INTELが仕掛ける「Sandybridge搭載格安ノート戦略」...そして「Ivybridgeから始まる格安モバイルノート戦略」の波に乗れ

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 最近格安ノートの台頭が著しく国内メーカーのノートPCが押され気味です。
 量販店にくる人は「出来れば知ってるメーカーがいい」わけですがそうでもない人にとっては「どうせ同じパーツを使っているのなら安い方がいい」わけです。
 そこに入り込んできたのがこの数ヶ月の間に出回った「Sandybridge時代のiシリーズ搭載格安ノート」です。
 それは店頭ではやや高めの価格設定で。真の魅力は通販で手に入る「激安価格」にあります。ただネット回線の同時申し込みとかの割引がおいしいので場合によっては店頭の方がおいしいこともありますが(笑)
 だいたい似たようなスペックでして、i5の2G前後のCPUにメモリは2G。HDDは320G程度。液晶は1366*768のフルHD(ハーフHDですが)。光学ドライブを搭載して49800〜59800ぐらい。キーボードはアイソレーションっぽいものでテンキーのある無しはメーカーによる。
 CPUはまごうことなきSandybridgeですからそう遅いものでもなく。むしろ早い。
 
 これが約5万前後で手に入るわけですから、「いつまでもXPのしょぼいPCにしがみついてんなよ!」と友人達に悪態をつくのもすっかり日課になってきます。(わかってて使ってて遅いとかしょぼいとか年中言うぐらいなら買い換えて欲しいと思うのです。気にならないなら何も言わずに使えと(苦笑))
 このスペックでWindows7(大抵は64bit版)を搭載しているわけですから特に言うことはなく。古いPCからの買い替えにも適したPCです。壊れた時にさっと買い足すPCとしてもお買い得感が高い。
 ちょっとでも不満があるならメモリを増強してもいいですしHDDを交換してもいいでしょう。ただメモリ以外のパーツ交換はコストアップにつながるのでだったら格安ノートにする意味はない。(というかそれならより上位のモデルの方が割安感があったり)
 自作を値段だけでやってるような人なら一度試してみて欲しい商品だったりします。もちろんそうでない魅力を知っている人はこれはこれとして購入しつつ枕元において「やっぱり動画を寝ながら見るにはいいよね」などと微妙な使い方をしつつデスクトップはあくまで自作するでしょうけれど(笑)

 実際の相場は上記に書いた通りですがネットを巡回しているとたまにこれが「さらに安い」値段で売られている光景に思わず硬直してしまうことがあります。私は先日39800で売られているのを見て...しかも在庫ありの翌日出荷になっているのを見てマウスを押そうとする右手の指を左手で必死に阻止するというまぬけな状態に陥りました。
 i3を搭載したノートであればさらにチャンスは多かったり。そもそもモバイルのi3とi5は同じGPUを搭載していてクロックの若干の差はあれど値段ほどの差はなく。HT(ハイパースレッティング。擬似的にCPUを複数のコアに見せかけてこきつかうINTELお得意の方法。パワーがあがるけど発熱もあがる諸刃の技)の搭載ぐらいしか差がなかったり。(さらにモバイルi7にいたってはi5との差は値段ほどないような...まぁ余談ですが)

 実はこれらのノートPC。INTELとマイクロソフト...そしてPCベンダーの微妙な思惑で誕生した新たなCULVノート市場とでもいうべき存在だったりします。
 そもそもCULVなノートPCとはなんだろうというと、あんまり性能が高くならない範囲にCPUの性能を制限する代わりに安価にしてネットブックよりは早いけど安価なPCの市場を...というINELが作り出した面白い市場です。Atomなネットブックじゃ嫌だ。でも高いノートPCは無理...そんな人たちにINTELはより高価格で付加価値のある...それでいて「絶対に満足できない」性能のCPUを売ることが出来ます。マイクロソフトはネットブックのスターターエディション等の半端なOSではなくきちんとしたWindows7を搭載してある程度快適に使ってもらうことが出来る。PCメーカーはやや安価なカテゴリーに新しい需要を見いだすことが出来る...そんな思惑の上に成り立った市場でした。

 そしてその流れが今回のSandybridgeを搭載した格安ノートPCへと繋がります。SandybrdgeのiシリーズCPUを搭載しているとはいえ、その性能はだいたいにたりよったり。CPUの型番も実はこの市場向けに製造されたのではないか? と思えるものに徐々にシフトしています。
 OSは変わらずWindows7ですが快適さは段違い。ここでも市場を広げるためにマイクソフトはバリュー価格を続けます(あるいは優遇措置等。メーカーによって条件が違うので一概には言えませんが)。PCメーカーは今まで他のメーカーと争っていたよりも下の価格帯で戦うことが出来るうえ、内部で使用しているパーツはほぼ同一メーカーの同一シリーズだったりしますので調達コストもかなり安価になります(というか特定メーカーの特定パーツの組み合わせを搭載すると安くなるように最初から仕組まれている)。
 そうしてメーカー主導で出来上がった格安ノートなわけですが...日本国内ではかなり熱い商品となっています。国内メーカーが迷走し、「高価格で安定させるためにはなんの機能をつければいいか」に捕われて価格の引き下げを拒んだ結果...その下の市場が構築されつつあるからです。
 日本メーカーの選んだ付加価値など「3D」や「地デジ」ぐらいのものでメーカーごとの差も少なく魅力もそれほどでもありませんでした(地デジはそれでもかなり好評なのである意味正解の選択だったとは思うのですが3Dは...まだ時代が追いついてないというかユーザーが必要としていない状態ですし。コンテンツも用意しないでどうするつもりだったのか)。

 対して台頭してきた低価格ノートはCPU性能もそこそこあってGPU性能もそこそこ。XPやVISTA搭載のA4ノートPCからの買い替えには十分すぎる性能を持っています。マイクロソフトとしてはXPやVISTAにはそろそろ市場から消えていただいて...などと思ってるわけですからメーカーにはかなりの価格で提供しています(今後Windows8では複数台用のOSパッケージを低価格で出すなんて話もあるぐらいです。いずれは無料にすることも考えているのかもしれません。10年後とか遠い話かもしれませんが)。
 メーカーの思惑はともかくユーザーからしてみたら今回の格安ノートPCは「おいしい」製品には違いありません。絶妙に使える性能と安価な価格がおいしい。メーカーも自作系メーカーの台頭により知名度があがってきているし日本でのサポートを歌っているメーカーもあります。国外にPCを発送しなくても日本語でサポートが受けられるなら特に国内メーカーにこだわる必要がない...
 そう考えたユーザーが徐々に増えてきたのか、最近はこの手のノートPCが人気です。同価格帯に似たような製品を投入するHPやDELLもいますのでかなり熱い市場です。
 それでも国内メーカー品がいい人は量販店専用モデルを狙うとかなり熱い。ポイント還元等でかなりの値引きを行っているケースもあります。秋葉原のヨドバシで行われるダイナブックの台数限り特売あたりはタイミング次第ではかなりおいしい(国内メーカーの製品はソフトが最初から入っているものが多いので面倒な人や選べない人にはやはりありがたいのです。慣れてるといらないソフトが...となりがちですが初心者にはうれしいものです)。

 とはいえ価格帯的には今でネットブックや...新たな製品であるタブレット辺りとも競合する価格帯。新しいホットスポットともいえる値段。それでいて早い。
 CPUのランクを落としたものなら普通に29800や39800のノートPCが見つかる状態です。価格コム辺りを見てみると人気のノートPCがこうした格安ノートPCばかりになっていることに驚きます(A4ノートの場合)。
 SandybrdigeはCPUの製造コストにもいろいろと恩恵があったため、歩留まりの関係でごにょごにょと言いづらいものをこうした低価格市場に出荷している...なんて話も初期にはあったぐらいです(今は型番からして専用のCPUを出荷しているのはたぶん間違いないかと)。なんにしてもおいしい商品が安く買えるのはありがたいことです。



(なぜかピンクだけ安かったので貼ってみたり)

 そして...この後にはもう一つの格安ノートの市場が始まろうとしています。それがINTELの提唱するウルトラモバイル市場です。

 ウルトラモバイルはIvybridgeの宣伝の際に出てくる構想ですが、ようは安い高性能CPUを使ってB5程度のモバイルPCを安価に販売しようという計画だと思っていればいいかと。実際は違うのでしょうが消費者からしたらその程度のものです。バッテリーもIvybridgeのおかげでかなり「持ちがいい」ものになるという構想なので、国内メーカーがアドバンテージにしている「小さくて早くてバッテリーが長持ちするノートPC」を海外の格安メーカーがガンガン販売できる...というイメージでいいかと。

 実際のところは構想だけですしまだまだうまく言ってないんですが(某メーカーの試算では1000ドルぐらいになってしまったそうで。599ドルぐらいでないとINTELの構想からしても市場からしてもちょっとおいしくないなぁとは思います)、INTELの意気込みは荒い。なんせライバルAMDがLlano等を含めて新世代の格安商品をぶつけてきましたから。CPU性能ではアドバンテージがあるもののGPUでは分が悪い。Ivy世代でよくなるとはいってもRadeonの名を冠する新しいコアを搭載されてはまた突き放されます。
 もっともCPUに関してAMDはLlanoに積極的に早くしたものを投入する気もないので(いろいろな意味で)、そんなに怖がることもないのかもしれませんが。INTELとしてはやはりある程度の優位さは確保したい。

 そこでA4の下。ウルトラモバイル構想。出来ればWiMAXの普及もにらんでの製品。

 自宅でなく外で使うPCなら今まで1台しか買わなかった人ももう一台欲しくなる。
 一人に複数台買わせるための製品。

 しかも搭載できるパーツ類がものすっごく厳選(INTELが選んだ厳選ですからある意味独裁的な選別ではありますが)されてますので、各社の個性は出しづらい。けど価格的には各社が望んでいる「もうひとつの柱」になり得る市場も見えてくる。
 企業の論理で生まれてくる市場ばかりですが、ユーザーからしてみたら「安くて早ければOK」なので問題は少ない。あとは各社の出してくる個性を「このキーボードはよそとは違う」とか「この表面の仕上がり。やや高くなるけど安物とは一線を画すな」とかいってユーザーが気に入ってくれればよし。
 ちょっとIvyの卸値と性能と...そして売る側のメーカーの思惑「B5なんだからプレミア価格にしたい性能も上げたい」なんていうちょっと笑っちゃう部分も相まって今年はまだイマイチ感ばっちりですが来年には状況もかわってきます。

 そもそもその先駆けとしてのSandybridgeの格安ノートです。いろいろなバリュー価格向けの制限のためにB5ノートはまだ少ないですがINTELとしては今年の後半はSandyを使ってウルトラモバイルのスタートを切りたいところ。
 実に面白くなってきました。
 ユーザーはメーカーが趣向を凝らして作る料理をおいしく食べるだけでいいんです。どんな理由があろうと自分が納得できる価格で納得のいく性能のPCが手に入れば美味しいんですから(笑)

 デスクトップ市場はすでにゆるやかな崩壊の道を歩んでいます。アジアを中心にノートPCの勢いは増すばかり。ならばそこでもINTEL入ってますと主張するために...INTELは止まりません。
 もちろんライバルたるAMDもまったく止まる気はないんですが、今は製品の谷間。秋からのブルドーザー快進撃のために力を溜めてふんばってるところでしょう。
 そんなタイミングの谷間だからこそおいしい格安Sandyノート。私も一台欲しくてソワソワしていたりします(笑)

 わりと値段なりの作りはしてますが(キーボードとか筐体の作りは見た目よくてもやはり安価な分それなりですか)性能もそう悪くなく。数年で使いつぶすぐらいの気持ちで買えば結構悪くないと思います。秋葉原ヨドバシには格安ノートと同じ筐体を使用したノートがありますので触れる方は触ってみると面白いかもしれません。
 私も今週末はのぞきにいくつもりです(笑)