
前回の記事では割と否定的な書き方でしたが...いろいろと別件のトラブルと戦いながらしばらく運用した結論は...
「やれば出来る子じゃないか!」
定格運用で使った場合のこのCPUの魅力...という記事になります
まず最初に結論を書いてしまいましょう。
「Ivyのi5と戦えるポテンシャルは十分にあるが、何よりSandyなi7と五分以上に渡り合える戦闘力がこの値段というのは実においしい」
この一言に尽きるんじゃないでしょうか。
前回の記事にも書きましたがOCのやり過ぎで環境を全てぶっ壊してしまった私はやむなくさらに前の記事で使用したA10-5800Kの環境を流用して再構築。検証環境としました。
CPU :FX-8350
M/B :ASUS SABERTOOTH 990FX R2.0
VIDEO :Radeon HD6850
MEM :PC3-12800(AMD)4G*2
CPUFAN :KABUTO2
CASE :SST-RL01B-W(Silver Stone RedLine)
SSD :INTEL SSD330(128G)
P/W :KRPW-PT750W/92+(玄人志向)
全体としては「ちょっと前のミドルレンジPCの中身を取っ替えて最新仕様にした自作PC」といった感じでしょうか。
マザーとCPUと電源を新しくするついでにSSDも搭載しちゃった...みたいな。メモリは買った時期にもよりますが、4G*2で。
ケースとビデオカードはそのまま流用(DVDドライブやBDドライブがあれば当然流用しているでしょう)したイメージですね。定格運用でINTELではなくAMDに魅力を感じた人ならこんな感じにするんじゃないか?という仕様でもあります。
パーツについては最後に感想をまとめていますが、上記の構成にWindows8を突っ込んでしばらくメインPC代わりに運用してみました。
ブラウザはChrome、メーラーはthunderbird。ビデオ再生にはVLCを使って...とまんまWindows7時代のアプリを運用。やってないのはビデオエンコードだけというぐらいですか。ATOKも使って普段のブログ更新やらも全部このPCからやる感じです。
ただテストPCなのでキーボードとマウスだけは予備パーツから出してるので正直フィーリングは合いませんでしたが...馴染んだらそれもそれでOK。
実際の体感でいうとかなり快適。というか、早い。
Office2010を使っている時特に体感出来ます。というかEXCELが早い。テスト用に以前構築したもの(SUMPRODUCT関数をありとあらゆるセルとシートに張り巡らせたものを用意。データ量も膨大、シート数も膨大。複数ブックにまたがった危険物)を使用したのですが、A10-5800Kでも軽いと思ったものでしたがいやいや。ごめんなさいこいつもサクサク処理出来ました。
シート移動、再計算時どれをとってSandyのi7-2600Kより早い。
AMDの特性なのかもしれませんが...XEONで組んだ友達のPC並だなぁとしみじみ(あれもかなり快適だった)。
それと複数アプリを起動して処理させた時に変な重さがない。これは純粋に8コアが効いてるっぽい。OSがWindows8だってのもあるかもしれませんが、普段使いで8コアの恩恵があるとすればいろいろと複数起動してわっしょいしてる時かも。
ぶっちゃけると万人がエンコードしまくる訳ではないんで、普段使いで8コアはいらないんじゃ...と思ってたんですが、ピーク時の負荷が軽く感じると体感って結構すごく早く感じるものだなぁと実感しました。
ベンチマークでCINEBENCH Ver11.5を使用してそれぞれのCPU性能を見てみると...
i7-2600K:6.23pts
FX-8350 :6.91pts
という具合にSandy世代のi7とガチンコしても負けてない。というかぶっちゃけi7側は4GにOCしてる状態でこのスコアだったりします(ベースクロックより内部倍率でクロック数上げてるのでそんなに性能はあがってませんが。ベンチマーク上だと実クロック表示されてないですね(苦笑))。
PassMarkというCPUのベンチマークを集めたサイトがあるのですが、そこでスコアを見ると...
i7-2600K:8.535
FX-8350 :9.057
ということで、純粋に定格同士でCPU性能だけ見てもやはりFX-8350の方が上ということのようです。
17000円という価格がかなり魅力な訳ですが、もう少し下がってきたらかなりコストパフォーマンスの光るCPUと言ってもいいでしょう。
ただ、INTELのCPUはGPU搭載のものが多いわけで、コストパフォーマンスとして見ると...正直???な部分もあるのは確か。どうせビデオカード積むし!とかすでにもってるのを流用するぜ!という人にはあまり関係ないかもしれないですが、
それでも値段を重視するとまだちょっと魅力が薄い段階かも。
価格改定が入るとぐっと魅力が増してくると思います。
AMDのファンでAM3+ソケット最終章だぜ!と思ってる人は迷うことはないかなーと。
i5-3570が価格的にもターゲット的にもライバルですが、この辺りは実勢価格と趣味との兼ね合いかなーと。負荷をかけた場合i5-3570よりもFX-8350の方が「ねばる」感じはありますが、この辺りは普段どんなことをしているかにもよるので...
それとエンコードメインの人でもTmpegencをメインにしている人はともかくそうでない人ならFX-8350でもかなりいけているCPUに感じるかもしれません。INTELのAVXを使用した時のTmpegはバカみたいに早いですが、特定条件下での爆速なのは確かで汎用牲で言うとまだまだAVXにガチ対応しているソフトは少ない印象。
ニコニコ動画やyoutubeに投稿をメインでやってるような人ならFX-8350でもかなり快適に運用出来るみたいです。友人が1ランク下のFX-8320でディープなニコ動ユーザーをやり始めましたが、投稿動画のエンコード等見てる限りかなり快適。
FX-8320は15000円前後のCPUですからコストパフォーマンスも高かったとのこと。
欠点も利点もはっきりした用途を選ぶようで選ばない純粋な「CPU」という立ち位置。
やや時代遅れとなりつつあるGPUを搭載しない世代のCPUとしては最後発のCPUですが、それだけに一風変わった魅力があるのも確かです。
惜しむらくは出てすぐ円安傾向になって価格が下がらなくなったところですが、これは価格改定で変わるところ。でも今の価格でも十分に魅力的な製品だとは思います。
他人と違うことをしたがる自作ユーザーにこそ使って欲しいCPU...と言っていいんじゃないでしょうか。広く普及はしないかもしれませんが...
OCが前面に押し出された宣伝をされていますが、定格で十分以上に早くて使えるCPUです。
性能の指標としては「現行Ivy世代のi5と戦え、一世代前のSandyなi7とガチでやりあって負けない」と考えればわかりやすいかもしれません。
ただ悩ましいのが同じAMDのA10-5800KやA10-5700の存在です。
A10-5800Kは内蔵GPUも優秀で消費電力を見ても拮抗。OCした時個体差にもよりますが下手するとFX-8350より回ったりします。それでいて価格差が5000円近くある。
こうなるとやや高くて高速なメモリとA10-5800Kを使った方が安くて魅力的な環境になっちゃったりします。
これから組むならA10。既存環境のバージョンアップならFX-8350といったところでしょうか。
既存でAM3+マザーを持っていれば、BIOSのアップデートで余裕で乗ったりしますし。(マザーの進歩もそうしてないので、世代によりますが無理に買い換える必要がないのも確か)
今回の組み合わせでもRadeon HHD6850を使用していますが、FX-8350との相性は抜群で...CPUがボトルネックにならないのって素敵...という状態。まだまだ現役で戦えるなぁと実感しました。
あえてINTELを選ばない...という人は少ないのかもしれませんが、他人と違うPCが欲しい。自作ユーザーにはそんな「傾奇者」な人が多いので、そういった人には実に面白くてありがたいCPUだと思います。
マザーとCPUの組み合わせて3000円引きとか代理店協賛のセット売りが最近増えていますので、ものによってはかなりお買い得になります。
個人的にはA10-5800K(あるいはA10-5700)でこじんまりとしたそれでいて優秀なPCがオススメだったりするんですが、FX-8350と高速なビデオカードでがっつりゲーム等を遊ぶPCを作るのもいいかもしれません。
間違いなく日本の...INTELの尻尾に怯えるPCメーカーには出せない「傾いた」PCが作れるかと。
確かに今のIvy世代のi7と戦える製品がないのは寂しい限りですが、まぁ金があるやつは批判なんかしてないでもっと上のものを買いなさいということで、買える人はそっちを買っていただいて。
海外の人もそうですがミドルレンジこそ本当においしくて楽しい製品が多いので、そういった中の選択肢にいれるには実に魅力あるCPUだった...という結論にしたいと思います。
あと負荷をかけまくった時i7-2600Kはそうそうにめげますが、FX-8350は結構耐えて(そこまで重くならない)くれました。OSの最適化が進んだらもっといけそうな気がします。その辺りは8コアの力が多少は出ていたのかも。
※使用パーツ感想
A10-5800KなPCからの流用組ですが、やはり安定したパーツというのはいいものです。
今回一番びっくりしたのが、提供されたマザー。
SABERTOOTH 990FX 2.0なんですが、ぶっちゃけ2.0でなくても性能的には...というこで旧世代マザーの人は無理に買い換えなくてもいいかな?と。
使ってみてその安定性にびっくり。OC仕様のマザーではない...とASUSの方が言ってましたが、どうしてそこらの格安なマザーと比べたらド安定。結構OCもいけました(CPUクーラーとメモリ次第ではこのマザーで5G越え出来ました)。
BIOSを吹き飛ばしてもUSBメモリから強制上書き出来るモードを搭載しているのが個人的にはツボで...内緒ですが一度吹き飛ばしてこの機能のお世話になりました(苦笑)いやーこれまじでありがたいですわー。本気で「上書き」なので物理破損してなきゃほぼBIOS修復出来ると思っていいかと。
BIOS上のユーティリティからもBIOSアップデートは出来るので、無理にWindows上からしなくてもいいわけで。いい時代になったものです。
その他の機能を含めて「ASUSどーしちゃったんだ」と思うぐらいよいものでした。このところ嫌っていてごめんなさい...という感じ。次のメインPC(下手すると今回のPCがそのままメインPCになるかもですが)はASUSのマザーで行こうかな...と思えるぐらい魅力的。
耐久性のあるパーツもいいですし。惚れましたねこのマザー(^^)
それとCPUクーラーですが...ぶっちゃけINTELのブッシュピン式は工場での生産性を重視していて自作派からしたら「バカだろうお前ら」と言っちゃいたくなる代物で。それに比べればAM3+やFM2ソケットの固定方式の方が100万倍マシというものです。
FM2ソケットとAM3+ソケットでCPUクーラーは互換と思っていいかと。
今回KABUTO2も流用してますし。
このKABUTO2なかなかに冷えるのでオススメです。ただヘヴィなクーラーなので...ケースによっては...(苦笑)
メモリはネタでAMDのものを使っていますが、安くて早くて大容量なものはいくらでもあります。
OCしないならCFD辺りのもので十分。
メモリ容量は予算との兼ね合いもありますが、絵描きさんでも無い限りは8Gでも十分。64bit版のWindowsと組み合わせて快適ライフが楽しめます。絵描きさんなら...対応ソフトもってるならがっつり積めるだけ行きましょう。32Gあったって困りはしませんから。
特にB0ポスターの原稿とか作る人はいいからメモリたくさん積んでください(と身近な人の方をジト目で見つつ)。
そろそろ世代も古めになってきたINTEL330ですが、値段が落ちてとうとう8780円で120Gが買えるようになりました。お金がないならこれでも十分に早いと思いますが...
とうとう335シリーズの240Gが15580円で買えるようになってきたので、予算がある人はこいつもいいかも。SSDの値段が落ちるのは本当に早い...スピードも早いんですがね(苦笑)
実際先日の特売で330の240Gを手に入れているのでメインPCのSSDが換装される予定だったりします。
Freet(秋葉原のPCパーツショップ)のいがーりさん(店員さんです)に「悪魔さんなら買うでしょう。うりうり」と売られた電源(笑)
この価格帯で80PLUSのプラチナ、750Wということで玄人志向だけといっかーと。今回の構成だと余裕過ぎてあくびが出るぐらい余裕があります。組み付けて思いましたが、案外悪くない。
安くて上位の80PLUSを求めているならアリだと思います。今のところ安定動作中。しかし安いなこれ。どこのOEMなんだろう(笑)
最後にFX-8350。
前回の記事では割と酷評していましたが、実際のところ立ち位置の難しさは変わりません。
しかしメーカー製ではなく自作PCとして考えた場合「安くて早い」というある意味で自作の王道にいるCPUには違いないので魅力はあると思います。実際これから我が家のメインPCはこいつになるんじゃないか?とさえ。
Sandyなi7を蹴散らしてメインPCのCPUの座を奪える。これって結構すごいことです。