とんでも事務所移転...思い込みの恐怖

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 先月、昔働いていた会社でつきあいのあった...とある会社の社長さんが自分の会社を移転されるというので、そのお手伝いに行きました。

 引越日などが決まっていたため、当日現地に行ってパソコン関係の設置・設定だけしてあげればいいかなーと、ラフな私服でひょいっと参上(日曜日だったもので)。社長と会った時はさくっと終わらせてラーメンでも食べに行きましょうと話していたんですが...

 待ち合わせ場所である引っ越し先についたら...その社長さんが顔を真っ赤にして怒鳴っています

 何事!?と思ったのですが、私の顔を見た途端に普段の優しい顔に戻られて、こっちもほっと一息。何があったんだろうと聞いてみました。

 

 ...結論から言うと、電話回線の手配漏れでした。(インターネットも含む)

 

 一般の電話と違い、ビジネスホンの移設というのは結構な手間です。電話機の増減がなければそんなでもないのですが、今回の移転では電話機を増やすことにしていたそうで。しかも移動距離もちょっとある。つまり、電話番号も変更される。

 社長自身は相当前に指示していたのですが、部下の方が「どうせすぐ終わるだろう」と思い込み、実際に頼んだのは移転一週間前...それはさすがに無謀というもの...私も口をあんぐりでした。

 電話回線というのは開線まで予想以上に時間がかかります。電話だけならまだしも、インターネット用の光回線の設置等考えると、それこそ一月前には手配しておいた方がいいのです。ところが、事務所移転を担当していた社員の方は「自宅の回線は結構速く引けたし一週間もあれば大丈夫だろう」と思い込んでいたそうで。...ADSLならそりゃ早いでしょうが...

 さすがに、私のコネでどうにか出来るものではなかったので(出来なくはないのですが、その日は休日。いろいろどうにかしたところで、短く出来る時間はたかが知れています)、ともかく引越屋さんと引越作業だけは終わらせることに。

 社長さんの怒りは収まりません。そりゃそうです。ただ、そこでふと不安に駆られまして、訪ねてみました。

「フリーダイアルの移設は大丈夫ですか?」

 同一地域内ならそのままってこともありますが、今回の移転は神奈川から東京都への移転。そう簡単にはいかないのではないか...そう思ったのです。しかも管轄はNTTではなくNTTコミュニケーションズ。管轄違いのため、NTTへの手配だけでその辺りは何もしてないのではないか...案の定、社員の方「は???」という顔に。

「...これは、任せたのが失敗だったかな」

 社長さんの顔色はそろそろどす黒く。怖いなんてもんではないんですが、立場上逃げられず。ともかく社長さんを連れだってその場を後にし、とりあえずラーメンを食べることに。

「みやびちゃん、この手の案件、手配は得意だったよな」

「まぁ、言うほどじゃないですが...」

 電話回線の工事業者や、その他の業者とのつきあいはそれなりにもってるので、頼もうと思えばいろいろ頼めます。

「...今日の移転は半分中止にする」

「え?」

 つまり、引越自体はするけれど、電話等は元の事務所において、そこで営業活動はする。と。

 移転のお知らせは、はがきでもう得意先に送ってあるので、お客様は新事務所に来るだろう。だから双方の事務所に人を置く。万が一に備えて、旧事務所はもう一月借りてあるし、電話回線もそれに合わせて撤去の段取りになってる...電話だけもっていけば、繋がるはずだ...そうおっしゃられました。(実際にはそんなにうまくはいかなったのですが、そっちは社長が強引にどうにかしたようで)

「それにしても、ここのラーメンまずいな...俺は家系のが好きなんだよ...」

 ...そんなこと言われましても。だったら移転してくるなよ(^^; まぁその場では言いませんでしたが(笑)

 社長さんが自ら手配してれば、たぶん何も問題はなかったのでしょう。わからないことは人に聞いて、きちんきちんと確認しつつ行動される方ですから。ですが、現実はこの状態。企業としてはもう恥ずかしいやらなんやらで。社長さんはラーメンを食べながら愚痴る愚痴る。私はラーメンの味がいまいちわからない状態でした。気持ちはわかりますが...部外者の私としてはちょっと勘弁して欲しい状態。

「みやびちゃん、頼むよ」

「...はぁ。まぁ、微力を尽くしましょう。ところで、私今リストラされかけてるんですが...社長のところで雇ってもらうわけには...」※

「...ごめん、それは...今は無理。せめて秋まで待ってくれれば...なんとか...」

「...そ、そうですか...」

この時点ではまだ転職話はまとまってませんでした。

 ともかく、立て直し計画です。その場でいろいろと依頼されましたので、翌日の月曜日に知り合いの業者さん達にいろいろ手配。そこでわかったことがまたさらに驚愕。今回の事務所移転の手配で、社員さんが手配したと思い込んでいたのは...「見積もり」だけ。発注はされてなかったという事実。

 そのまま待っていたら、電話回線もインターネット回線も...怖い怖い。(ただし、元の事務所の電話も手つかずなわけで、社長がどうにかした訳ではなかったらしい。不幸中の幸い...なのかなぁ(^^;))

 私しとしては逆にラッキーであり、知ってる業者に一任出来ます。事情を話したら「NTTの対応の遅い部分だけはどうしようもないが、それ以外はなんとかしてみせるよ」との返事。心強い。まぁ、合い見積もり無しって言われりゃ、誰だって張り切るものなんですけれどね(^^;

 また、移転の際にパーテーションも移設したのですが、これもまた中途半端。素人が適当に測った間取りで配置したため、どうにもこうにも合ってない。まぁ、これも大丈夫だろうという思い込み。かといって今から業者に頼んで全部新品とは行きません。そこで私の知り合いの中古什器業者の店長さんに電話したところ「内田洋行のパーテーションみたいだから、パーツ取り寄せてあげるよ。実費に10%乗せでよい?」との返事。この際贅沢はいいませんし、仕切り価格に上のせ10%なら文句言えない。この場合はむしろ良心的。

 まずは現地調査してもらい、パーツを発注。寸法もきっちりとりました。納品時には実際に店長さんが来てくれることになり、工事の心配もなくなりました。ともかく月曜日中に段取りだけはつけないと。その他様々な手配をし、月曜日の夜には全てのスケジュールがきっちりと立てられました。電話回線以外は日付も確定。いやはや、なんとも。ラーメン一杯ではとても割に合わない(^^;

 

 社長さん自身は新事務所を拠点にし、もう一人の部下と共に活動。他の社員さんは旧事務所にてお仕事...机は新事務所にもってっちゃったので、中古のテーブル(長机。選挙の時なんかに小学校の体育館によくある、折りたたみのアレ)をレンタルしました。その上にパソコンを置いて仕事です。椅子はパイプ椅子。こればっかりはなんともしようがない。さっき出てきた中古什器業者さんに骨を折ってもらいました(厳密にはレンタルではなく、中古販売の後、一定期間後中古で買い取ってもらう算段です)。

 この状態を10日間ほど続けて、ようやく回線等も稼働。新事務所への移籍を完了させることが出来ました。

 最初から私に依頼されていれば、引越の発注から様々なところまで手配したのですが、そもそも移転の話自体が直前に来ましたし...社長さん曰く「なんでも自分がやってはな。そろそろいろいろ社員に任せていかないと」ということで、任せてみたのですが、今回の事態になってしまったようで。

 懇意にしてる社長さんなので、その仲の良さから...多少苦言を伝えました。そもそも任せるにしても、いきなり投げっぱなしでは...振られた社員が手配出来るわけもなく。社長自身があちこち目を配っていればこんなことにはならなかったことなど、いろいろと。苦笑されてましたが、私的には悪いのは社長です(笑)私はあくまで部外者。それをこれだけこき使おうというのですから...後で覚えてろよ~

 仕事を任せるというのは、投げっぱなしにすることではないのですから...頼んだ方がきちんとフォローしないと。そうして経験を積ませていかないと。でないともっと難しい仕事が任せられない。...まぁ事務所移転なんてそうはするもんではないんですが(^^;そもそも、普段と違う仕事をさせられれば社員さんだって戸惑います。あまりの意気消沈ぶりに可哀想になりましたもの。やっぱり社長が悪い。うん(笑)

 ともかく、若干の追加コストはかかりましたが、無事に移転は終了。私が手配した業者が比較的安価にてやってくれたので(増設したビジネスホン等も中古品で価格を抑えたり、パーテーション工事は今後中古の机等を買うということでサービスしてもらい...特急手配にしては安かったかと。今後の商売を考えて下げて来たんでしょうけどね(^^))

 そもそもの手配の段取りをした社員さんが責められないようになんとかフォローし、今後のこともあるのでそれぞれの業者さんと直接連絡が取れるように段取り...いやはや疲れた。

 小さな会社ですと、総務部なんてものはなく。誰かに押しつけざるを得ないのはわかりますが、事務所移転は会社ごとにいろろいろとあるものです。簡単に終わっちゃうものと、そうでないものと。大手業者に全て任せれば、安価とはいきませんがほぼ全て手配してくれます。けれど、コストを押さえようと自分であれこれ手配するなら...結構大変(^^)

 思い込みで手配すると、危険なので...きちんと確認しつつ段取りすれば、問題はあまりないんですけどね!(今回もきちんと確認しつつやってれば、多分その社員さんでも手配は出来ていたと思います)

 とりあえず、社長には後日横浜中華街でちょっとリッチなお食事とお酒をおごってもらうことになりました。...チャイナドレス目当てでは決してないんですが、社長がどうしてもというもので...あ、でもこのブログのこと話したからこの記事読むんだろうな...あわわわ。ま、まぁ転職祝いってことにしてもらおう。うん。