『ダブルフェイク』...アンチウイルスをいれたつもりがウイルスをいれている

 PCをインターネットにつなぐ以上、セキュリティ対策はもはや必須。

 かつてはともかく、お金をかけたくない人でもいくつかの条件を飲めば(例えば広告が表示されたり、最低限の機能しかもってなかったり)無料のアンチウイルスにも結構いいものがある時代。

 ましてマイクロソフトが純正とばかりに無料のアンチウイルスを登場させてるぐらいですから、なんかしら入れようと思えばコストをかけずにセキュリティ対策ソフトは導入できます。

 が。

 正しく導入しないときちんと動作してくれない。

 こんな事例があります。

 

事例:

 昨年のことですが、友人の奥さんのPCの調子が悪いということで、おいしい地ビールの店を一回おごってくれるという約束で見に行きました(成功報酬)。で、見てみると...どうもおかしい。おかしすぎる。

「あの...アンチウイルスはマカフィーが入ってるんですよね」

「よくわよからないけどそうかな?」

「...別のアンチウイルスソフトも中途半端に入ってるみたいなんですが」

「ああ、安心のためにいっぱいいれればいいのかなって」

「インストールする時に他のアンチウイルスソフトを削除しろって出ませんでした?」

「覚えてないけど...いっぱい入ってた方が安心じゃない?保険みたいで(さわやかな笑顔)」

「あー......えーと、とりあえずなんとかします(汗)」

 このときはアンチウイルスソフトの上から別のものをいれようとした際にアンインストール時間が長くかかり、彼女はハングアップしたと判断してPCをリブート。結果としてマカフィーアンチウイルスは中途半端にアンインストールされ、以後導入しようとした無料アンチウイルスソフトもアクティベーションを怠ったため動作せず...

 結果としてノーガードに。そして、どこでOKボタンを押したのか偽アンチウイルスソフトだけが「まともに動いているように見える」状態を作り上げていたという。

 対処としてはHDDを外し...メールデータとデスクトップデータ、マイドキュメントのデータを持ってったX61sで外付けHDDに退避、そこでノートン(当時はノートンが入っていた)で駆除をかけ、念の為にウイルスバスターのオンラインスキャンをかけました。

 外したHDDは購入時についてきたDVDで購入時の状態に戻し、外付けデータから退避していたデータを復帰。その前に近所のヤマダ電機で買ってきたウイルスバスター(奥さんが見た目で購入。赤が好きらしい)を導入しておくのを忘れずに。

 結局一日作業となり、それを見ていた旦那さん(私の友人)は「...に、にかいおごるから許して」という羽目に。まぁ、治ったからいいですけれど。メールデータもおかしいのがたくさんあったので全部削除。結構疲れました。

 動いているように見える「フェイク」。そして本当に「フェイク」な偽アンチウイルスソフトが動いていて...彼女にとっては「ちゃんとしてるのに、PCがおかしいの!」という状態だったのでしょう。

 幸い旦那さんがそこそこ知識はあったものの、手におえる状態でなく...当時(今もですが)おこずかいが少なくて酒だ食事だでほいほいとPCメンテナンスをしてくれる私を呼び出したという。こっちもスキルが役だったし、経験値積めたのでよしというところですか。中目黒のタップルームご馳走様でした。うまかったな...ビール...思い出すとよだれが(笑)

 まぁ、それはさておき...アンチウイルスを複数いれようとするなど、知識不足が原因ではあるのですが、それよりも重要なのは2つ。ちゃんとアンインストール出来ていて、無料アンチウイルスソフトとはいえきちんとアクティベーションしていればこうはならなかった点が1つ。

 もう1つは...偽アンチウイルスソフト。こいつがやっかいで。

 私自身、何度も遭遇しては溜息をつくのですが...世界でも日本人は特にひっかかりやすいんじゃないでしょうか。

 IEでWEB閲覧、ちょっとHなサイトを見に行くと...突然画面に警告

「あなたのPCはウイルスに汚染されています。今すぐこのソフトをダウンロードして対処しましょう!!」

 ああ、そうなのか...と何も考えずにOKボタンをポチポチと...

 

 そこでちょっとは考えろよ(笑)

 

 私が見る限り、2008年と2009年は本当にこのパターンが多すぎて。別にHなサイトではなくても、どっかでメッセージに遭遇するとみんなOKしちゃう。ここでの操作で、せっかく今まで守ってくれていたアンチウイルスはユーザーのOKをもらって活動停止(イメージです。実際には不活化されることになったり、アンインストールを促されたりとさまざまです)。

 「フェイク」ソフトがめでたくインストールされ...一見正常に守ってくれているような「フェイク」動作をしていますが、その実際は裏口を開けて強盗をメガホン使って呼び寄せているようなもの。あやしいソフトが勝手に入りまくってくれたり、個人情報が盗まれたりとさんざんなことになることも。

 まさにダブルフェイクな訳で。偽物が偽物の動作をし、気づかない。これはもう本人の責任としかいいようがないんですが、本人にとってはやりきれない。偽アンチウイルスソフトのためにお金をクレジットカードで払ってしまう人も...実はたくさんいたりします。そうすると、今度はカード情報が悪用されて被害甚大なんてことも。

 詳しくないなら、買った店の店員さんの言うなりで構わないからとりあえず有料のソフトを最初に買っていれる、あるいはPCについてきたものを継続する...で構わないって最近は言うようにしています。前はちゃんと教えようとしてたんですが、あまりに事例が多いうえに再発性が高く...「人の話を聞いてるようで聞いてない人」が多かったので結果として「面倒だから決め打ちの対処をする」という悪循環に。まぁ、そういう対処にしてからの方が相談減りましたけれど、ね。

 無料のアンチウイルスなんかは何度もAmazonの悪魔でも紹介していますが、多少敷居が高いと思う人もいるようで。

 だったらMSSE(マイクロソフトの無料アンチウイルス)でもいいから入れといてくれ! と日夜叫び続けていたり。

 そんなに難しくはないと思うんですが、パソコン=難しいものってイメージはまだまだ根強く。それでいて欲しいから買っちゃうのにためらいはなく。結局後で詳しい人にでも聞けばいいやーとなって、聞けず(笑)なんてのも日常の一コマで。あなたのまわりにもいませんか?(^^;

 一応、著名なソフト3つをAmazonリンクしときます。別に近所の電気屋さんや下手すると本屋さんでも売っているので、好きなものを好きなところでご購入してください。AVGやAvastの有料版・無料版だって優秀ですし(記事最後に無料版アンチウイルスを紹介した過去記事へのリンクを貼っておきました)

 また、貼ったのは安価で最低限の機能をもっているアンチウイルスソフトなので、トータルでPCを守って欲しい等は上位のものを選んだ方がいいかと思います。更新料無料の安価なものも増えてきましたから、それを選ぶのも手だとは思います(^^) なんにしろノーガードよりはよほどマシなので。

 

 

  3年版とかお得なものもあるので、店頭やWEBで好きな商品を探すといいかも(^^)

 

 

 最後に代表的な偽アンチウイルスをご紹介。

 

Antivirus XP 2008

 猛威なんてもんじゃないぐらい流行ったソフト。一見すると普通のアンチウイルスソフトっぽい名前ですし、動作しているように見えますが...仕事なんてしてません(苦笑)むしろ裏の仕事をしまくってくれる「悪党」です。名前に騙されてはいけませんよ?

Antivirus 2009

 こっちも実は偽アンチウイルスソフト。名前からして直球で、騙されやすいです。上のAntivirus XP 2008と同じようなものですが、2009年末にはこれの駆除だけで私はヘトヘトになることが何度かありました。ご丁寧に企業で(といっても15人ぐらいの会社)導入しちゃってたという。社長が「これはいいものだ!」と思い込んだことによる被害でしたが...いやもう、転職前のゴタゴタの時期に相談されて、ぞんざいにも出来ず...相当恨みがあるソフトだったりもします。

 

 他にもいろいろありまして。有名ソフトの別バージョンを装うもの(マカフィーの偽物とか有名。ノートンの偽物もある)もあるので注意です。

 

 トレンドマイクロの偽セキュリティソフトに関するページにリンクを貼っておきます

 

 読めばその怖さがわかるかと思います。やっかいなんですよね、本当に。

 これらのソフトの被害に合わないための方法は...インストールしないこと。単純ながらそれだけです。

 なので、よくわからない名前のものは使わない。ダウンロードするときは公式サイトからダウンロードする。でなきゃ店頭で有名なのを買ってくる。せいぜいこの程度のことで防衛できます。

 「あなたのPCはウイルスに汚染されています」と表示されればみんなびっくりするでしょうが、その時はオンラインスキャン等をまず試してみるのもひとつの手。

 私も愛用しているのがトレンドマイクロのウイルスバスターオンラインスキャン。駆除はしてくれませんが、ウイルスがいるかどうかは最新の技術で判別してくれます。自分が購入したアンチウイルスが「ウイルスだ!」と報告してきた時、それが誤報かどうか調べるのにも使えます。

 そう、アンチウイルスも時には間違うことがあるので...過信は禁物。じゃあ何を信じればいいんだよ! となりそうですが...残念ながらこればっかりは学んで自分で対処できるようにするのが手っ取り早いかな...と思いますけれど。

 検索して同様の症状がないか等調べてはいかがでしょうか。それだけでも解決の糸口が見つかるかと思います。

 運悪くその手の偽物...フェイクをつかまされてしまったら。

 出来ることならPC購入時の状態にまで戻した方がいいかもしれません。がっちりとOSに食い込んだウイルスほどやっかいなものはないので...特にXP以前のOSは対処が大変ですから(VISTA以降だって大変なんですけれどね)。

 フェイクを避けて本物を。とはいえフェイクだらけなので...とりあえずお気に入りの一本、そんなアンチウイルスを見つけておくのもいいかと思います。そうでなければ...

 無料アンチウイルスソフトにもいいのがあるので、そちらを使い続けるのもいいでしょう。

 

 過去記事へのリンクを貼っておきます。

無料アンチウイルスソフトってぶっちゃけどれがいい?