パソコン売り場のもうひとりの主役達(4)もはや日本最大の周辺機器メーカーとなった名古屋の猛牛「バッファロー」

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 その象徴は赤い箱。猛牛の象徴たる赤い箱。
 家電売り場...PCの周辺機器売り場...ともかくPCにまつわる商品がある店ならどこにでも見かけるその赤い箱。
 いまや日本最大の周辺機器メーカーとなったバッファローの商品を示す箱。

 とにもかくにも量販店に行こうがどこに行こうが。

「その商品がおいていないわけがない」

 そんな風に言われるほどメジャーとなりいまや日本最大大手となった周辺機器メーカーがバッファローです。。
 その前身はメルコ...先日のI-O・DATAと並んで老舗中の老舗のメーカーだったりします。

 メルコの名前は今や持ち株会社のメルコホールディングスにその名を残すのみですが、古いPCファンならばその名に覚えがあるでしょう。
 PC9801の時代からメモリなどに定評のあるメーカーとしてその名は知られていましたが、Windows95の時代になると各種周辺機器をいち早く投入するメーカーとして名をはせました。

 メルウェアといえば覚えている人もちらほらいると思いますが(そうとうなおっさん世代かもしれませんが)、メルコのメモリを買うとこのメモリ管理ソフトがついてくるということで好んで購入していた人もいた記憶があります。
 人によって評判はえらく違うんですが、私はそうトラブルもなかった人ですのでいい評価をもってます。(反面ハード設計には言いたいことが100や200はありましたが)

 現在もメルコのメモリは存在していますし売ってもいますが...メルコホールディングスの今の主力は系列のCFD(シー・エフ・ディー販売)のメモリでしょうか。パーツショップの店頭でも通販でも人気のメーカーのメモリのひとつです。安価でそこそこの性能。長い保障期間。メモリというととりあえずCFDと言われることもあるぐらいですから。人気は根強いのでしょう。強烈なアンチと化した人もいますが(笑)

 マニアは基盤から搭載チップから何から情報を入手してこだわりの逸品を探したりしますが、普通はなかなかそこまですることができません(というかしません)。そこである程度ブランド力があって安心なCFDにこぞって流れたりするわけです。チップメーカーも表記されていたりと案外親切ですし。

 また、現在のバッファローを象徴するものといえば2大看板商品「外付けHDD」と「無線ルーター(含むHUB等の周辺機器)」でしょう。(外付けならそれこそDVDだろうがチューナーだろうが看板っちゃ看板になっちゃってますが。それほど売り場での占有面積が大きいメーカーです)
 PCの周辺機器で売れ線なのは実はこの2つの商品ですので、ここを抑えた覇者となったバッファローを止めるものなし。いまだに破竹の勢いで伸びているメーカーです。

 特に家電とのセット戦略は強力で、TVを買ったらバッファローの外づけHDDが特価で...なんてセールは結構見かけます。無線LANも売り場で尋ねれば候補のひとつに必ずあがってきます。
 有線LANのHUBなんかも安価なギガイーサ環境を作ろうと思うと外せないメーカーになってます。有線・無線共にLAN環境構築を考えると...このメーカーの凄さというか安さが感じられたりするもので。

 地デジチューナーの分野でもその名は知られていて先日のI-O・DATAの記事でも書いた通り。ライバルが並んで無料で配布される地デジチューナーメーカーに選ばれたのは記憶に新しいところです。

 また、低価格のRAIDを使用したNASの分野を開拓した存在としても有名で、主力商品は「テラステーション」。名前ぐらいは聞いたこともあるかと思いますが、一般家庭でRAID構成のNASを手軽に使えるようになったのはこの商品が出てきてからだったように思えます。
 私の家にも2つほど転がってますが、実に便利です。

 ネットワーク対応HDDの分野でもその歴史は古く。当Amazonの悪魔でも人気記事のひとつLS-GLの改造記事も実はバッファローの商品を改造する記事です。

 他社が手を付けようかな...と思う分野にいち早く進出してどかどかと新商品を展開していくパワーはやはり猛牛らしいというか。I-O・DATAとの最大の違いはそこに慎重さがあるかないかじゃないかと思うぐらい大胆に切り込んでいきますから(^^;

 その切り込むパワーが切り開いた市場は数多く...たとえば今の日本のLAN環境(特に家庭内LANに関して)がまさにそれで。多大な功績があるのは間違いないかと。

 そもそも現在の家庭内ネットワークが安価に構築出来るようになったのはバッファローの功績が大きい(地味に初期のコレガも功績は大きいですが今回は割愛)。
 現在は1000BASE-Tや100BASE-Tが主流な訳ですが、そもそも10BASE-Tの環境すら昔はとんでもなく高い代物で構築せねばならず。家庭内でネットワークなんて夢のまた夢。安価にPC同士でネットワークを組むにはRS-232Cポートでつなぐしかないぜ!!とかやってたぐらいです。
 そんな中にバッファロー(当時はメルコ)が低価格の10BASE-TのHUBなんかを投入してくれて。少しづつ市場が形成され始めるとあれよあれよという間にネットワークは手軽なものになっていきます。まぁWindows95の存在も大きかったのですが...
 私もWindows95の時代にはすでに複数のPC(というかPC-9801シリーズとDOS/V機とノートPCという構成でしたが)を所有していたこともありまして。まだ少し高くて財布には厳しかったのですが早々に家庭内ネットワークを構築しました。
 そのあとブロードバンド時代になるとこのネットワークが非常に有効になり。なんといっても複数のPCでネット環境が使えるのは大きかった(古くはWindowsのインターネット共有を使ってISDN回線を共有したり...古いPCにLinuxを導入してルーター代わりにしてしまう猛者もいたわけですが。伝聞では2400モデムの時代にそんな環境を構築していた人もいたとか)。
 当時も今もネットワーク機器にバッファローが強いのはそうした歴史もあったりするんじゃないでしょうか。無線LANの分野でも低価格化に拍車をかけているのはバッファローですし。現在では数千円でそれなりの商品が手に入るのですから時代の変化は凄まじい。

 あとは先ほども書きましたがCFDという子会社の存在。


 このCFDですがそもそもはバッファローの系列ではありません。途中で買収された会社だったりします。1996年のことですから今から15年ほど前でしょうか。この買収は個人的には大ニュースでしたし...今でも大正解だったと思っています。
 その後のバッファローの飛躍はこのCFDのグループ化から始まったと思っていたりもします。そもともとCFDとメルコはかなり近しい会社でしたし。
 大須の古いPCユーザーなら「メルショップ」の名前を憶えているかもしれませんが、実はCFDの直営店です(笑)
 バッファローの系列では有名な「玄人志向」(※一応謎の組織らしいですが(笑))もCFDがやってるブランドだったりします。大手パーツメーカーの代理店でもあるので、メルコになかったものをすべて兼ね備えた万能パートナーだったんじゃないかと。
 まぁ...実は社員数がかなーり少ないのにとんでもなく手広いとかいろいろと逸話もあるんですが私も伝え聞くばかりで実はCFDの社員さんにはお目にかかったことがありません。
 悪い評判をあまり聞かない(商品に対してではなく会社に対して)企業です。少なくとも私の知る限りは。

 さてバッファロー本体に目を戻すと、この会社の最大の特徴にして最大の弱点がなかなかに強烈。
 それは...型番も外見も同じなのに使ってるパーツや性能が結構違っているものが出回っているという...

「だいたい同じ性能出てればいいやん」

 ぐらいのノリなのか。前述のテラステーションしかりネットワーク対応HDDしかり。発売される次期によっては同じ型番でまったく違うパーツと構造で構成されたものを出してきます。外装は同じなんですがよく見るとケース自体新型になってたり(笑)
 私のブログの人気記事だったLS-GLの改造記事でもちょっと触れてますが何種類ものLS-GLが出回っていて改造の難易度も...そもそもの性能も違ってたりしてびっくりした覚えがあります。まぁ後期になればなるほど構造は単純化してパーツの点数は減っていたので方向性は正しいんでしょうけれど...
 同様に同じ製品カテゴリーなのに出来のいいモデルと悪いモデルの性能差が極端に出る...なんてのもバッファローの大きな特徴というか困ったところで。
 無線LANのルーターにおいてはこれはかなり顕著だったり。

 ともかく商品の入れ替えが早くて次々と新製品が出てくる印象が強いのですが、出す商品によって「出来」のばらつきが多いのは事実。似た型番の似た商品でその性能や「素直さ」が明らかに違う...なんてもザラだったり。

 実際「当たり」と言われるルーターはマニアに支持されますが「外れ」と言われるルーターは...価格コムやAmazonのレビューを見ると燦燦たる有様で。
 親機だけならまだしも子機(無線LANアダプター)にいたっては...なんというか私はどう書いたらいいのか悩むほどの時期もありました。
 短期間にモデルチェンジを繰り返すときはたいていなんか問題があったんじゃないかと疑うほどです。私も「外れ」を2モデルほど買いましたが...安定して動作できるのは数時間で自ら熱暴走するUSBの無線LANアダプターやそもそも安定して通信できたことがないものなんかも...とほほ。

 そうは言っても安価でそれなりのものを出し続けてくれているので、購入前にちょっと情報収集するだけで「おいしい」製品を探し出すことは容易です。バッファロー製品は入手性も高くて値段も安いのでそれにプラスして安心感を得たいなら事前の情報収集をした方がいいかな...と。
 まぁ最近はたいていのモデルでそこそこ問題ない...はずなんですが一部の無線LANルーターはファームがアップデートされるまでは...ごにょごにょ。

 まぁ最後に変な話を書いてしまいましたが、それもまた味っちゃ味だったりします。すでに家電製品売り場もPCのパーツ売り場もバッファローやそのグループ会社の製品が大きな顔をして席巻している状態です。
 避けては通れないメーカーとなりつつあるサプライ製品の...そして周辺機器の日本最大メーカーになりつつあるバッファロー。
 それでも新ジャンル・新商品への探求は飽くなきもので。次々と新製品を投入し...実験的な製品を投入し...我々を楽しく便利にさせてくれます。

 よほどマニアックな使い方をする人でなければ割と安心して買うことができるメーカーなのは確かなので今後も躍進を続けるんじゃないでしょうか。猛牛の勢いはとどまるところを知らず。
 外付けHDDの分野ではたぶんもう誰も勝てないんじゃないか...なんて思ってたりも。
 大阪でも東京でもなく...名古屋から日本全国に躍進したメーカー。尾張の猛牛は今日もパソコン売り場を暴れ牛のように席巻しています。その勢いはとどまるところを知らず。
 膨張し続ける企業はいつか破裂するというのでぼとほどでとどまってくれ...なんて祈っちゃったりもするのですがまだまだこの牛さんは余裕があるようです。ギラついた目で様々な市場を見据えています。対する他のサプライメーカーがどう対抗していくのか。売り場の面積の熾烈な奪い合いを見るのは結構面白く。
 我が家もネットワーク機器はバッファローのものが多かったりするのでちょっと肩入れしたくなりますが(笑)
 今日もまた日本全国に...赤い箱が勢いよく届けられているでしょう。あるいは...Amazonの無駄に大きな箱の中のいくつかには...赤い箱がそっと封入されていたりするのかもしれません(笑)



他の主役たちもどうぞ






 普段気にしないこうした会社のことを少し調べてみると...意外な歴史や事実に触れられて楽しいと思います。その一助になれば。そのきっかけになればといくつかの会社をちょっと変わった角度から紹介してみました。他にもたくさんのサプライメーカーが売り場に商品を投入しています。ある意味でPC本体よりも激戦区。実に面白い市場になっています。
 おこずかい程度で買えるサプライパーツもありますが、その製品を入手して使ってみたら一気に便利になった...なんてことはざらにあります。マウスやキーボードがその代表格。安物でいいや...なんて言わず。別段最高級のものでなくてもそこそこ安くていいものは売り場にごろごろしているものです。
 パソコン内部のスペックよりも...使い勝手の向上の方が便利さが増す。
 私の信条です。
 せっかく買ったパソコンをもう少し使いやすくするために。ちょっと周辺機器に気を配ってみるといいかもしれません(^^)
  パソコン売り場のもうひとりの主役...サプライメーカーが群雄割拠するコーナーは今日もたくさんのお客さんで賑わっています。パソコンだけでは味わえない面白さを。便利さを。自分好みの周辺機器を探して...売り場を探求してみてはいかがでしょうか。