よくわからない。なんとかしてくれ。

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 ...いや、タイトルは別に私の言葉ではありません相手に言われた言葉です。年末に結構ひどい目にあったというのに(LS-GLはもうこりごり参照)、バレンタインデーが近くなってちょっと鬱気味だというのに(笑)。またかよ、と言われそうな話です。

 一応実話ですが、問題あるといけないので架空の話ってことにしといてください。社名も出しません。

 どんな話かというと...

 

 とある倉庫会社のシステムが老朽化し、サーバーマシンが異音と共に停止しました。

 そりゃもうかなりいい音を立てて停止。ビープ音がけたたましく鳴り響き、クライアントからアクセスは不能。まぁ、ご臨終なわけです。ハードウェアにはすべからく寿命があるので、これは仕方ない。通常であればデータをバックアップし、ハードを入れ替えればいいのですが...

 このサーバー、半端なく古い。日立の古いサーバーPCで、OSはWindowsNT4.0。...わらっちゃいけません。現役で動作している業務アプリケーションのサーバーマシンでした。代替ハードも何も、いまさらこの世代のサーバーPCを探す方が手間です(一応秋葉原ならOSごと手に入りますが...)。まして今回停止した原因はコンデンサの爆発。その影響でHDDも不安定に。世代的にもちょっと...な状態。幸い、クライアントソフトはWindowsXPでも動くので、こっちはまだなんとかなります。

 じゃ最近のパーツで組んでOSいれたら?と言われそうですが、相手はWindowsNT4.0。ドライバーがありません。この時代のハードを手に入れたとしても、ドライバーがWEBにある保障もありません。そもそもハードの寿命はすぐに来てしまうのが予想出来ます。

 で、そのサーバーに入っていた業務アプリの開発会社の社長と相談したところ「そもそも老朽化してるから、新しいハードとソフトにして欲しいと再三言いに行っていたんだよ」の返事。まぁ、そりゃあそうです。現行販売している業務アプリを見せてもらいましたが、SQLサーバーを基本にした実に素直な、そして堅牢なシステムが構築されており(サーバーはLINUXでもwindowsでもいいようにどちらのバージョンも用意されてました)、クライアントもWindows7(正確にはVISTA以降)のインターフェイスを踏襲した実にモダンなものが用意されていました(対応はXP以上ならOK。7確認済み)。これなら素直にバージョンアップした方がよさそうです。データもきちんと移行してくれるという話ですし。

 

 問題は、業務ソフトを導入している倉庫会社にあったのです...

 以下、その会社の社長との会話です。

 

「壊れたからなんとかしてくれ。あんた詳しいんだろ?」

 事情を話し、ハードを入れ替える術がないこと。この機会にシステムの入れ替えをして欲しい旨を告げました。返事は...

「金はかけたくない。ともかくなんとかしてくれ」

 ...まぁ、事情はわかりますが...そう言われても無理なものは無理です。

「今まで動いてたんだ。このソフトで十分だ。金は出したくない。保守とか毎年金はらってるんだからタダで修理させろ」

 ...その保守料はサーバー上のソフトの保守です。ちなみにハードは日立さんにも...パーツすでにないそうです。そもそも日立はPC系から撤退してだいぶ立ちます。※1

 

「よくわからない。なんとかしてくれ。金は出したくないんだ」

 ですから、OSが...

「Windowsなんだろ。DELLのパソコンが39800って広告見たよ。あれ、Windows入ってるって書いてあったし、あれでいいんじゃないか?」

 それはWidnowsVISTAか7のモデルです。クライアントはいけるかもしれませんが、サーバー用のソフトが動かないです。

「よくわからない。なんとかしてくれ。実際に業務に支障が出てるんだ。作った会社を訴えた方がいいかな?」

 (心の中で:勝手に訴えててください。自分達の無知で恥ずかしい思いをするだけです) ともかく、どうにもなりません。

「きみのいってることは難しくてわからん。ともかく今すぐなんとかしてくれ。詳しいって聞いたぞ」

 ...あー...もう...クレーマーの方がなんぼか対処マニュアルあるだけマシかもしんない~

 「よくわからん、なんとかしてくれ」

 なんとかしてほしいのは、私の方です(涙)むしろあなた方のほうがよくわからないです...なんとかして...

 

 

 というような会話がありまして(ほぼ原文ままなのが悲しい)

 別に保守の契約をしているわけでもなく、PCやアプリケーションに携わる仕事をしているし、ある程度はサポートもアドバイスも出来る自負があるだけの人間にご無体な話です。開発会社の社長にも「大変でしょう...私も何度か話したのですが、バージョンアップの費用がどうしても世代的にある程度高くなるうえに、ぼったくりだと言われてしまって...」などと言われるにいたり。

 つまり、「金はかけたくない。でも動かないと困る。なんとかしろ」これ以外の意見も言葉も出てこないんですね。ちょっとでもそぐわない言葉を言えば、「ぼったくり」「すぐ金の話だ」と決めつけてくるという...いやはや、なんともこれは...

 というか、頼んでる方が偉そうなのはどうなんでしょうね。

 そもそも私のところに相談してきたのはその倉庫会社のPC担当(実際には総務)の社員さんで、私の友人でもあるんですが...相談時にすでにかなり疲れきっている様子でした...不況じゃなきゃ転職先を用意して、脱出させようとしているところです。今のままだと精神的に絶対にまいってしまう。あんなに健康そうに太っていたのに、会わなかった半年で20kgも体重が落ちてました。彼が今の倉庫会社に就職したのは、昨年の春だというに。痩せたのはかなり羨ましいですが、こんな痩せ方はよくない。とても...よくない。

 PCに関しては私よりスキルある友人なんですが(今回の故障も応急処置として爆発したコンデンサを交換し、不安定ながら稼働している状態にもってってました。HDDのイメージバックアップをとって新品と交換等もやってくれており、彼の対応はむしろよくやってる。OSも破損ファイルを修復し、無理矢理にでも稼働状態にしたようです。むしろ私よりその手のスキルはあるんじゃないだろうか)、彼の会社には彼以外PC等のスキルがある人間がおらず、OFFICEの使い方からアンチウイルスの管理、サーバーの運用、あげく業務改善まで一人でやってたようで...そのうえで、総務の仕事もきっちりこなてしてたという。全ての面倒と不平・不満がこの友人に集中してしまっているのがわかりました。

 小さな会社だとありがちなことですが、

「パソコンに詳しい=なんでも出来る」

の法則が発動してしまってるんですよね。最悪です。なんとか助けてあげたいところ。

 現状は友人のとった改造により、一応は動作している状態ですがいつまた壊れるかわかりません。コンデンサ爆発の影響はマザーにも出ているようで、ときおりフリーズをくりかえしてると報告がありました。急がなければ。

 で、今回私がとった方法は...

 

 Windows7をいれたかなり高速なPCにSun VirtualBoxを導入し、NTをインストールする」というもの。力押しですが、私のスキルではちょっと他に安価でいい方法が見つからなかったんですよね。なんでWindows7? そりゃ、今からPC調達するならWindows7ばっかりだからです。安価に!と言われては現行機で保守に入れるものにするしかない。

 現在検証中ですが、幸いサーバー上の業務ソフトがRS-232C等ハードを直接使ったりしておらず、SQLではなくACCESSベースのデータベースを使用していたことなど、幸運の女神がほほえんでくれているようで、TCP/IPで通信さえ出来ればなんとかなる目算が立ちました。友人の涙を見ちゃった以上、なんとしても解決してやろうと現在奮闘中。

 「俺に任せろ。なんとかしてみせる。だから安心してろ。な?」

 そう言わざるを得ませんでした。人ごととは思えないんですよね...。私が今関わっている会社にもNTベースの業務システムが稼働しているという現状があるから(笑)。どうしてもほっとけなかったんですよね。まぁ、言っちゃった手前いまさら引っ込みもつきませんので四苦八苦してどうにかしてます(苦笑)格好つけてしまった以上出来ませんでした...ではすまないので。彼の安眠のためにも、なんとか。

 詳しい人になんでも押しつける日本の会社。小さい会社では日常の光景。どれほどの人がこの光景の中に霞んで消えていったのやら...先日のLS-GLの一件で言われた

「得意だろ?やって」

もどうかと思いますが、

「よくわからない。なんとかしてくれ」

今年最大の嫌な言葉になりそうです。

 ...仮想PCのテストを趣味とはいえみっちりやっといてよかった...それと、昔の会社らしくOSとオフィスのパッケージを捨てずに押し入れにいれておいてくれて本当によかった...そこだけは本当にありがたかった。いまさら手に入らないか、はいってもコストがかさむので。

 私のプライベートPCを貸して、現在業務アプリを開発した会社と二人三脚で対処していますが、コスト的には業務アプリのインストールと再設定、それとPCの購入だけで済みそうです(仮想環境等は私が用意・セットアップする前提で)。そして、仮想PCのいいところですが「バックアップはイメージファイルをコピーすればいい」というメリットもうまれそう。NTで動くアンチウイルスがちょっと見つからないのが痛いんですが...NOD32の2.7がNT4.0でも動作したんですが、昨年でサポート終了になっちゃったんですよね。痛い。すごく痛い。

 まぁ、仮想PCを業務に使う以上無償というわけにはいかないんですが、1ユーザーあたり年間30ドルかなんかなので、追加コストとしては目をつぶれる範囲。PCの代金コミで20万以下の出費であれば(それでもしぶしぶ)払ってくれるそうなので、なんとか対処出来そう。

 OSがNT4.0serverでなければAVASTが対応してくれていたのに...くそー、あとはこれだけなのに! と思っていたら、業務ソフトの開発会社の人いわく「ちょっと書き換えればserverでなくてもいけるはず。workstationで動くようにしてみるよ」とのこと。「今後のことを考えたら、今技術者がNTのことを覚えている間にやっちゃっておいた方がいいと思う。それと今回の事例は今後に生かせる。安い投資だと思うよ」...心に染みました。この不況でもそう言える社長、ちょっと格好いいです。だいぶ無理してるとは思うんですが...幸い当時のクライアント用にNT4.0workstationも何個か見つかってますので、ライセンス的にも問題なし。

 というわけで、現在はサラリーマンとして昼間の仕事をこなしつつ、帰宅した後はこの問題に取り組んでます。ついでにVPNでの接続でいけないかとかテストを繰り返してまして、場合によってはASPのようにサーバーを開発会社において、インターネット経由でクライアントからアクセスすることも可能かも...というか、現実に今テスト動作はそれでやってたり(苦笑)

 すごいぜWindows7!!

 君のおかげでNT4.0がよみがえるよ!!

 ...あれ? なんか間違ってる気が(笑)

 偉いのは今回どっちかっていうと、Sun VirtualBoxですよね(^^;

 いやはやすごいことになってしまいました。

 なにがすごいって、こんだけいろいろやってまったくお金にならないところ(笑)アルバイト禁止なんですよね、今私が働いている会社。ルールはルール...社会人には守らないといけないルールがあるのです。せめて友人が喜んでくれればよしとしましょう。しかし、寝不足は年のせいかきつくなってきました...早くかたをつけないと。

 XPモードもそうですが、古い環境を維持しなければならない事態は起こりえます。そのための備えをシステムに関わる人達は身につけておいた方がいいかもしれません。...本当なら必要ない技術だとしても、自分の身を守るために。

 今回は自分のスキルアップと、新たに知り合えた素敵な会社の人達(先の倉庫用業務ソフト開発会社のスタッフ・社長)と出会えたことで、むしろ儲けたと思うことにします。

 しかし、去年末からほんと、こんなんばっかりだ...お人好しな自分がうらめしいけど...いい加減中年とは呼ばれる年齢にもかかわらず、涙を流してまで懇願してきた友人のために、今回は珍しく本気の本気で解決してやろうと思ってます。彼のためだけに、かな。こんなに真剣にやってるのは。

 ...すくなくとも、頼み事をしておいてあんなに偉そうにしている人達のためでないのは、確かです。

 

 ※1

 追記 日立はPCから撤退していてもサーバー分野ではまだまだ現役です。誤解を招いてはいけないので念のため。ブレードサーバーだけでなく、タワー型のPCベースサーバーも結構人気あります。とはいえ、倉庫会社にあったのは...

 2010/04/13追記

 なお、仮想環境を構築するソフト(今回はSUN VirtualBox)導入評価が終わったらちゃんとライセンスを購入しないといけません。仮想環境の導入を検討している方は念頭に置いておいた方がいいかと。払いわすれがちなので。法的なリスクヘッジのためにも、ライセンス関係はきっちり管理しておきましょう。私的利用なら無料ですよ(^^)

 

追記

 2/12日に続きをアップしました。

よくわからない。なんとかしてくれ。(2)...そして友人に笑顔が戻った