さ独特さに「イラッ」とくる人も多いようで。
 昔は日本語入力用のソフト(以下IME)を別売りで買うのはごくごく普通のことで、結構いろんな種類のソフトが出ていたものでした。当時はFEPなんて呼ばれてましたが...登録商標だったっけなFEPって。フロントエンドプロセッサ。懐かしい響きです。

 当時のソフトは今では淘汰され、わずかな生き残り達と見事に生き残ったATOKだけが歴史を語る...というかATOK以外にまともに販売されているものはないんですが...のみ。

 私も愛用していますが、ATOKは好みにもよりますが概ねWindows付属のIMEに比べると快適な環境を提供してくれます。毎年バージョンアップするのが恒例となってますので、私としては1年間快適に使う保険みたいな気分で最新版を買い続けていたりもします。

 とはいえ、高いと思う人はいるようで。

 では無料でいいのはないか...というと、Google日本語入力というものが無料で使うことが出来ます。かなり独特の変換をするのですが、口語体でやりとりする限りにおいてはある意味ATOK以上かな、と。
 友人間では「2ch用語がすらすら書ける」なんて言ってますが、インターネットでよく使われる言葉、流行った言葉はすんなり変換してくれるので結構面白い。

 ただ、仕事に使ったり固い文章を書いてると...予測変換で出てくるものはちょっと違うかなーというものばかりになったり。人によるので、これにはまると最高のツールだったりもするんですけれど。私はちょっと合わないかな...かな入力だと辛い部分もあるし。

 じゃあ、無料でいいのはなんか他にないの?と言われると...結局Windows付属、純正のIMEの新しいのがいいんじゃないか?という話に。
 このIME、実はWindowsのバージョンアップや新しいOfficeソフトが発売されるたびにバージョンアップを繰り返しています。
 例えばWindowsXPを使ってる人にはIME2002と呼ばれるバージョンが最初からインストールされています。今ではある意味最もユーザーに多いIMEかもしれません。
 で、同じIME2002なんですけれどOffice XPに搭載されているIMEはやや新しいバージョンで改良されていたり。
 このIMEだけを単体で手に入れる方法はほぼなかったので、OSを買い換えるか新しいOfficeを購入しないとIMEは更新されなかったのが今まででした。
 Office2003に搭載されていたIME2003はそれなりに無難な変換をしてくれたのと、プリインストールされたパソコンが多かったのもあってやはりユーザーも多くそれなりにいい評価もあります。
 まぁ、昔から「OS標準のものはちょっと機能が足りなくて、それなりに使えるもの。Officeに搭載されるのはその完成版」みたいな扱いなのは伝統ですね(^^;

 IMEの2大巨頭といえばこの2002と2003...そして最も嫌われたのがIME2007。そもそもOffice2007自体が嫌われてしまったのでアレなんですけれど(^^;
 クセが強いIMEで、誤変換の多い人にはもはや「おまえは何を表示しとるんだ」という状態の候補群。Office自体が大幅な操作感の変更で「使いづらい」と言われているところにこのIMEですから、その相乗効果はすごかった...何もそんなに嫌わなくても...という感じ。

 まぁ昔から「きみはほんとうにばかだな」と言われるIMEですが...それでもタダでついてくると考えれば結構すごいものが付属してるなと思うんですけれど。

 あと、XPより馬鹿になったとよく言われることもあるWindows VISTAのIME。そしてすこしはまともになったと言われるWindows7のIMEですが...実際のところはOffice2003付属のIME2003がベースなのは変わってません。

 その性能の振り幅というか、どっちの方向性で変換するか...というかようは力の使いどころを変えてる(性能も上がってはいるのですが)だけで、基本は一緒だったりします。その割には出てくる候補といい、まるで違う製品のような挙動をしますが...
 このカスタマイズというか、変換に関する実装の仕方次第で同じエンジンでも性能ががらっと変わってしまうのも結構面白いところ。
 Office2007に搭載されたIME2007を改良してWindows7に搭載してくると私は思っていたんですが、マイクロソフトはそうせず、実績ある2003の発展型を搭載してきました。

 そして、今年。マイクロソフトは自信を持って新しいIMEをリリースしています。
 Office2010に搭載されたIME2010。

 クセの強さは相変わらずですが、それでもかなりよくなったな...と私は思っています。Office2007から2010への変更が見た目あまり変わらないため「どこが変わったの?」と聞かれることもあるんですが(不評だったリボンインターフェイスは2010でも採用されてますし。ただ、これに慣れた人も増えているので判断としては正しいのかもしれません)、私は「日本語入力が結構強化されたよー」と答えています。

 そしてこのIME2010ですが...

 実はOffice2010を購入しなくてもタダで手に入り、使用することが出来ます。
 条件は...Office XP以降の正規のOfficeソフトがインストールされていること。

 (上記文章クリックでマイクロソフトのダウンロードページに飛びます。)

 メーカー製PCなんかを購入していると、Office Personalがインストールされてるモデルを買ってることが多いので、割合多くの人がこの恩恵に与れるかな...と。

 一番古い組み合わせだとWindowsXP+Office XPがインストールされているPCならばIME2010を導入して使うことが出来ます。Officeを持っていないと条件に合致しないので使えないのが残念ですけれど。次のWindowsではこのIME2010かその発展系(の機能制限版)が搭載されるのかな...なんて楽しみにしています。

 実際この組み合わせで使用してみましたが...今までのIME...馬鹿残念な子だったんだな...と思ったり思わなかったり。いやまぁ2010もたまに「このお馬鹿!」と言いたくなることもありますけれど(笑)それはATOKだってままあることで。

 ATOKを買うお金は払いたくない。Google日本語入力も自分に合わない。
 けど、今使ってるIMEがとても残念に思える...

 そんな人は条件次第ですけれど最新IMEを導入して、快適な日本語入力環境を手に入れてはいかがでしょうか。


※一度いれると元に戻すのが大変かもしれません。システムのバックアップをとってからの導入をお勧めします。
私はXP+Office 2003の環境とWindows7+Office 2007の環境でテストを行いました。残念ながらOffice 2010は持ってないので、そちらでのテストはしてません。

 

 

余談

 私がかつて愛用していたのはWXGというIME。初期はバグの多さで絶句するほどでしたが、私個人としては安価でそれなりに機能のあるIMEで、かなり気に入っていました。英語の変換機能すら持つにいたり、どこへ向かっているのかわからなくなる製品でもありましたが...

 このWXGの前身にあたるWX2のWindows版がマイクロソフトのIMEの源流になっているのは有名な話です(Wikiにも書かれているぐらい)。WX3もDOSで結構使いましたが、WXGになって「...脳みそリセットされたかな?」と思うぐらい変換の違いが出て面白かったのを覚えています。このWXシリーズ、学習機能が独特で癖が強く、その性質は今でもIMEに息づいていたりします。WXGの系譜がなくなっても、IMEは進歩を続けていますので、ある意味で正当な後継者なのかもしれません。

 中身はだいぶ作り直してるんでしょうけど、癖は引き継いでるので雰囲気はまだ残ってますしね(^^;

 さらに戻るとDOS時代は刀2というFEPを愛用していました。あんまりマイナーで知られてないFEPですが、私的にはものすごく使いやすくて重宝したものです。サムシンググッド(当時)が開発していたオーロラエースやninja(データベース)などに付属していたFEPだったかと。単体売りもしてたかなぁ...(うろ覚え)

 なんでうろ覚えかというと...昔の同級生がこのサムシンググッドで一時期働いてまして(^^;

 そこからこっそりFEPだけわけてもらったので商品は...PC8801の将軍しかもってなかったという。古い話なので時効ってことで。しかも私のためにカスタマイズされた専用のFEPに仕上がっていたので、DOS時代は最後までこれを活用していました。

 当時私が仕事で必要としていた語彙を全て網羅し(逆に専門用語の一部辞書と置き換えているため、そっち系の変換はからっきし。鍛えて始めて使い物になるという癖の強さも弊害として発生したという。アルゴリズム自体は製品版と一緒ですし)、使い込んだおかげでさらに手放せなく。

 VZエディター+刀2で当時の生活が成り立っていたといっても過言ではないくらいです。(プログラムの知識はZob-plus BBSの知り合いから勉強して。パソコン通信時代も懐かしい話です)

 Windows時代には追いつけず消えてしまったソフトですけれど...あのまま発展していたら、面白いIMEが出来上がっていたかもです。今でも愛用者がいるようで、パッチがインターネットにあがっていたり。私は98エミュレーターに突っ込んで一時期使ってました。

 さすがに今ではATOKになれてしまいましたけれど(^^; まぁ、古き良き時代の思い出話ってことで。まぁ。

※続きの記事「最新IMEで武装せよ2...「そんなIMEで大丈夫か?」「一番いいのを頼む」」もどうぞ♪