2012年のPC業界にWindows8がもたらす光は...夢想した未来を書き綴る

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 2011年は比較的明るい感じで一年が過ぎました。
 もちろん震災の影響等いろいろあったんですが、PCという分野では話題も多く実りある一年だったかと。
 タブレットやスマートフォンが普及し「PCなんてもういらなくなる」とさかんに騒ぐ人もいましたが、私的には「なくなる信者はいつも出てくるがそういわれてなくなった物はひとつもないんじゃないか?」という感じで。
 相互に補完しつつ利用し利用されていくもの。そもそも作ってるメーカーがPCメーカーとだぶる訳で。自分の商品を苦しめるぐらいなら「一緒にどうぞ」とするのが普通なんじゃないかと。
 さて、それでは今年2012年はどんな年になるでしょうか...

 個人的には「暗雲たちこめる年」だと思っています。
 タイの洪水の影響は思っていたより大きく...HDDをはじめとしてその影響は値上がりという形で我々の前に現れました。それでも値上がりしただけで品物は手に入るのですからまだマシなんだな...とは思います。
 実際のところCPUの値下がりやメモリの暴落でPC一台の価格として見ればむしろ低価格で性能があがっている状態です。パーツ単体で見ると一時期の値上がりはつらかったですが、市場を牽引するものはまだまだ見つけようと思えば見つかる状態。
 では何が暗雲かというと...訴訟問題がまずひとつ。

 スマートフォン分野での争いが飛び火していろんなところで訴訟合戦やってるんですが、その影で特許をより多くとる方向での勝負が続いていたりします。
 これ自体は実はわりと歓迎してるんですが(新機軸の考え方や今まであやふやだったものの線引き...あるいはこれから出る商品の明確化などいろいろと)、そのための労力が馬鹿にならず。小さなところはもう争うのをやめて使用料を払っておしまいにするしかなく。
 リスクヘッジのためにもお金払って逃げられるなら逃げたい部分だったりするので、各社いろいろと駆け引きをしています。そんな影響が地味にPC業界にもあるようなないような。詳しくは書きませんが。力ないメーカーはどこかに吸収されるしかない...そんな時代になりつつあります。
 特許と訴訟のために右にひだりに振り回されるS3の末裔にしてもそうですし、他にもいろいろと見え隠れ。
 今年はそうした動きがさらに活発化するでしょう。ますます大手の寡占が進むとなるとアイディア勝負のパーツが減ってしまう面も。どうしても安定志向になりがちですから仕方ないんですが。
 PCの進歩は自作に限らずともちょっとした部分での作り込みや新技術の搭載だけでも大きく進歩したりします。その歩みが昨年の秋ぐらいからちょっと停滞気味かなと。
 Appleは元気いっぱいですが、それもどこまで続くか。ティムはそもそも安定志向の人ですし...ありあまる現金資産もあまり動かしすぎればいろいろと弊害があるものです。今はサムスンとの訴訟に力を裂いていますからまだいいのですが...製造方面でのAppleの影響は大きいので。以前もフラッシュメモリが足りなくなった事件とか(ipodのせいといわれてますが)やらかしてますしね。

 他の暗雲はというと...INTELとAMDの関係がひとつ。
 AMDが今ちょっと元気ないんですが、別にそれは新CPUの性能がとうそういう部分ではなく。主に製造面での不安感から元気がないんじゃんないかと思っています。
 我々が思う以上に海外ではFUSIONは人気がありますし...需要に見合った注文も来ています。が、どうも歩留まりが悪かった。その分高コストとなりますが低価格製品ですので商品価格に上乗せも出来ず。当然利益を圧迫します。冬になってようやく解消されつつありますが、新CPUへとコアを移行するようでその辺りのタイミング次第ではまた同じことになるかと。
 待望の新CPUはサーバー分野では十分に活躍出来るポテンシャルがありますが、コンシューマーだとPhenomに及ばずなど散々な書かれようです。その特性を活かした使い方を工夫するとかなり面白いCPUなんですが、残念ながらその設計思想が生きるのはもう数年後になるかもしれません。
 AMDが元気をなくすとINTELは調子づきます。まして製造面では最強に近い企業ですから...新しいプロセスも相当早いタイミングで移行出来たりします。それで商品を安くするかというと...AMDがいないとINTELは笑顔で利益確保に走りますから...今年はどうなるか。
 幸い世相を反映してかコンシューマーのCPUはそこそこいい感じの価格に抑えられていますが(これはIvybridgeでも踏襲予定)、その代わりマザーボードの単価があがる一方に。これはチップセットの価格もそうですが、付加価値をつけて利益を確保したいメーカーの思惑もあって複雑です。
 HDDの価格上昇も手伝ってなかなかカオス。
 そこにもってきてINTELのノートPCシフト(移行というよりは迎撃のためのシフトの意味合いで)が露骨で、メーカーも巻き込んでものすごい攻勢をかけています。ただウルトラブックも含めてですがノートPCというカテゴリーは狭い筐体の中に機能を詰めこむ訳ですから各社どう工夫しても個性が出しづらい。
 結局コストもあって似たようなデザインに終始してしまい、各社横並び。これでは魅力的な製品は出てこない。価格面での魅力はかつてないほどですが、それ以外の部分では性能も出しづらい。

 これらの要因を吹き飛ばすだけの大きな動きとなると、OSの刷新が一番期待出来る話。
 ところがそのOSの刷新にも不安要素がかなりあると思っています。
 
 Windows8は優れたOSだとは思いますが(Windows7がその根本なのは変わっていないので優秀さは折り紙つき)、インターフェイスの刷新を「やりすぎ」ているかなと。メトロインターフェイスは優れたインターフェイスだと思いますが、OSの「顔」にするにはまだちょっと早いかな...と。
 タッチパネル前提ならまだしも通常のPCで使うとどうしてもやや難がある。まして今までのデスクトップが使えますよといっても、それは呼び出せるだけで今までのものとは似て非なるもの。
 スタートボタンになれきった今までの経験者たちはオロオロすることしきりです。評価版のWindows8に触ればある程度はわかると思いますが...最初は電源の切りかたすらわからない人が結構いたぐらいで。
 現在のWindowsチームを率いる人物はOffice2007のリボンインターフェイスを強力に推進した男。Windows7の時は「Vistaでこぼした機能をひろいつつブラッシュアップして使いやすくしよう」という方向で動きましたが、今回は「今までのWindowsは終わった。再起動して新しいWindowsになる」という動きをしていますのでかなりの変化を加えてきました。

 一応企業用には通常のデスクトップメインになったWindowsがあるんじゃないかと(エンタープライズエディションのみとか)いわれたりしていますが、どうかな...と。
 企業が安心して導入出来るのは7までで、8からはまた冒険になりかねない。あるいは9とかそれ以降のWindowsが導入候補になると見越しているのかもしれませんが...

 このWindowsの動きに敏感なのがINTELで、ウルトラブックの付加価値としてタッチパネルを搭載したくてたまらないというのが見え隠れ。あるいはこの動きがうまく行けば、今年後半のノートPCからはタッチパネル+Windows8レディなんて話になるかのもしれませんが、自作PCユーザーはモニタの買い換えということになるわけで、その出費は痛いなんてもんじゃないかも(苦笑)

 マイクロソフトはタブレットもまた「PCである」と定義していますので、Windows8をそのまま搭載してきます。とはいえARMの上で動く以上今までのソフトとの互換はほぼない(.NETで作ったプログラムなら容易に動くかもしれませんが)。いろんな人がARMでWindowsが!!とわけのわからない期待をしていましたが、私自身は相当冷ややかな目で見ていました。
 今までのマイクロソフトを知っていればそんなことに期待する方がおかしい。
 新たなプラットフォームを用意して、Windows8以降はそちらをメインとしたいんじゃないか....NETなりなんなりをおっかけていればそんな考えも浮かんできます。

 スマートフォンも「PC」としてとらえるマイクロソフトはWindowsPhone8でPCのWindowsとの強力な連携をしかけてきます。そこにはBingやLiveメールも含めた露骨な囲い込みがあるのですが、Gmailアカウントを根幹に据えたandroidプラットフォームのやり方を相当研究して仕組みを作ってるみたいなので、案外使いやすいものになるかもしれません。

 なぜ現在のWindowsPhoneは7.5なのか。それは8というマジックナンバーで一気にWindowsというプラットフォームをリビルド...再構築しようという思惑なんだろうな...と漠然と考えていました。
 今年はのそための準備の年なんでしょう。大きな発表はあってもそれがPC業界に与える影響は年末以降...Windows8の発表まで待たねばなりません。
 iPhoneが強すぎるとか、あるいはAndroidが席捲している中で遅すぎるとかいわれていますが、実際のところそのどちらもビジネスの分野では「これから」のOSです。
 エクスチェンジとの連携も含めて企業が導入したいのはあるいはWindowsPhone8になるんじゃないか...とも思えます。セキュリティに敏感な企業ほどAndroidは避けているという面白い実感もありますんで、先はまだ見えないかな...と。OSのバージョンアップという危険な弱点を抱えていますからね...その点ではiOSの方が安定・安心感がありますか。
 でもAppleは顧客とか法人のいうことなんて最初から聞いてくれないので(笑)自分達がやりたいこと正しいと思ったことしかしないので...企業としては使いづらいことになるかも。
 社員は使いたがっても会社としては使いづらいのが今のタブレットやスマートフォンの実態なので、そこにはまだまだつけいる隙があるものです。
 WindowsPhoneは出来自体サービス次第ではまだまだチャンスがある。それが私の見解です。
 とはいえまだ先の話でして。

 それまでは大きな商材になるものをマイクロソフトは提供してくれないと私は考えています。これもまた暗雲のひとつ。あと一年は小さな改変や小出しの技術による延命しか期待出来ないのですから。
 
 まぁ、新しいOfficeが発売になればあるいはそれが起爆剤になるかもしれませんが...

 PC業界といってもぶっゃければマイクロソフトとAppleが2社でやってる業界です。Linuxなどの第三勢力があるにしても、開発されるハードはどうしてもその2社の思惑に乗ったものになってしまう。ビデオカードにしろなんにしろ。それを踏まえると今年は「大きな変革は少ない」と考えていいんじゃないかと。
 AppleはMacOSの改良を去年やったばかりです。根幹から変えてはこないでしょう。むしろiOSデバイスを中心としたiPhoneやiPadの攻勢を強めるのが一番わかりやすい路線です。
 マイクロソフトはOSの刷新もそうですが組織の整理も同時に進めているようなので...今は「ホップステップジャンプ」でいえば「ステップ」にあたる時期かなと。
 XBOX360の後継機種もまだベールを脱げず(どうやらある程度の仕様が出たのかソフトハウスとローンチタイトルの話も始めたようですが、実機はまだ存在していないと聞いています)、キネクトの活用でお茶を濁すしかない状態。キネクトは価格で無理をしてでもよいものを出しただけあって、Windowsでも活用出来る道が出来はじめました。
 が、まぁ狭いアジアの家ではなかなか遊びづらいのも確か。その辺りはどうもきちんと把握しているようですので、次のハードには反映してくれると信じたいですが...北米が一番売れる市場なんで北米仕様になっちゃうかもしれません。

 この新ハードもWindows8(正確にはWindowsCoreやVISTAの流れを組む小さなWindowsと予想していますが、名称としてはWindows8搭載と宣伝してきそう。DirectXも11対応とかいろいろいわれてますが実際のところはまだ不明。搭載ハードに合わせてくるんでしょうか)搭載とぶちあげてきそうな雰囲気もあります。このOSXBOX360にも使えるんじゃないでしょうか。資料を漁るとそれっぽい記述があったりしましたし。

 新たなプラットフォームWindows8ファミリーはひとつのゲームがあらゆるハード上で動きます。そう言い切る中にXBOX360もWindowsPhoneも入っていますから...仕掛けはいろいろとあるのでしょう。技術者としては興味があるところです。
 C#の勉強しとけよーとその手の話題に強い友人にいわれたところを見ると、なんかあるのかもしれませんが残念ながら今はそんな時間もなかなかとれず。ちょっといじっただけでも面白いんで、時間があれば勉強しようと思ってます。
 ちょっといじっただけでも必要なアプリは作れちゃったんで、本格的に勉強しなくても結構使えてしまうかもしれませんけれど。

 Windows8はまだまだ開発中です。最終仕様に向けて各種機能の最終チェックが進む中。どの機能が搭載されてどの機能が後からの搭載になるか。見送られる機能はあるのか。まだまだ変化がありそうなところ。
 予定では今年の末には発売ないしは発表の予定ですが、順調にビルドがあがっていると聞きますので案外もっと早くに発表されて年末にはメーカー製PCに搭載されているかもしれません。
 VISTAを改良したのが7といわれますが、8もまた7を改良したOSと言うべきもの。搭載する機能次第では相当早く完成させることが出来ます。

 AppleもiOSの魅力をMACに取り入れようとはしてますが、マイクロソフトより保守的に...慎重にことを進めています。
 マイクロソフトはダイナミックに変化を起こそうとしていますので、それが吉と出るか凶と出るか。

 その鍵となるのはWindows8と対応するWindowsServerの機能次第かな...とも思うのですが、これもまだわからないことだらけ。

 Windows8は久し振りに派手な光を放つOSとしてデビューしそうですが、大ゴケするか大ヒットするのか。その光がPC業界を明るく照らしてくれるのか。

 まだまだ未確定。たゆとう海の中に隠れた存在。今のところは憶測とリーク情報だけが楽しみな状態でしょう。突然仕様が変わるのもマイクロソフトのお家芸ですので、今は正しいことでもいつ嘘になるかわからなかったり。発売されるまではその真の姿はわかりません。
 それでも今年最大のイベントになるのは間違いなく。PC業界の明るい話題となってくれるといいのですが。

 CPUもIvybridgeが出るとはいえ、改良点はある意味大きな変革をもたらさないものばかり。(性能は大きく向上しますけれど)USB3.0の普及とか商材はあれどもいまいち感はぬぐえず。

 ウルトラブックをはじめとしたノートPCの方が注力されがちなので、自作PCの分野だとちょーっと話題に乏しいかなーという感じ。

 どうしてもPC業界系の記事は自作に偏りがちなので、そういう意味ではやはり暗雲たちこめる2012年かな...と思えてなりません。世界的な不況も秒読み段階です。ヨーロッパの需要の落ち込みが中国を直撃している中、世界恐慌とはいわないまでも何かが起こる可能性は高く。
 PCなんかはその影響をモロにうける分野なので...IT全般がそうですが...どうなってしまうのか。

 IT投資が進む中クラウドを中心に据えたメーカーの思惑がデベロッパーとうまく噛み合っていない現状で、エンタープライズ分野もいまいち動きが悪く。ストレージ系は躍進の気配があれど、まだまだ動き始めたばかり。仮想クライアントや仮想NASなんて商材もありますが、まだまだ顧客に魅力がアピール出来ていない段階で。

 コンシューマーもエンタープライズも今年一年は「力を溜める年」になるんじゃないか。
 私はそう予想しています。

 当たるかどうかはわかりませんが、今の段階ではそんなイメージです。

 明るい商材は全てWindows8(タブレットやスマートフォン含む)に終始する予感もありますし...どうなるか。
 新年から明るい話題は少なかったですが、秋葉原の小売り店は元気一杯でした。どこも無理矢理にでも活気を出して笑顔を振り舞いて。好きでやってる人達が多いのもありますが、それ以上に商材がなくてもやってみせるという気概を感じさせてくれてちょっとうれしかったり。

 消えていったショップもたくさんありました。今年はどうなるか。

 せめてWindows8が発売されるまでは。どのショップも頑張って欲しいな...と。

 新年の秋葉原を歩きながら思いました。