よくわからない。なんとかしてくれ。(3)...ハッピーエンドの条件は

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

※今回の記事は2/8の「よくわからない。なんとかしてくれ。」と2/12の「よくわからない。なんとかしてくれ。(2)...そして友人に笑顔が戻った」の後日譚となります。この2つを読んでおかないとさっぱりわからない話なので、興味のある方は先に2つの記事を読んでいただければ幸いです。

 また、かなり長い文章ですので、読むと疲れます。分割しようかと思いましたが、どこで分けていいのかわからなくなったのでそのまま掲載しました。また、書けない部分をぼかしたり書いてなかったりすることをご了承ください。

 一応実話ですが、問題あるといけないので架空の話ってことにしといてください。社名も出しません。これは先の記事にも書きましたが(笑) そのように思ってください。お願いですから(^^;

 

 以前書いた「よくわからない、なんとかしてくれ。」という記事は自分の予想を遥かに超えて本当にたくさんの人に...それこそさまざまな人に読んでいただけたようです。(おかげで2ちゃんねるのスレッドに呼ばれてみたり、コテハンのつけ方を教わったりと、思わず「えーと」となってしまうことも引き起こしてくれました)

 それらのことは楽しかったので私的にはとてもいい思い出になりました。スレが荒れる原因にもなるので、コテハンでは書き込んでませんが...(今では誰かがこのブログのことを書くと、「あの人のことには触れるなよ」、と言われたり。ちょっとしょんぼり)

 そしてさまざまなご意見をいただきました。本当にありがとうございます。

 メールだけでなくtwitterのつぶやきや、はてなブックマーク、リンクを貼っていただいたブログなんかもいろいろな人に教えてもらい、たくさんの感想を読ませていただきました。

 その中でも

 「あんたがそーやってサポートするから経営者がダメになるんだ」

副業禁止とか友達のためとか言ってもこの人がタダで働いた罪は大きい。以降この経営者は「前はこんなに安かった」と言い訳にしてしまうのだから」

 等厳しい意見もいただきましたし、見かけました。過剰品質で手厚すぎるという意見もありました。また、解決しちゃうから問題が先送りにされちゃうんですよ...などなど。

 まぁ、はてなブックマークの文章が一番きびしかったでしょうか。メールでいただいた意見はおおむね大変でしたね...というものでしたし(一部「氏ねよ目立ちたがり」等ありましたが)

 で、当時あの事案に対処していた私からしてみれば...

 「さすがに完璧に出来ないってば!」

 が今の心境。当時は...夢中でしたね...だからたぶん何も考えてない。

 「この人は英雄願望が強いのだろう」という感想には「う、うーん...そ、そうなの?」と自問自答。多少はあるかもですが、それはたぶん誰にも願望としてあるものかなぁと。実行するかしないかは別として。

 ただ、結構簡単に「経営者に直接直談判すればいいのに」という言葉をみかけました。つまりは


 経営者に物申す! 

 ということでしょうか。格好いいですよね。痛快です。その後の現実さえなければ。

 今冷静に考えて...私がシステム担当者として...当事者としてあの時担当していたらどうしたか。友人はただ押しつぶされる結果になったけれど。

 私なら...その痛快なことをしたろうか。いや、間違いなく(けんか腰ではなく)経営者ときちんと対話し、何が必要なのか、どうすべきなのかを模索するんですが...あの社長相手ではそれすら意味がないって、今は知っちゃってますからね...知らなきゃ格好もつけたんですが。

 

 今回は友人が当事者であり、私は突然しゃしゃり出てきた人。実際はより困難な幕開けでした。

 培った信頼もない。部下でもない。突然現れた「自称詳しい人」。これを信用する経営者の方が逆に怖い気もします。もちろん、首を突っ込む以上は自分の経歴や今の職業等を説明して(ある意味で自分を売り込んでるわけです)、信頼を勝ち得たんですが、それは余談。実際、ソフトハウスが自ら売り込みをかけるのと同じ営業手法も使いましたし。小細工もたくさん。

 あの夜。友人から始めて話を打ち明けられ、怒りと悲しみに引きずられるように彼を助けることを決め...迅速に行動(主に電話でしたが)した夜。後で、ちょっとだけ後悔することになる...あの夜。

 翌日にはそもそものソフトを開発した会社の社長とアポイントを取り、事情の把握と今までの経緯、経営者達の人柄等についてある程度把握するスピード。まず初期にこれが出来たのが、その後すんなりと入り込む第一歩となりました。

 ソフトハウス側から「この人は信頼できる」という言葉を経営者に投げてもらう。そういう段取りもきちっと踏んだうえで登場しないと、あの手の経営者はなかなか会ってもくれません。権威に弱そうなところを突かせていただきました。心理戦からスタートするサポートやフォローもどうかとは思いますが...あの時はそんな判断してたんですね、私。

 いまだと...経験値があがってますので、また違う方法を取るでしょうけれど。半年で人は経験を結構積めるものです。今考えると...怖いことしてるなぁ、私...という感じ。ほんと、切羽詰ってたな...


 あの話は結果だけ見ればある意味で「無知戦略」をとった社長の勝利に見えるかもしれません。それがあの社長の意図でないにしても。

 でもま、いいか。そう思って私は対処してました。承知してあえて火中に栗を取りに手を突っ込んだわけです。

 今だから書きますが、ブログにはとても書けないような非人道的発言も飛び交いまくってましたし、もっと生々しい現実が目の前にあって。なんというか...人は地位や権力があると、他人を小さく見るものなんでしょうか。あれほどの上から目線はなかなか見れるものではありませんでした。



 また、あの経営者だけみれば「ほっときゃいいじゃんそんなやつ」となるわけですが、この倉庫も企業である以上従業員がいて、そこにはたくさんの人間の生活があります。そうじゃなくても倉庫や物流業がストップするというのは、たくさんの人たちに影響が出るものです。

 その責任を部下におっかぶせようなんてのは、普通に「あほか」と言いたくなるわけで。首突っ込んでから「これはえらいことになった。まずいものに顔を突っ込んでしまった」という自覚も出ましたけれど。まぁ、引けない話にしちゃったのは自分なので、なんとかするための方策を取り続けました。


 そして別に経営者や社員達のことが気になって首を突っ込んだわけではなく、あくまで友人のため。彼をなんとかしてあげたいため。はっきりいえば他の人のことなんて後からついてきた部分。無視は出来ませんでしたが...最優先ではなかった。ともかく、システム障害が発端。まず、これは小さな話です。予算があればなんとでもなりますしもう少し予算が少なくても、多少の利便性はないとしても、別の対処法がありますから。

 ただ、1円だって払いたくない。金は担当者が出せばいい!などと経営者自身の口から飛び出すと...話が違ってきますね...さすがに。

 そしてあの時は...あまりに緊急事態でした。時間がたって、いろいろとあの会社も変わった今だから書けるのですが...

 彼が泣きながら私に連絡してきた、その日の朝。こんなことがあったそうです。

 よりにもよって、倉庫全体の全社員がいる朝礼の場で。

 社長自ら「システムの不全はこいつのせいだ」と発表。その場でシステム担当者(私の友人)を全社員の前でなじり...吊るし上げていたという。すべてを個人の責任にして、全員が参加する朝礼で散々に罵倒したわけです。

 今は違いますが、当時彼は会社の指定したアパートに住んでまして...そのアパート、全部同じ会社の同僚が住んでるんですよ。住みづらくもなりますし、会社だって居辛い。

 まず、追い出す算段をして...責任をかぶせ、金を搾り出す。それがあの時社長が描いた未来だったのかもしれません。

 彼が相談してきたのはその朝礼の日の夜でした。

 本当に人生の終わりのような顔で。

 あの泣き顔は、忘れたくても忘れられないでしょう。

 目に光がない...というと漫画的ですが、まるで死人のように表情がまったくない顔で、涙だけをだくだくと流している。

 話を聞いて、なんとかしてやると私が言った後...ようやく表情が戻り、今度は子供のように泣き続けました。声をあげて。

 この朝礼でのことはのちのち、後で説明する取締役の方にきちんと釈明及び説明する機会を設けてもらいまして、きちんと事情を説明し、彼のせいでないことを証明してもらいましたが...

 非常にスタート時点から問題がありすぎました。...主に当事者達の人間性に。


 これらの人たちに対して、私の方は気持ち悪くなるぐらい冷静な表情と口調を貫きました。スタートレックのスポックもかくやという。演技力には自信がなかったのですが、今回は仕方ない。感情的に動く人間の言うことなど、誰も聞いてくれないですから。クールに。たんたんと。最初に説明された「システム障害のエキスパート」という、よくわからない肩書きを裏付けるように。まぁ、あながち間違いじゃない肩書きですが...大仰ですね、と今は笑って返上しましょう。

 当時のブログ記事では穏やかな表現にしていますが、かなり危機的な状態が連発していたのが現実です。友人一人にすべての責任を負担させようと社長が考え、システムリニューアルの予算を個人で負担するよう命令し、あまつさえ書類に実印押せとか言われてたりとか。それ以外にも吐き気がするほど、嫌な話がたくさん。

 ありえない...という人もいるでしょうが、創業社長が黒といえば、その会社では黒になるものです。一族経営の会社においては、そんなことも現実としてある。いわゆるブラック企業よりなお黒く苦い。そんな中小企業は現実にたくさんあります。町工場や小さな倉庫や物流業。末端に行けば行くほど、信じられない現実が待っています。

 もちろん、そうでない...とても暖かな企業があることも知っていますし、そんな町工場や小さな職場もたくさん知っています。ただ、今回はそうでなく真っ黒な世界だったと。

 今回の件、社長だけでなく、その息子やその取り巻き達も同調して動いているのですからなお始末が悪い。

 一般企業では考えられないことも、個人企業が発展したような会社では当たり前のようにまかり通る現実
 まぁ、ある意味で社長達による社員いじめみたいになってましたね、今思うと。社長の息子さん(営業部長だったかな)もまた、システム障害で損害が出ただのなんだのといって、自分の失敗した穴埋めをさせようとし始めるし。

 ばればれだってば。さすがに。(これは現実化する前に当該会社の人がつぶしたそうです。多少は心ある人もいたということで)


 言っていいなら、あの会社は当時超ブラック企業だった。

 いくらなんでも代金支払いの連帯保証人(私が聞いた限りでは支払い代金を借り入れさせ、それを友人に払わせようという案もあったと。実際可能かは疑問なんですが、言われた当人は震え上がります)は無茶すぎます。
 たとえサインして判子を押してしまったとしても...知識があれば後からでも覆せるかもしれません。

 が、彼にはそんな知識はありません。精神的に追い詰められて「ああ...そうなのかなぁ」なんて思っていたようです。とんでもない。「そうなのかなぁ」じゃない。お前の人生、そんなことで終わっちゃうぞ。いいのかよ、という話です。

 でも、ひたすらに怒られ、生活(住んでるところも含めて)を握られていると...人間簡単に追い詰められるもの。他のことなんて考えられない。逃げる?出来ればそれもありでしょう。彼は死すら考えたといいますから...
 現物は見ませんでしたが書類(あるいは手形?)も用意してあったとか..ぞっとします。

 そんな書類、きちんとした舞台で戦えば...もちろん無効な書類には出来ると思います。ほとんどの場合。
 けれど、いざ裁判なりなんなりとなれば...下手すれば何年も争うことになります。相手は企業です。上告を繰り返されれば個人の体力が先に尽きます。

 また、追い詰められた心理では簡単に相手に屈します。そして書類なり手形なりが無効になるまでは、書類は効力を持って生き続けます。勤めている職場が敵なんですから、生活の保障すら敵(といってしまいますが)の手の中。
 専門家に相談できれば、その効力をとめる術もあるかもしれませんが...裁判所は基本「和解」を勧めてくるものなので、そうそう勝ち負けになることはなかったりも(内容によりますが)

 今回は間際で相談された私が、

 そんなことする必要はない!!

  と友人を怒鳴ってでも止めたためその必要はなくなりました(夜の住宅街の公園での話なので、非常に近所迷惑でした。ごめんなさい)。もし相談前に判子を押していたら...そう思うとぞっとします。あるいは、もっと直接的に彼に金を借りさせるための書類が主役になっていたかもしれません。ナニワ金融の世界ですか...ただ、当事者にとっては紛れもない現実。

 そんなの犯罪だ! 裁判すればいいじゃないか!

  叫ぶのは簡単ですが、相手の犯罪だろうが暴力だろうが(恫喝や脅迫だろうが)、自分の正義を貫いて後で勝ちをひろっても、その間の時間にどれほどのものを失うことか。「裁判にすれば勝てるんじゃない?」 ...実際に裁判沙汰になった人に聞いてみてください。そんな生易しいものじゃないです、日本の裁判は。

 たとえ勝ったって、何も得られない...むなしいだけ。そんな結果になることもあるのです(実際多い)。

 賠償支払い命令が出たからといって、そのお金がもらえるとは限らないように。...命令だけでは金は生み出てきませんし、強制的に取り上げてくれるものでもありません。そして裁判にはお金がかかります。何年もかけて、いろんなものを失って、得たのは...何もなし。それでは意味がない。

 今回は緊急かつ火急の事態だったため...恥ずかしいながらも「専門家でござい」と乗り込んでいきました。時間的余裕なんてかけらもない。悠長に考える時間すらない。今、暴力に近い何かが目の前で振るわれようとしていたのですから。経験からくる反射的思考だけでまず初期の段階を乗り切らねばなりません。

 幸い、システムの問題であったこと。私は当時転職する身でやや時間が取れたこと。不幸中の小さな幸いがいくつかありました。

 頼れるのは今までの自分の実績と経験。そしてもって生まれたよく回る舌のみ。武器は...それだけ。

 相手は「とにかく金を払いたくない。払うぐらいなら社員の一人や二人責任押しつけてクビでいいや」と思っているのです。このご時勢「不景気なんでわかるだろ?」と言ってしまえば、それだけで通ってしまうものです。...実際に言ってましたし。(システム障害のことは非常に安易に「不良品だ直せ」といえばソフトハウスがタダで直してくれると考えていたみたいですし。老朽化したサーバーの限界というのは、どうも信じてなかったみたいで。減価償却の概念とかどうなってるんだろう)

 システム不全の責任を友人に押し付ける以上、それが片付くまでは彼はクビになりません。

 でも、ちょうどいいから人減らしたいんだよ。責任を他の社員にも...そんな会話も飛んでました。一応、それなりには信用されていたのか、私の目の前で危険な会話を何度もされました。老朽化したサーバーが止まった...のではなく、誰かが変な入力や操作をしたから、それが原因で落ちた。その責任を問う...という筋書きのようでしたが...

 いまどき中二だってそんなストーリー書かないよ...とその時も思ったり。

 クビを切る対象は...友人の同僚たちの中から選ばれるとか。実際そんな話が打ち合わせの最中に具体的に出ましたし。知らない人たちですが、具体名を出していました。当事者でない私はともかく、当事者である友人は...耐えられない状態でした。

 そりゃそうでしょう。自分の気に入らない社員をこの機会に...経営者の願望としてはわかるのですが...ちょっと露骨過ぎました。毎日あの社長と顔合わせする友人の身は本当にやせ細る思いというもので。ストレスがどれほどだったか...

 そんな打ち合わせ、聞いていて参加していて吐き気がする思いですが、表面上は冷静を装って対処してました。胃にくるくる。もう少しでヘドが出るところです。

 個人の感情を優先させたら、間違いなくその場で殴り倒してます。

 ただ、話がなんだ大ごとになっているものの、

結局のところは不全を起こしたシステムを新しいハード上で再現して復帰させる。

ただそれだけのことだと思えたのと、最初の時点でソフトハウスと打ち合わせて目処が立っていたため、最後までやり通す自信があったと。私の心がもてば、ですが。そして、なんとか最後まで心が砕けなかった。

 たかだかNTで動くちょっとしたシステムが障害起こしたぐらいで、話をやたらに大きくし、部下を切り飛ばそうなんてするからおかしな話になる。紐解けば「ただのシステム障害」です。それもハードウェアの障害。ある意味大した問題ではありません。問題があるのは経営者というか...当事者達。

 その時思ったのは「ともかく友人をいったん救う。そして、業務が滞りなく動くようにする」そのことだけでした。他のことは後回し。目の前の危機だけなんとかする。そして、自分の転職もきっちりうまくやる。...これで自分の人生失敗しては、意味がないですし、友人だって心にトラウマ残すかもしれない。やさしい人ですから。友人は。...まぁ、多少なりともトラウマ残っちゃいましたが。

 今の時点で思い返せば、なんとか実行できてたと思います。70点ぐらいはつけてもいい。

 そして、その時もうひとつ...誰にも言わず、心に思っていたことがあります。
 なんで「いったん救う」なのか。恒久じゃないのか。

 ...友人自身が強い意志を持って経営者と対するようにならなければ、今後結局また同じようなことになると考えたからです。優しいのはいいことです。でも弱腰ではまずいこともありますし...あの会社にまだいるのなら...ね。

 実は、彼とはこの一件が片付くまで...ずっとそんな話をしていました。

 脅されようが雇用を盾に取られようが、無理なものは無理。できないことはできない。そう言えるだけの自信と心をもたねば、この先システムに係わる仕事を続けてもつぶされてしまうでしょう。
 それは、会社を変えようと雇用主が変わろうと、変わることがない現実だと思います。まぁ、ここまでひどい状況も珍しいので、そこはもうなんというか本当に不幸すぎましたけれど。

 逆にそんな会社辞めて、他の会社にいけるさ!と思えなきゃ、逃げ場もなにもないですし。なにもあんなブラックなところにい続けることはない。そう思わないと。...まぁ、そう簡単でもないのが人生なのかもしれませんが。実際、まだあの会社に彼はいますし。想い人でもいるのかもしれないですが、言わないのでその辺りはわかんないんですけれどね。

 私もそうですが「社員」としてシステムに携わる人間が「無理」とか「出来ません」と言うことはとても勇気がいることです。査定にも響きますし、能力が不足していると結構簡単に判断されます。経営者がシステムについて理解が薄い場合は特に。場合によっては左遷やなんかもありえますしね。


 けれどそこで「そうではない。無理なのは個人の技量とかそういったものが原因ではないんだ」ということをアピールする力が。交渉術が。相手に伝えるさまざまなものが備わっていれば。説得力のある言葉で、資料で、相手に伝えられれば。

 多少は道があるというものです。ようは、責任者に納得してもらえれば自分の責任にならないければいいのなら。それだけのことなら、道はあるものです。


 自分の身を守るためでもありますが、なにより今そこで自分が作ろうとしている...携わろうとしているシステムをきちんとしたものにするために。それは結構必要な技術です。技術である以上は習得が可能なものだと思ってます。だからこそ身につけないといけない。私も...彼も。

 私もまだ習得中で、かじった程度。けれど、それだけでも立ち回れました。運もあったでしょうが...今考えるととても危なっかしいことしてましたけれど(苦笑)

 いまどきの技術者は技術と同等以上にプレゼン能力、アピール能力が必要だと思います。生き抜くためにも、自分に優位な状況を作り出すためにも、持っていて絶対に損はありません。

 私もまだまだその辺りが足りず、いつも苦労しています。
 また、不足したままそれを実践しているがため、幾度となく痛い思いをしてるんですけれど(苦笑)

 下手すると友人を救えても自分は救えない。それが現実だったかもしれません。くそったれ、抗ってやる。そう思って行動してますけれど(笑) 当時のtwitterではたまにそれっぽいことをつぶやいてます。

 誰も心配してくれないので、しょうがないから心配いらない状態にもっていけるよう行動しましたけれど。うん。当時はパワーあったんだな。

 なんせこれだけのことを実質二週間でやってのけている。もう一回やれって言われたら丁重にお断わりします(笑)


 で、なんで今更こんな話を書いているかというと。後日談がようやく書けるようになったためです。

 あの時、経営者はそのまま。安い金額で事態が打開され、喜んだわけですし、本人達にとっては幸せな結果だったかもしれませんが...実際記事にも懸念として私自身が書いてますしね。

 でも。友人がひどい目にあった怨み。私自身も無償でいろいろやったわけですから、ちょっとぐらいは仕返しをしたく思いまして。実は小さな棘をひとつ仕掛けてました。

 社長やその一族以外に会社を支える人たち。そう、社長以外の取締役の人たちですね。その人たちに今回の顛末と経過、原因等をかなり細部にわたって報告し、今後に備えるようにしてきました。朝礼等の話はみなさんご存知なかったようで、大変驚いてました。(倉庫の現場には普段出ないためもあるでしょうが)

 私が思っていたほどワンマン企業というわけでもなかったようで。資金繰りからいろいろとあって持ち株比率の話まで聞いて、その場で会議テーブルにがっくりと倒れたのを今でも思い出します。あの社長こそ「よくわからない。なんとかしてくれ。」と言いたくなる存在だったと。

 先方の依頼で次の場では友人も同席させ、今後は友人と取締役達とで密に話し合い、コンピューターが関係ない部分でも業務効率化を進めるための連絡会を設けることを約束していただきました。もちろん担当は友人ということで。

 当時は総務付きだったのですが、人事部付きのシステム担当者ということで正式に専任することを決め。

 職の安全が確保出来なきゃ、人間ふんばれないものです。まずは友人の足場を固めました。これは思いの他うまくいきました。

 事業を大きくしようとすると...そう、一定以上大きくしようとするといろいろとしがらみが出来るものです。今回は元銀行から来たという取締役の方がそのしがらみのひとつ。そして、私達にとっては打開のための神輿も同然の人。まぁ、本人に神輿みたいなもんでしたって言ったら扇子でしっぺされましたけれど(笑) ユーモアにも富んだとても「大人」の方です。

 その人の派閥...というわけではないですが、直属という形で組み入れてもらうことで、人事の横槍をブロックできるようになりました。元銀行関係。背後にあるのは借り入れとかいろいろと。ま、これもまた生臭い話ですが、今回は利用できるものはなんでも利用するということで。


 これで社長の一存ではそうそう首は飛ばせない!よっしゃ!

 当時の私の書いた文章にそのメモが残っています。なんとか時間を稼ぎ、その間に彼が力をつければ、留まるにしろ転職するにしろ、いまよりはよくなる...せめてそうなるための一助にはなるとか書いてあります。

 私自身本当にほっとしたのでしょう。メモには「後は自分だけだ」と書かれていました。...当時の自分の心境を思い出すに、ちょっと悲しくなったりも。ちょうど自分の転職についても同時平行でやってましたからね...しかもあんまりうまくいってなかった(苦笑)

 のちのち聞いた限りでは、そこまでの社長の横暴は出来なかったろう...という話もありました。裁判等になれば、それはそれでさまざまなことが表に出て、社長は失脚したろうと。

 生々しいのでカットしますが、いろいろとバランスの悪い状態なのに、創業者の態度はずっと...王様のままだったということなんでしょうか。友人がもっと早く別の上司に相談していれば、あるいは私の出番なんていらなかったんじゃないか...そうも思うのですが...まぁ、結果論ですね。


 離れ業を連発したせいか、あの時はひどく疲れて。ある意味他人のためだから出来たのかな。自分のためだったら最後まで完遂出来たか...実は自信がなかったり。もういいや、と投げ出してたかも。

 自分でも暗躍が過ぎると思いますし、外部から来た人間である私にああまでいいように扱われるあの社長もどうかとは思うのですが、現実として取れる手段に出来たので実行しました。

 さすがにこんなに生々しい話をブログに載せるのはどうかと思ったのですが、あまりに簡単に「対処しなければよかったのに」という意見が気になったのと、いつか掲載したいな...と思ってましたし。(きちんとチェックを受けて許可されましたし)

 そして、棘は大きくなり、最終的にはスズメバチの一刺しぐらいにはなったようです。先日の株主総会(形だけの総会ですよ、と言われましたが。6月が決算だったのかな?)で、社長は名誉職に退くことになり、社外からさらに取締役等を迎え入れるようで。なんだか持ち株の売却がどうとかも言ってたので、まぁいろいろあったということで。書かないけれど(苦笑)

 お家騒動に興味はありませんが、取締役から電話があり「ハッピーエンドになったようだよ」と言われましたので、一応この件は終わったのかな...と。誰に対してのハッピーエンドかいまだよくわかりませんけれど。

 やはり、社長の言動等、全て録音してたのが効いたかな。自爆してくれたのなら何より。というか、今までどれだけ横暴を通して、それが露見しなかったのか...いろいろ疑問はあるのです。でもまぁ、ハッピーエンドだというならハッピーエンドでいいでしょう。友人の給料もちょっとあがり、権限も強化されるということで。

 あれから必死に勉強し、いろいろ学んでいる彼の努力が報われればいいのですが。今の上司はかなりいいと本人が笑ってますので、それはなによりかなと。

 今回の件。

 友人のハッピーエンドの条件は...他人が不幸になることだったというのが悲しいかな。が...利己的な考えでも私は友人が助かったからよしとします。というか、あの社長嫌いです(苦笑)


 今回この記事を掲載するに辺り、当該会社の取締役達の承認を得ています。まぁ、いろいろと立役者の裏方を...あるいはいろいろと武器になる材料を提供したということで、おおむねOKと言われています。(逆にこれは書くなと言われた部分は削ってあります)

 ものごとはきちんきちんと、スジを通していかないといけません。勝手なことを書かれれば困るでしょうから。

 ただ、ケリがついたらブログに書きますよ、と最初から言ってあったので、その約束を守ってもらえたのかな...と。約束をお互い守ったわけで、それだけでもちょっとうれしかったり。

 この記事が載っているということは、何がしかの結果が出て、友人はうまく人生を楽しめるような心境になり、あの会社は企業として健全化を多少なりと計れたということかと。そう思い、いろいろと準備し、何度も書き直していました。

(許可を下ろしてもらうにあたり、記事どころかブログ内の全部の記事をチェックしていただき、ご納得していただけたのが幸いです。企業を特定するには材料が不足してるので、問題ないと。リーガルチェックも通ったのは幸いでした)

 最後に取締役全員に冒頭にあったインターネットの感想等とさまざまな意見・批判を印刷して渡し、ことの顛末がどのように推移して、インターネット上でどう思われていたかを伝えました。

 普段インターネットとかやらない人たちでしたので、大変に驚くと共に...社内統制というか、情報統制というか、機密保持についても興味をもっていただけたかと。

 セキュリティ対策については、先行して友人が勉強していましたので、是非相談してあげてください。これは私信ですけれど。私より、確かな知識と導入検討すべき安価なパッケージと信用できるコンサルタント会社を探してましたよ。

 それと、NTじゃ危ないんでそろそろシステム全体をなんかしらのパッケージに移行するなり真剣に考えていただければ。

 現実はいつだって甘くなく、冷たくて寒く...苦いものです。それを暖かくするのも、あるいは熱いものにするのも、自分自身だけです。それでも足りなきゃ親でも友達でも頼ればいい。肝心なときに頼れないなら、普段から頼ってもらっても困るってもんです。遠慮なく迷惑をかけて、後できっちり利子つけて恩返しすればいい。


 ...とはいえ、格好つけている自分自身がこの一件の最中...不況の中、リストラの危機で、転職活動してました。元の会社に勤めつつ、この件だけでなくいろんな一件に顔を突っ込んで。がむしゃらになんかしてると気がまぎれるものですしね。


 あの時...いろいろやりながら、頭の片隅には「リストラの後どうするんだ!? 今後のサポートどうしよう?」...なんて責任感と「やばいよ生活どうするよ、ローンだってあるのに」という現実の考えとが脳内をぐるぐると。

 半分現実逃避も兼ねて、友人を助ける行動してたのかも。今冷静に考えると。うまくいったから記事にも出来る。失敗してたら...今私はこうしてブログの更新なんてしてないでしょう。何をしていたのやら。考えると怖くなってきます。

 友人が片付いた以上、次は私。そううそぶいて。

 もちろん今はちゃんと転職しています。なんとかなるものです。正確にはなんとかやってのけることが出来てよかったぁぁぁぁというところですが(^^;。


 ピンチこそチャンス。私の持論のひとつです。どうしようもないときは何やってもダメ。でも、そうでないなら...何か出来るはず。だからピンチのときこそ自分が試される。なんだか人生のピンチがいつも連続している気はしますが、きっと気のせい。もっと大変な人はたくさんいるはず。

 極限の状況下で、今までの自分の仕事の評価や結果が問われるのです。さて、どうしたものか...そう思って、ひたすらいろいろ行動。なんとかなるもんでした。そしてそれは自分を高め、評価を高めることにもなります。失敗したら...頭をかいてごまかしつつ、次のチャンス(ピンチ)を待ちますか。

 

 私がなんとか転職決まったよ...そのことを報告したとき。本当に...心のそこから喜んでくれたのは...

 この件で不幸のどん底にいた友人。彼だった気がします。

 「本当にほっとした...」

 そういって、本当に大きなため息をついて。どうやら足の力が抜けたのか、その場で震えだして...がくっとよろけて。

 「おいおい、俺が震えないでそっちが震えてどうするよ」

 そんな会話をしたのを覚えています。

 彼のハッピーエンドの条件と違い、私のハッピーエンドの条件は...

 自ら決めた結末を引き出すために尽力し、自分自身のこともきっちりとこなすこと。それがなしえたら、ハッピーになるだろう。そう思ってましたので...

 この件、私にとってはハッピーエンドになったかな、と今更ながら思うのです。

 

※余談ですが、先方の会社において私の通称は「悪魔さん」になっちゃってます。ブログのせいかな?とも思ったのですが「悪魔のような所業と狡猾さ。とてもうちの会社には雇えないが、今回は味方になってくれてとてもありがたかった。まさに悪魔のような人だ」という取締役の言葉からだそうで。

 ちょっとだけ怨んでもバチは当たんない気がしてきました。そんな理由だったのか...まぁ、あれだけのことをしては、普通雇ってもらえないですよね。うん。私だったら絶対雇わない(^^;

 今の会社ではおとなしく仕事してます。今回のことは...あくまでプライベートでのことってことにしよう。うん。仕事じゃやんないだろうし。

 

 

 

 

※ 架空の話にしといてくれってまたしても言ってなかったっけ?

 あう...

 ...あ、あなたの脳内ではそういうことにしといてくれるととっても助かります(^^;